ひとすじの
【元ネタ】
→ 雨の中でひとりさん『風景習作』
こちらの絵に浮かんだイメージです。
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終わりもなく
果てもなく
どこまでも続く
深い緑の闇路は
カーキとも言えず
モスグリーンとも言えず
かと言ってビリジアンでもなく
ただ、深い森のように
水底に這い、繁り
覆い尽くす藻のように
微かな光さえ
僅かな希望さえ
届かぬ縁(ふち)の縁
絶望すら飲み込み
すべてを無に帰す
それほどに絶対的な静寂(しじま)に
ふいに現れたひとすじの糸
光輝くその細い糸が
刻(とき)すらもたゆたう空間で
少しずつ
少しずつ
折り重ねられ
束ねられてふくらみ
ゆっくりと近づきながら
新たな朝(あした)を連れて来る
それはまるで
引き上げられた
新しい今日へと続く絨毯のように
自らの行くべき方へとつなぐ
道しるべともなるだろう