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ジョン・トーランドの汎神論 スピノザの影響と政治的自由の展開

ジョン・トーランド(John Toland)は、1705年の著作『Socinianism Truly Stated』において「汎神論(Pantheism)」という言葉を初めて使用し、自然や宇宙全体を神と同一視する思想を説明しました。

この汎神論は、神を自然に内在する非人格的存在と捉え、従来のキリスト教的な超越的人格神の概念に対抗するものであり、バールーフ・スピノザの「神即自然」に強く影響を受けています。

トーランドは、スピノザの概念を受け継ぎつつも、神や宗教の理解を合理的思考に基づけるべきだと強調し、神秘的な教義や奇跡を排除しました。

トーランドの汎神論は、スピノザの自然法則を通じて神を理解する考えをさらに発展させ、理性と科学による神の理解を推進しました。

彼は宗教的権威に対する直接的な批判を展開し、宗教が権力者によって悪用されることに反対しました。

さらに、トーランドは汎神論を政治思想に応用し、共和主義や個人の自由を強く支持しました。

権力の集中に反対し、宗教と国家の分離を訴えながら、汎神論的な自然観を政治的自由の基盤として位置づけました。

このように、トーランドはスピノザの汎神論を発展させ、宗教批判と政治的自由思想を絡めた独自の展開を見せ、啓蒙時代の思想や後の哲学に大きな影響を与えました。

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