言語探偵T 第4話
認識問題 (前編)
英語母語話者は無意識で冠詞を使いこなしている。
このネイティブの「直観」の中身を暴き出したいものだ。
1.関係節による限定の謎
時折、以下のような質問を受ける。
関係節が使われると限定(説明)されるので、theをつけるのか?
しかし、関係節で説明されているからといって、必ずしもtheがつくわけではない。
次の2つの文の違いについて考えてみよう。
(『わかりやすい英語冠詞講義』 石田秀雄 著より)
(i) theの場合:関係節の内容が聞き手も知っている情報(=前提)
(ii) a(n) の場合:関係節の内容が聞き手にとって新しい情報
つまり、関係節の内容を聞き手が知っているかどうかで、aとtheの違いがでる。
このことは否定文の解釈の違いに現れる。
theの場合は関係節の内容は前提(=事実)なので、否定文にしてもその「事実」は否定されない。
このように、話し手が関係節の内容を前提(事実)と認識しているかどうかによって、a(n)かtheかが決まるのである。
しかし、聞き手も当然知っているものでも、theでなく a が使われる場合がある。
なぜ、聞き手 (You) の状態(=聞き手も当然知っていること)なのに、 a terrible coldなのだろうか?