じいちゃんに嫁を紹介しにいったら、乳首でてた話
忘れもしません。
あれは、私が結婚を決意し、死にかけのじいちゃんに、嫁を紹介しに行ったときのこと……
結婚を決意し、色々と親族にあいさつ回りをしていました。
一通り報告が終わったと思ったのですが、
おかんから
「じいちゃんのとこ行った??」
と言われ、思わず
「えっ!?まだ生きてたっけ!?」
と言ってしまいました。
おかんにクソ怒られて、嫁を連れてじいちゃんのとこまで車で向かいました。
久しぶりです。じいちゃんに会うのは。
車で15分。
やっとこさ到着。
じいちゃんの家はいつでもカギが開いているので、
「じいちゃーん!はいるよー!!」
と言って中へ入りました。
じいちゃんの部屋につくと、そこにはベッドで横たわるヨボヨボのじいちゃんがいました。
「生きてる?」と聞くと
「ん?おっ?おお!!たっ、タロの助か!ちょっと待て、今起きる……」
と言い、
「んりゃ!おっ!んりゃほ!!!」
とか言いながら一生懸命ベッドから起き上がろうとします。しかし、なかなか、起き上がれません。
私と嫁が見守る中、ついに
「ていやぁぁぁ!」
と言い起き上がることができ、ベッドの端に腰を掛けました。
「嫁か?タロの助と結婚してくれてありがとう、結婚というものは……2人で人生をんちゃらかんちゃら…………」
と長々と話を始めました。
しかし、嫁の様子がおかしいのです。
いつも人に話を合わせるのが上手で、特に高齢者の相手が上手な嫁がずっと下を向いて、何かを堪えているのです。
おかしい……何かが……
私は警戒しました。
そして、目を疑いました。
白いよれよれのタンクトップを着ているじいちゃんですが、よれよれ過ぎて、両乳首がでているのです。
もはや、何も頭に入ってきません。
私は恥ずかしさでいっぱいでした。
じいちゃんはそんなことも露知らず、永遠と良い話をしています。でも、もはや雑音です。
「愛というのは、んちゃらかんちゃら」
「じいちゃん、じいちゃん」
「辛いことがあっても2人で、んちゃらかんちゃら」
「でてる、でてるよ」
「でも人生は明るい!2人で……」
「ちくび、じいちゃん、ちくび」
「でえぇぇーーい!!うるさいっ!!!黙って聞かんかっ!!!」
「いや、じいちゃん、ちくびでてるって!」
「暑いからな!」
あのとき言われたこと、何一つ覚えていません。
後日、私と嫁はタンクトップをプレゼントしに行きました。
終わり(じいちゃんまだちゃんと生きてます)