みっちゃんのキンタマが腫れ上がった話
あれは忘れもしない、
中学1年生の夏。
中学校生活にも慣れ、楽しく過ごしていた。
ある夏の暑い日の休み時間、
1人の友達が「明日さ!みんなで朝から川行こーぜ!」と言った。
きっと明日も暑い。俺たちは了承した。
そして、次の日の朝、川で泳ぐ準備(ズボンの下に海パン)をし、颯爽と現地へと向かった。
男5人で楽しく川を満喫した。
青い空と眩しい太陽が、キラキラと水面を照らし、それはまるで魔法のようだった。
1人の友達が言った。
「あの橋からとぼーぜ!!」
水面から5メートル程の橋。
しかし、いざ橋の上に立つと高い。
思っている以上に高い。
俺たちは躊躇した。
高さが恐いというのもあったが、そもそも川が浅い。俺たちの胸くらいの深さだ。
橋から飛び降りて、そのまま川で足をついたら、間違いなく怪我をする。絶対怪我をする。
だから俺たちは躊躇し、断念した。
諦めかけたそのとき、1人の漢が立ち上がった。
伝説の漢、みっちゃんだ。
みっちゃんいわく、
「怖がることはない。大丈夫だ。俺に考えがある」
とのこと。
「そのまま足をつけば、お前らが言うように怪我をする。しかし、俺には作戦がある。俺は体が柔らかい。開脚180°は余裕だ。橋から飛び降りた際に開脚をすることで、着水の際、足を地面で痛めることはない。足の長さ分、川が深くなるというわけだ」
最後らへんはよく意味が分からなかったが、
つまりはこういうことだ。(下図)
俺たちは歓喜の歓声をあげた。
天才だ。これ程の逸材が俺たちの友達だと思うと、心が踊った。
漢みっちゃんは橋の上に立った。
太陽がみっちゃんを照らし、それはまるで神からも祝福されているようだった。
「いくぞ!!!!うおぉぉぉぉ!!!!」
飛んだ。鳥のように飛んだ。
そして大きく開脚。
バランスを崩すことなく、あざやかな開脚のまま水面へ!!!
バシャアアアーーーン!!!
歓声が上がった。
「うぉぉぉ!!すげぇ!!飛んだ!!!」
「天才だっ!!!」
「かっこいいぃぃ!!!!」
しかし、様子がおかしい。
川から上がってこない。
泣いてる???
俺たちはみっちゃんを救出しにいった。学校で習った通り、みっちゃんの短い髪を掴んでひっぱりながら、岸まで泳いだ。
陸に上がるとみっちゃんが、
「うぐぁぁぁ、がはっ、うぅぅ……」
伝説の漢、みっちゃんが泣いている。
「どうしたっ!?」
「みっちゃん!!何があったっっ!?」
「カッパにやられたかっ!?」
最後のやつの言葉の意味が分からなかったが、みっちゃんがやっとのこと喋った。
「きっ、キンタマが………」
俺たちは恐る恐るみっちゃんのキンタマを覗いた。
みっちゃんは1人だけなぜかトランクスで泳いでいたからキンタマを覗くことは容易だった。
200°くらい開脚して、着水したから、モロにキンタマを水面にぶつけたようだ。
漢、みっちゃんは、その後独りで立ち上がり、はち切れんばかりに腫れ上がったキンタマを左手で支えながら、器用にも自転車を立ちこぎで1人早々と去っていった。
今でもたまに思い出す。
橋から開脚しながら飛んだ際、トランクスからはみ出ていたみっちゃんのキンタマを。