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人に出会う旅をいつまでも

ずっとずっと心の中にいて、お守りみたいに、苦しいことがあっても、先が見えなくなっても、きっと大丈夫と思わせてくれる存在の人たちがたくさんいる。タロウさんとミカさんはその中のひとたち。こんな大人になりたいと思わせてくれたひとたち。

今回の旅の最終目的地はタロウさんとミカさんの元へ行くことでした。(前回のnoteの旅の話のつづきです。)

石垣島に住んでいた頃、わたしの家からすぐのところにタロウさんとミカさんのお店 mahinamele はありました。大学の先輩で同じく星野リゾートに就職し、これまた同じく星のや竹富島で働いていた先輩が、まだわたしが石垣島に引っ越す、ずっとずっと前から教えてくれたお店。引っ越したその日に、わたしはお店に行った。タロウさんとミカさんはとっても温かく迎えてくれました。

とっても心に残っていることがあります。ある日、mahinameleでコーヒーを飲んでいるとお店の利用者じゃない人が、お店の駐車場に車を停めて遊びに行ってしまいました。それはルール違反。数少ない駐車場はきっと、タロウさんとミカさんがふたりのお店に来てくれる人のために、毎月安くはないであろうお金を払って大切に用意した場所だから。タロウさんはとっても怒りました。戻ってきたひとたちに対して、しっかりその過ちを伝えていた。わたしはその姿を見たときに、こういう大人になろうと決めました。もちろんふたりは、とっても優しくて、心が広くて、穏やかで、寛大です。でもきちんとしたこだわりがある。大切なものがいつもちゃんと心の中にある。そういう人たち。そういう生き方をしてきて、していくんだと。

偶然にも、出張で石垣島に行った日、ふらりと立ち寄ったその日がmahinameleの最後の営業日でした。閉店することは告知していなかったそうで、お店に立ち寄ったひとだけが、最後の時間なのだと知っていた。

ミカさんは「特別なことではないから。日常だから。始まることも、終わることも。」と言っていました。素敵だなと感じました。終わりははじまり。いつもその繰り返し。それが日々なのだと。そして終わったいくことはいつも悲しいわけじゃない。寂しくない。おわりははじまりなのだから。はじまっていくためのものだから。

山梨県北杜市の小さな小道の先にある新しいふたりのお店には、新しい名前がついていて。車で向かいながら、山の中で、川の音の中で、小さなタイニーハウスが見えたとき、込み上げる想いがありました。石垣島とまるっきり違う風景の中にお店はあるのに、出てきたふたりの笑顔はあの頃と変わらなかった。タロウさんが淹れるコーヒーの味もあの頃とおんなじで。心がほぐれていくのが分かった。あの頃とおんなじ。

それから営業が終わったあと、ふたりと少しおしゃべりをして、教えてもらったごはん屋さんに行った。メニューがたくさんあるお店には家族が集まっていて、それぞれが好きなものを頼んでいた。わたしはチーズハンバーグ定食を、夫は辛味噌ラーメンを、ふたりで大きな唐揚げを食べた。お腹がパンパンになって、倒れ込んだ宿のベッドでバスケのワールドカップを観て、眠った。とっても満たされた夜でした。

夕ご飯を食べながら「また、きっと来るね。来ようね。」と言った。きっとまたここに来る。そのふたりのなんとなくの、確かな勘は間違いないと思う。

かっこいいな、世界って悪くないな、と思わせてくれる大人にたくさん守られてきた。わたしの心はいつまでも成長が遅いけれど、そう思える世界でもっともっと頑張る。いつもそれが心の糧なのです。

翌朝、リゾナーレ八ヶ岳ピーマン通りを散歩して、出発前にコーヒーを飲みに行った。もう席はいっぱいで、このお店はもうここに住む人たちのかけがえのない場所になっているのだと思った。石垣島にmahinameleがあったときのように。

川の音。葉のこすれる音。誰かの笑う声。車が砂利を踏む音。音と音の隙間を吹き抜ける静かな風。そしてそれに合わせてタロウさんのコーヒーを飲む。ミカさんの焼き菓子を。全てが心地よかった。完璧なマリアージュ。ずっとこうしていたい。そう思いながら、惜しみながら別れを告げた。

ちなみにふたりの新しいお店の名前は CAMILOTA(カミロータ) お店の名前のかわいい秘密をぜひふたりに聞いてみてね。

こうしてわたしたちのささやかな誕生日旅行は幕を閉じた。今年もよろしくね。わたしにとって、お正月よりも、新学期よりも、1年の変わり目はいつも誕生日だった。パワーアップして、この1年もきっと、かけがえのないものにできますように。

会いたい人に会えるわたしでいること。胸を張って自分のことを話せるように。それがわたしにとって日々の頑張る活力なのかもしれない。大好きな人たちとずっとずっと対話ができるように。今回の旅は会いたい人にたくさん会えた旅だった。

人に出会う旅を、いつまでもしよう。そう心に決めた27歳の幕開け。

ミカさんの手作り焼き菓子
至福の時間

✩︎✩︎✩︎おまけ 山梨県の星野リゾート✩︎✩︎✩︎

▼リゾナーレ八ヶ岳

▼星のや富士

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Yuuri
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