野球部のあいさつがうるさかった話
俺の高校の野球部は弱かった。
でもなぜが態度だけは一人前だった。
そして、ワケわからんルールがあった。
先輩を見かけたら
ちゃーーーすっ!!!!!!
とバカみたいにでかい声で挨拶しないといけないのだ。
しかも、先輩が視野に入れば……だ。
だから50メートル先にいる先輩でも、視野にはいったら、ちゃーーーすっ!!!ってあいさつしないといけないのだ。
俺は野球部ではなかったものの、野球部の友だちと歩いているときに、アホみたいな声で挨拶をしたり、されたりするのがうるさくてうるさくて、うんこ漏らしそうだった。
ひとつ上の先輩で大田先輩という人がいた。
大柄でごつい人だが、後輩からの挨拶にもきちんと返事をしてくれる優しい先輩だ。
だから野球部のみんなから慕われていたようだ。
俺は野球部の拓夫と運動場を歩いていた。
すると大田先輩が40メートルくらい先にいた。
拓夫はすかさず、バカみたいにでかい声で、
ちゃーーーすっ!!!!!!
と挨拶をした。
すると大田先輩から、さらに大きな声で
ぢゃああああぁぁぁーーすっ!!!!
と返事が帰ってきた。
実は拓夫、すごく気が利く男だ。
故にこのとき過ちを犯した。
大田先輩からの返事が返ってきたあとに、
せんぱぁぁい!!痔は大丈夫ですかぁぁぁ!!???
と聞いてしまった。
やべっ、これは怒られるぞ…と俺は思った。
すると大田先輩から
まだ、いたぁぁぁぁい!!!
と返事が来た。
拓夫はすかさず、
お大事にぃぃぃ!!!
と叫んだ。
すると、
ありがとぉぉぉぉ!!!
大田先輩の声が響き渡った。
空はどこまでも青く透き通っていて、優しい風が、俺たちを包んでいた。