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〘夏祭り2023〙 真夏の夜のアレ

 
 
 
本日、算盤パチパチ 2023年日。
草木も眠る丑三つ時前……。

矢口れんとさん 率いる 神話創作文芸部ストーリア(旧・note神話部)恒例『夏の企画2023』参加作品です。
このたび4回目の夏の企画となります。

今回のテーマは『ストーリア学園』!
学園ものです!!(遠い目)

この夏、どんな学園ストーリー ( by Mythology ) が繰り広げられるのか乞うご期待!

ひとまず初日( 始業式 は昨日)、タワシめが担当させていただきますので、よろしゅうお頼み申します!
 
 
 

✵°⿴⿻⿸✧✵✧⿴⿻⿸°✵

 
 
『真夏ののアレ』

 
 
夏──開放感あふれる季節      
夏──汗があふれる季節       
夏──合宿、ファイヤー、肝だめし……

 ここ、帳友町ちょうともまちにある帳友学園・神話研究創作妄想検証部(以下「ダベり部」)にも夏合宿の日が近づいていた。共同生活を通じて活動と交流を深めるのが目的だ。

「果たしておれたちの活動は活性化させるに値するのか」
「大丈夫。予算確保の活動だから」

 部長である水生みずきいだ瀬戸内海のような笑顔で答えた。何が大丈夫なのかは定かでない。

((不安しかねぇ/ない……))

 こうして汗と不安にまみれた合宿は幕を開けた。

「ここだ」

 顧問・太日向おおひなたの言葉に皆のテンションが上がった。

「旅館だ! しかも、ストーリア学園も泊まるみたいだぞ!」

 『帳友学園・神話研究部御一行様(だいぶ端折はしょられてる)』の隣に『ストーリアインターナショナル学園スクール御一行様(以下「ストーリア学園」という)』とあり、さらにテンションが上がる。

「あまりのレベルの高さに〈神の領域〉とまで呼ばれているあのストーリア学園か! 何のレベルなのかは定かじゃないけど!」

 ──と、その時。

太(日向)陽(久) たいよう たちジャないカ!」
「アラ!」

「「…………」」

 顧問2人が見るからに欧米系の男女に声をかけられた。しかし、副顧問・月夜野つきよのまでが完全に無視しており、よほど関わりたくない相手なのだと部員は察した。

「ボクたちも生徒とキテるんだ」

 めげずに話しかける様子に気の毒感がつのる。

「先生たちのお知り合い……?」
「ボクたちはストーリア学園の引率。ティースミスと、ボクはリスキーノ。太陽とは研修で仲良くなったンだ」
「ストーリア学園の先生なんですか」
「そうだヨ」

 太日向おおひなたたちの様子から、仲良しと言うより単なる顔見知りに違いないと察しつつ「あ~」で誤魔化す。

ストーリア学園 ウチ の世界研究部の子たち。勢斗せと石須いしず、大空、三門みとだヨ。仲良くしてネ」
「こちらこそ。水生みずきです」
金城かねしろです。後は略します」
「「ひでぇw」」
「時間ないから」
「「マジか」」
「だってほら、先生が」

 金城の視線の先で太日向が腕組みをしている。

「早く来い。荷物を置いて集合しろ。予定を説明した後は各自予習だ」
「「はーい」」

🐤翌🐤日🐤

 ゆるやかに登りつめると歴史ありげな鳥居とやしろが現れた。両脇には見事な大杉が二本そびえている。

「よーし、皆。ここが今回の目玉だ。まずは復習。水生みずき金城かねしろ、チェックしろ」
「「はい」」
木島きじま、この妻夫返山つまもどりやまとは?」
「N県の三〇みわやま所縁ゆかりがあるとされてます」
海音寺かいおんじ、三〇山と言えば?」
大神神社おおみわじんじゃです」
地場ちば、大神神社と言えば?」
大物主おおものぬしを主神、大己貴おおなむち少彦名すくなびこなを配神としてまつってます」
火村ひむら、大己貴と少彦名と言えば?」
「国造りですっ!(肺活量オバケ」
冥神みょうじん、大物主と大己貴は?」
「同一神と言われてます……(ボソ声」
土井どい、大物主が顕現けんげんした姿は?」
「蛇です」
天谷あまがい、大己貴と言えば?」
「女好きです!」
「間違ってはないがソレじゃない」
「言っちゃったw」

苦節数作目、初めて自分の名前が呼ばれて生徒たち内心歓喜なう

「面白そうだネ。ボクらも入れてほしいナ?」

 後からやって来たリスキーノが目をキラキラさせているが、太日向は答えようとしない。生徒4人は背後で様子を窺っている。

「続けるぞ。この妻夫返山つまもどりやまに祀られているのは?」
「太陽。ボクにも質問してほしいヨ」
「誰かいないか」〈完全にスルー〉
「「三〇山のぬし・大物主と同一とされる大国主命おおくにぬしのみことです」」

 水生みずきと陰に隠れていた勢斗せとが同時に答えた。

「それから?」
「「大国主命の正妃である須勢理毘売命すせりびめのみことです」」

 今度は金城と石須いしずが答える。

「有名な夫婦めおと神に所縁があるにも関わらず知名度が低い理由わけは?」
「え、と……」
「そもそも、何故二柱ふたりが祀られるようになった?」
「え、と…………」

 大空と三門みとがモニョり、

「今回、それも調べたくて来たんです」と勢斗が付け加えた。

「仕方ないな。月夜野つきよの先生」
「はい。では、二つの山について考察し、明日結果を発表してください」
「「はーい」」
「よーし。とりあえず関連してる場所を巡るぞ。肝だめしするから地理も把握しとけよ」
「「きっ、肝だめし……!」」〈外灯皆無の山です〉

🐤翌🐤日🐤

「では発表してもらおう」

 天谷あまがいと大空が大判の模造紙を、冥神みょうじん三門みとが日本地図をボードに貼り付けた。

「まず、二つの山ですが……印のところが妻夫返山つまもどりやま三〇みわ山です」

 木島が言う通り、地図上には赤いバツ印が記されている。太日向が頷くのを確認し、金城かねしろがボードの横に立った。

「ざっくりですが、これは日本列島の火山や地脈の流れです。必要なトコだけ地図に書き加えたものがこちら」

 勢斗せと水生みずきがもう一枚の地図を貼った。

「なるほど」

 太日向が楽しげな顔、月夜野は感心した顔をし、リスキーノとティースミスはアホづらで首を傾げる。

「それで?」

 今度は海音寺、土井が『今日から記紀神話(仮名)』という本を持って前に出た。

「国造りのため各地に赴くたび、大己貴おおなむちは現地の女性とねんごろになったと言われてますが、実は空白の時もあったようです」
「国譲りの末に幽冥界の主となってもたびたび地上で過ごしていて、その場所がこの山とされてます」
「それを証明するかのように、三〇みわ山のある地点と妻夫返山つまもどりやまのある地点は地脈でダイレクトに繋がってます。それが二本の大杉なのです」

 地場ちばと火村が地図の前に立つ。

「あの大杉には三〇山の杉と同レベルの霊性が宿っていて、老人のなりをした大国主が周辺の民と交流していたと伝えられてます」
「浮気がバレた時の逃げ場にしていたと思われます!(肺活量オバケ」

 教師陣から拍手が起きた。

「最後の言い草はアレだが、いい考察だ。地図も即席にしてはよく出来てる。だが、まだ足りない」
須勢理毘売すせりびめが共に祀られている理由ですよね。色々案は出たんですけど、どれもしっくり来なくて……」
「よし。それは次の課題にするとしよう」

🐤お待ちかね🐤
🐤レクリエーションのお時間です🐤

「よーし。一人ずつやしろでハンコ押して来い。防犯対策バッチリ、100メートルあるかなしか、(お化け屋敷みたいな)仕掛けなし、そもそも霊験あらたかな山は魑魅魍魎ちみもうりょうたぐいも出ない(はずだ)から安心しろ。おれは近くでキャンプファイヤーを設営してるから何かあったら叫べ(原始的」

「メチャクチャ暗いんですけど……」
「ボクがいるカラ安心してイイヨ」

 リスキーノが無駄に明るいため暗さが際立つ。「肝だめしだもの」と送り出す月夜野つきよのは妙に楽しそうだ。

 ちなみに、太日向おおひなたの言う通り確かに仕掛けはなかったが、リスキーノの焼けた肌色が闇に同化し、逆に白目部分は浮かび上がって無駄に怖いだけだった。

「一人はヤバい」
「マジ、暗すぎる」
「なあ。途中に誰かいたような気が……」
「やめれ!」
「リスキーノ先生だろ?」
「いや、女の人だった気が……」
「それ以上、言うな!」などと騒いでいると、女子組が妙な顔をしている。

「どうした?」
石須いしずさんも同じようなこと言うの。あの大杉の辺り、何かいるって」
「あそこで何かが身体の中を通り抜けたような気がして……」
「やめてくれぇ!」

 全員ガクブルする。

「ダイジョブ。この山イイ神サマしかいないヨ」

 根拠なく無駄に明るいリスキーノに力なく笑い、向かった広場ではキャンプファイヤーの点火を待つのみとなっていた。

「立派だね」
「火、ちゃんとくんかな?」

 その時、火の手が立ち、まるでイリュージョンのように炎の欠片かけらが夜空に舞い上がった。

「うわっ! すげぇ!」
「かっけぇ!」
「どうやってんだ!」

 やんややんや喜ぶ。

「ん? あれ何?」
「え、人!?」

 高く舞い上がった炎が作ったのは、確かに人の形だった。そのゆらぐ炎の人形ひとがたが、ポカンとする生徒たちを見下ろしている。

『あの方ときたら……わたくしの神気で己の気配を隠していたとは。わたくしの元に戻る前に、此処ここで他の女子おなごの気配を消そうとでもしておったのか? まったく……他の女子おなごどころかわたくしも立ち入れなかったではないか。だが、同じ名を冠するそこな者……我が名はスセリ。そなたのお陰でようやく通り抜けることが出来た。礼を申すぞ』

 そう言うと一瞬で掻き消えた。

「「先生、ホログラムすごい!」」

 拍手喝采で盛り上がる彼らを、勢斗せとたちは背後からただ見ていた。

「スセリ……確かに須世理とも書くネ。めいの力はスゴいネ。石須世理・・・・……石須いしずのフルネームはイシスと須世理重なりだもんネ」
「石須の身体を媒体にするとはな。ホログラムだと信じてる方が平和か」
「そうね。この山に須勢理毘売すせりびめが祀られていたのは他の女人にょにんを近づけないため、でもあったのね」
「あの二柱ふたり、あれで仲がいいみたいだしネ」
「それにしても、嫁さんが虫除け代わりか。まあ、ヒト生活なかなか楽しいしな。大国主にも一柱ひとりになりたい時があったのかもな」
「ってかさ。今回、おれたち“力”の出力間違えちまってたみたいだな」

🐤翌🐤日🐤

「ねー先生。昨日の仕掛けどうやったの?」
「何のことだ?」
「キャンプファイヤーだよ」
「何言ってんだ。湿気しけって点火出来なかったじゃないか」

「「?????」」

 9人は顔を見合わせた。

「どーゆうこと?」
「トボけてるようには見えないよね」
「……確かめてみる」と水生みずきが立ち上がった。

「先生。ストーリア学園の皆、喜んでましたよ」

 太日向が怪訝そうに首を傾げる。

「お前たち、あそこの生徒と面識あったか?」
「「え」」
「そりゃあ、おれは研修で顔を合わせたりはしたが、かなり前だ。あの学園は不思議なところがあるし……招待に応じて訪ねたりもしたが、所在地に辿り着けた試しがなくてな。それきりのはずだぞ?」

 背中を冷たい汗が伝う。

「え、じゃあ、アレ何だったの?」
「先生の態度、確かに不思議とは思ったけど」
「無視とかじゃなくて、私たちにしか見えてなかったってこと?」
「言われてみれば思い当たるフシが……(なくもない」

 一気に血の気が引く。

‎.。oO(( 誰かぁ!〈夢〉だと言ってくれ!!))

 こうして冷や汗にまみれた合宿は幕を閉じたのだった。
 
 
 
 
 
~チャンチャン~
 
 
 

✵°⿴⿻⿸✧✵✧⿴⿻⿸°✵

 
 
 
 
 
今回はゲストにエジプトの方々をお招き致しましたwww

【ゲスト・ストーリア学園の皆さん】
オッシー・リスキーノ ──オシリス
ララネフ・ティースミス──ネフティス
勢斗コウガ      ──セト
石須 世理      ──イシス/スセリ
大空 隼人      ──ホルス
三門 当麻      ──トート

名前、苦しくて堪りませんwwでも許してwww

ちなみに、何となくほんのりと昨年の夏祭りとかぶらせてますw

最後までご覧いただきありがとうございました。

明日は 吉田翠さん です❢
どうぞお楽しみに❢‎⁦‎⁦‪(嬉〃∀〃)ゞ

 
 
 
 
 

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