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オイストラフとチャイコフスキーのバイオリン協奏曲

オイストラフのチャイコン(チャイコフスキーのバイオリン協奏曲)を聴いている。ダヴィッド・オイストラフ。私は彼が弾くバイオリンが大好きだ。

1908年9月30日、現ウクライナのオデーサ(当時はロシア帝国)に生まれたオイストラフ。そう、実は今日は彼の誕生日だったりするのだが、誕生日なのを意識したわけではなく、たまたまこの土日に台湾出身のバイオリニスト、レイ・チェンのYouTube動画を何本か見ていて(英語学習も兼ねている)、それをきっかけにあらためてオイストラフのチャイコンを聴きたくなった。

上記動画では、レイ・チェンが代表的なバイオリニストのコンチェルト演奏を聴きながら、バイオリニストごとの弾き方の違いを実演も混ぜつつ(これがすごく贅沢!)、わかりやすく解説している。チャイコフスキー以外の曲も配信されており、興味深く見ている。

で、そのチャイコン解説動画のトップバッターで出てくるのがオイストラフ。自身のチャイコンの演奏のモデルにしていると言っている通り、レイ・チェンがうっとりした表情でオイストラフの演奏を聴いていて、オイストラフ好きとしては見ていて非常に嬉しい。(もちろん、レイ・チェンの方が私の何百倍もオイストラフの音源を聴いて、深く理解していると思うけど)

オイストラフの演奏は、弓を幅広く使い、太い指で大きくビブラートをかけながら、おおらかに語るようにフレーズを奏でる。何よりもあの豊潤で温かい音色が、陽だまりにいるみたいに、ふわっと心を満たしてくれる。

これをチャイコフスキーのバイオリン協奏曲と掛け合わせると、もう絶品。あの一楽章は、本当にエンドレスで聴いていられる。素晴らしい曲を作曲してくれたチャイコフスキーにも、素晴らしい演奏を残してくれたオイストラフにも感謝しかない。

そして、ロシア帝国が生んだ巨匠二人に感謝をしながら、少しだけ思う。こんなにも温かい音楽を作るのが人間なのに、残酷に争うのもまた人間であることを。この優しい音楽のように生きるには、人間はどうしたらいいのだろうか。


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