言語探偵T 第3話
特定問題 (後編)
「the sun問題」に対して、いくつかの解答が寄せられた。
そのうちの2つを紹介する。
3.the の特定の仕方の謎
sunにburning (灼熱の)のような形容詞がつくと、「太陽の1つの状態」を表すから a がつくといえる。
しかし、sunは「1つしかないからtheがつく」といえるのだろうか?
固有名詞も1つしかないものであるが the はつかない。
たとえば、ミッキーマウス(Micky Mouse)はディズニーを代表する唯一無二のキャラクターであるが、theはつかない。
つまり、1つしかないからといってtheがつくわけではない。
この問題は「セットの中の特定」と捉えることができる。
たとえば、the summer は「2020年のあの夏」といった特定の夏のことではなく、四季(「春夏秋冬」)というセットの中で「夏」を特定している。
(『英語冠詞の世界』 織田稔 著より)
同じように、the sunも「天体」というセットの中で「月(moon)や星(star)ではなく太陽」という特定をされているためtheがつくといえる。
このように、theの特定の仕方はいろいろある。
おもしろいのは、theの特定の仕方の違いが前置詞の違いに現れることもあるということである。
・in the morningは「朝昼晩」の中の「朝」
・on the morningは「ある特定の朝」
theの難しさは「特定の仕方」の難しさにあるといえる。
theには、他にどんな特定の仕方があるのだろうか。