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グノーシス主義の中心的教義 悪の起源

グノーシス主義の中心的な教義は、物質世界の悪や不完全さの起源を最高神(プレーローマ)に帰さず、デミウルゴスという下位の存在に帰する点にあります。

最高神は完全で純粋な善の存在であり、物質世界の創造やその中に見られる悪や欠陥には直接的に関与していないとされます。

このため、物質的な世界に存在する不完全さや苦しみは、デミウルゴスによってもたらされたものであり、これにより最高神の絶対的な善性が保たれています

さらに、グノーシス主義では、宇宙には複数の神々やアイオーンと呼ばれる神的存在が階層的に存在していると考えられており、これらの存在が物質世界の創造や管理に関わっています

しかし、これらの神々は最高神に比べて劣った存在であり、特にデミウルゴスは物質世界を創造する役割を持ちながらも、真の神ではないため、その創造物である世界は不完全で悪を含むものとなりました

この教義に基づいて、グノーシス主義者たちは物質世界を悪として見なし、精神世界を善として対立的に捉えています。

物質的な束縛からの解放、すなわち精神的覚醒や知識(グノーシス)の獲得が、人間の救済において重要であるとされます。

グノーシス主義において、救済とは物質世界の悪からの解放であり、そのためには真実の知識に目覚め、最高神と再び一体となることが求められます。

このように、グノーシス主義は宇宙の構造や悪の起源について独自の世界観を持ち、物質世界における人間の苦悩を説明しようとする宗教哲学です。

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