旅は楽しく、そして苦しい | タイ日記
2024.10.25 @ Udorn Thani, Thailand
1年というものは振り返るととても早い。あれは確かもう1年半も前のことだったかと思い出すような記憶は、とても新しく感じるものばかり。旅をしていると、長く感じるのか、もっとあっという間なのか、どちらの感覚なのか楽しみだ。
大人、子ども、老人、僧侶、日本人、タイ人、アメリカ人、フランス人、など。駅のターミナルを見渡すと様々な人がいる。それぞれに人生があり、喜びや絶望がある。自分が日々繋がっている日本社会の中のコミュニティの小ささを実感する。そして、それが、その繋がりが、どれほどに素晴らしいものであったかも、同時に深く感じるのだ。わたしは本当にたくさんの人に支えられている。日本を離れてもなお、友情が変わることはなかった。人の想いや絆というものは、この世界のどこにいても守ることができる。ほんの10日間の旅で、すでに確信をしたことのひとつだ。
人間関係に対してどこか、ドライな面が自分にはあると思う。所詮他人だ、と心のどこかで思ってしまうことがある。一緒に笑い、泣き、怒ってくれた友を大事に思いながら、愛情深い家庭の中にいながら、無条件の愛を与えてくれる夫と行動を共にしながらも、わたしはいつも孤独を感じている。それはなぜなのだろうと思う。これほどまでに愛されながら、人との繋がりに感動を覚えながら、愛というものについて深く考えながら、それでもどこかに孤独を感じていて、そしてきっとどこかで孤独を求めている。一体なぜなのだろうと思う。
旅は楽しい。そして苦しい。わたしは旅に出ることで、自分が苦しくなることを知っていた。自己と向き合い、夫と向き合い、家族と向き合い、未来について考え、過去について思い出し、消してしまいたい気持ちや、蓋をしていた気持ちが、溢れてしまうことを知っていたからだ。旅をしながら、自分を丸裸にしなければいけない。そうしなければ、この日々は続けられないことを、分かっていた。慣れていない地で、未だかつて経験したことがない環境で生きていくには、自分自身の嫌な部分や惨めな部分と向き合わなければやっていけない。旅は楽しく、刺激的で、そして惨めで苦しく、寂しい。この旅は惰性では続けられない。