〘お題de神話〙Longing for
産まれることも
死ぬことも
番うこともなく
まして
命を次に繋ぐことなどあるはずもない
この世の終焉が訪れるまで
終わりの時など来るはずもない
*
今宵、何を語ろうか
ないものねだりと知りながら
憧れる以外ないと知りながら
それでも求め続けては
手に入らないことに失望し
命をその身ごと焼き尽くそうと
彷徨い続ける
ただ己が身の再生にすら疲れ果てた
彼のことでも語ろうか
*
常に共に在る比翼の鳥
翡と翠
揃ってこその翡翠
鳳と呼ぶ雄
凰と応える雌
互い在ってこその鳳凰
形は違えど
二羽で一対と成す
その片割れが
彼にはいない
彼はただ
その身の再生を繰り返すだけ
ないものねだりと知りながら憧れ
一度でいいから手に入れたいと願い
叶うはずもなく掻き消えた夢
火の鳥は
寿命の訪れと共に炎に飛び込み
その身が燃え尽きた後生まれ変わる──
──訳ではない
ただ、時折
気が狂いそうになるのだ
寂しさとも
哀しみとも
怒りともつかぬ
感情から逃れようと
炎に飛び込む
そのたびに最期と思うのに
また甦ってしまう
我慢の限界が寿命尽きる時なのか
寿命尽きる時が我慢の限界なのか
それすらもわからぬ間
彼は狂ったように身を投じた煉獄で
骨の髄まで塵と化し
やがて
新たな肉体を以て飛び立つ
火の粉と化した涙を降らせ
永久の命を分かつ番いを求めて
今も憧れを抱いて──
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