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逃げない関係

付き合う前、夫のことが異性として気になっていた頃。わたしは夫に言った。「ねぇ、わたしなんでも思っていない人にこういう態度とらないからね。」と。夫は余裕のある感じで「自分が思っていることって、大体相手も思ってるんだよ。」と言った。

そんな夫と、先日大きめのケンカをした。夫はわたしに「僕と”ふたりで”旅をする、旅を楽しむということを想像できてる?」と言った。夫はどうやらここ最近のわたしの単独行動が気になったみたいで、不安に感じているようだった。一方でわたしも「わたしと”ふたりで”旅をしたいなら、もっともっと、こう、なんていうか具体的に行動してよ!」と思っていた。

気持ちを求める夫と、行動を求める妻。恋人同士だった頃は、想いを言葉にしてくれるだけでそれだけで未来は大丈夫だと思えた。目に見えるものよりも、目に見えないものが大事だった。いや、今でも大事なことは変わりはないけれど、でもずっと夢見心地ではいられない。押し寄せる現実にだって対処していかなければならない、それが生活だった。命を守らなければならない。ひとりではなく、ふたりで生きていくというのは時にとても大変なことだった。ふたりで力を合わせてパワーも2倍だけれど、そのぶん2つの命、2つの人生なのだ。

不安な点は同じなのに、解決手段が違うふたり。器用に見えて不器用なふたり。そんなふたりで未来のことを、いつもより少しだけ素直に話した夜のこと。

基本的には本音でぶつかり合っているつもりだけれど、わたしたちにだって話しづらいことや、向き合いたくないことも山ほどある。今がどんなに楽しくたって、ふたりだけであればどんなに幸せだって、これからもそうだとは限らない。取り巻く環境も社会も変わっていく。心配事は山ほどある。不安をひとつずつ共有して、どう思っているのかを話す。解決することは出来なくても、その作業はとても重要なのだと改めて思った。

結局お互いに思っていることは大体同じで、大体同じことが心配で、大体同じことにストレスを感じていて、大体同じことを求めていた。思わず笑ってしまうくらいに。思わず笑ったら怒られた。真剣な話、とのこと。わたしだって真剣ですよ。

お互いに相手にしてほしいことを伝え、ここまではできる、これはできないということをなるべく丁寧に話す。好きな人のためになら変われる、なんて思っていたいつかの自分の浅はかさよ。変われることもあると思うけれど、変わらないことのほうが多いのだ。少なくともわたしはそうだったし、夫もそうだと思う。それでいい、と思っている。

あとは親しき中にも礼儀あり、ということ。どんなに仲良し夫婦でも、どんなに気を遣わないといっても、言ってはいけないことがある。言い方にだって気を付けなければならない。甘えられる相手でありながら、一番大事にしなければならない人。そういうこと、日々のなんとなくの毎日で忘れてた。反省。ごめんなさい。

いつも鏡だということ。自分が思っているモヤモヤは大体相手も抱えている。夫婦でも、友達でも、そうだと思った。見て見ぬふりしたくなるけれど、できるだけ向き合う、逃げない。向き合っても大丈夫、向き合えるから結婚した。結婚してよかったことのひとつは、これだったと忘れていた。向き合える相手ができたこと。逃げないひとだから結婚した。だから、わたしも逃げない。逃げちゃいけない。相手からも、自分からも。

夫のみならず、大切にしたいと思う相手とは、わたしはこれからもきちんと向き合うことを大事にしたいなと思った。いつも鏡、そう思うとちょっと不安にもなり、そうしてちょっと安心もする。

ありがとう、ありがとうと思いながらあの子のこと、この子のことを思い浮かべる。これからもっとそういう時間を日々の中に増やしたいと思うのでした。

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Yuuri
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