匂いの記憶
この匂いに関しては、確か前にも書いたなぁ〜……と思いつつ、毎年、思い出す。
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今日の帰り際、リトルなジェントルマンに気を良くして最寄り駅を抜け、裏道通って自宅近く。
「……あっ……」
鼻をくすぐった匂いは初夏の花・山梔子。
植物に造詣浅く、「花!草!木!」で括る私ですが、山梔子の匂いだけはすぐにわかる。
微かにでもわかる。
見れば、もう終わりかけた山梔子が、余所様のお宅の壁から垣間見えた。
匂いの弱さから予想は出来たけど、八重の花弁の西洋山梔子だ。
私の中で山梔子と言えば、一重大ぶりの日本山梔子。
匂いの強さも比べ物にならない。
山梔子の匂いは、そのまま私の子ども時代の記憶と直結しているのだ。
古い時の我が家の玄関脇にあった、珍しいほど大きな日本山梔子の木は、二階の窓のところまで背を伸ばしていた。
咲き誇った時には、ワンブロック先の角にいてもわかるほどに匂い立つ。
香り物が苦手な私だけど、三つ子の魂なのか山梔子の匂いは大好きで、家を建て直してからの年数の方が全然長くなった今でも、決して忘れない記憶の匂いだ。
山梔子の匂いが懐かしくて、香水を探してみたりしたけど、私の記憶にある匂いには辿り着けていない。
そもそも香り物が苦手なんで、売り場を渡り歩くのは拷問に近い(^_^;)
鼻よりもまず目をヤラれる(笑)
何てったって、目に沁みるのだ_l ̄l●lll
根性で何度か探して、山梔子は香料の取れない花だと知った。だから、香りを合成するしかないのだ、と。
今、ある山梔子の香りを謳っている香水を試させてもらったけど、申し訳ないが、
似ても似つかないw
そして、現在のところ、一番近い匂い、と言うのはあるのだが、ジャスミンの香りも強い!(笑)
私はジャスミンの香りはあまり得意でない(^_^;)
それでも、一番私の記憶に近いから、時たま匂いを手繰り寄せる。
それから、山梔子の匂いを探している時に知ったもうひとつのことが、『山梔子は初夏の花』だと言うこと。
販売員さん曰く『ほぼほぼ他の時期に咲かない』って。
正直、ビックリだった。
家に山梔子があった人間が何で?って思われるだろうけど。
我が家にあった大きな山梔子は、一年中どこかしらに花を咲かせていた、まさに狂い咲きの木だった。
年末に近所の人が『栗きんとんに入れるから実をください』と言いに来た時でさえ、花を咲かせていたのだ。
お陰で、私の中では山梔子は初夏のイメージより冬のイメージになってしまっている。
それすらも、懐かしい記憶だ。