ZERO ESCAPE 9時間9人9の扉 クリア感想
PS4版にてクリアしました。
本作はZERO ESCAPEシリーズ(もしくは極限脱出シリーズ)3部作の1作目。シナリオ担当は打越鋼太郎氏で、彼が担当したゲームでプレイしたことあるのはAIソムニウムファイルシリーズ。
私がnoteで投稿したものなら以下の記事が該当する。
私はAIソムニウムファイルシリーズが好きで、シナリオが打越氏だからという理由だけで買いましたが、オカルト要素はもちろん、謎が謎を呼んだと思いきや、唐突に叩きつけられる真相に驚いたりと、終始安定した面白さに大満足。ゲームパートの脱出ゲームに関しても、よくある画面総当たりにポチポチするだけでなく、数字根や進数などを題材にした頭を使うパズル要素もあって飽きることなく楽しめました。
この頃からサスペンスに似非科学などのオカルト要素を混ぜたシナリオは健在、というか作風は一貫性があって変わってないんだなぁと感動すらした。初リリース、2009年でNintendoDSからだってさ。SEすら同じだったし。
では、感想にいきます。
ストーリー
ガスマスクを被った謎の人物・ゼロによって大型客船に閉じ込められてしまった主人公の淳平と幼なじみの茜を含む男女9人が、「ノナリーゲーム」というものをさせられる。
ルールは、参加者9人のはめるバングルの数字の合計と同じ数字の扉を開き、その先のギミックを解きつつ、最終的に9の扉を開けば船から脱出できるというもの。制限時間は船が沈むまでの9時間。果たしてゼロは何者か、ノナリーゲームの目的とは、そして9人は生きて脱出できるのか、というのがあらすじ。
密閉空間にルールと制限時間付きという死と隣り合わせの極限状態でのゲーム、そして互いに素性の知れない参加者たちの思惑や打算によって変化する人間ドラマ、先へ進むごとに明かされる真実はここぞというときに驚きを与えられ、なるほどと思う間もなくまた別の謎が増えたりと、常に続きが気になる内容で面白かった。ほぼフルボイスではあるが、テンポはとても良い。
更に数字根による駆け引きとストーリーが分岐するのも面白いところ。数字根というのは例題を出すと、
1+3+9=13
と、通常だと「13」と当たり前の答えになるが、数字根では数字が2ケタ以上なら1ケタになるまでそれぞれの位の数字を足し算しなければならない。それに倣って再計算すると
1+3+9=13、1+3=4
という感じで、数字根では「4」となる。
4の扉の場合、4のバングルをはめた人だけで開くわけではなく、ルールで3~5人で扉の中に入ることと縛られているので、先ほど例に出した計算式で数字根4を作れた「1と3と9」のバングルをはめた人だけが4の扉へ進める、となる。そのため、数字根4が出せる複数の計算パターンが考えられるので、誰がどの扉へ進むか、逆に誰が取り残されるかという駆け引きが発生する。ここはちゃっかり主人公の淳平も駆け引きをしてくるから、なかなか面白かった。
そういった数字根の話に加え、似非科学などのオカルト要素でより面白さが増すことに。AIソムニウムファイルでもあった要素だが、本作でも意味のあるものになっており、あぁ、ここの展開はこのオカルトを利用してやっているのか、と事前にオカルトの説明を受けたためにトリックやオチにも納得させられるものになっていた。
まぁ、制限時間9時間というわりに、こういう話を知っているか? と言って時間をかけてオカルトの概要を説明したりするのは、ちょっと緊迫感に欠けるけどね。
キャラクターも思ったより良かった。分かりやすいビジュアルに個性的な面々に加え、第一印象で嫌なやつと思っていたら意外と良いやつで印象がガラリと変わったりと、ストーリーを進めるごとに声優効果も重なって各々の魅力が増したかな。脱出ゲームパートで仕掛けを解いたら褒めてくれるしね(ここはボイスないけど)。
ちなみに立ち絵は瞬きしたり体全体が動くことがあるんだけど、ドット絵とかLive2Dではなく、セル画アニメのような味のある動きをしてて、これはこれですごく良いと思った。
とはいえ、相変わらず寒い親父ギャグを入れ込んだり、少し下品な下ネタがたまに出たりと、AIソムニウムファイルシリーズ同様にギャグ系は好みが分かれそうな気はした。まぁ、頻度はそう多くはないしボイスもほとんどないんだけど、聞きたい人は同じところをポチポチしてみよう。個人的に、パ!イ!プ! は好き。プ!がそんなノリの良いやつだったなんて。
ちなみに3部作であるためか、特定の謎や人物に関しては次回作へと持ち越しになってます。といっても、本作だけでも十分面白かったし、物語の締めは気になるところで終わるとはいえ、一応キレイにまとまっているとは思ったので不満はなかったですね。続編にも期待を持てるしね。
ゲームシステム
基本は典型的な脱出ゲーム。これとは別に、数字根や進数などを使った謎解きもある。制限時間は特にないので自分のペースでゆっくりできるし、ミスや間違いを重ねたら淳平や他のキャラからヒントをもらえる新設設計となっている。制限時間9時間とは。
また、ストーリーはマルチエンディングとなっているので、それらを回収するのにフローチャートが大いに役立ったのは良かったかな。
ゲームパート
部屋の中を淳平の視点を変えながら画面に映った気になるところをクリック、脱出のカギとなるアイテムを見つけたらそれに関連しそうなところに使って次に、と順に解いていく。脱出ゲームだけなら難易度はかなり易しい。
ここはどちらかといえばストーリーとリンクしているような感じで、部屋の謎を解いたら新たな謎や真実が判明したり、特定のタイミングでキャラの伏線や素性が明らかにされたりといった流れがよくあった。難易度的に頭を悩ませるとしたら、脱出ゲームよりもその過程で出てくる一部の謎解きの方があるかな。
さくさく解けるものもあれば、頭を悩ませるものもある。数字を使ったパズルもあるが、場合によっては正攻法で解いてはいけないものがあったりする。例えここで詰んだとしても、適宜ヒントが与えられ、場合によったら答えを言ったも同然のヒントをくれる。
個人的には脱出ゲームとパズル要素が難易度的にメリハリの効いたバランスになっていたと思う。難易度が緩すぎてもダレるだけだし、難しいものばかりだと投げやすくなるだろうからね。
マルチエンディング
脱出できなければ悲劇的なバッドエンディングとなるが、このゲームは打越氏のシナリオ。それぞれのルートでないと判明しない情報や、AIソムニウムファイルシリーズにもあった仕掛けもしっかり用意されている。
それらエンディングを回収するのにフローチャートがとても便利だった。ストーリーに沿って細かくポイントが作られているので、分岐点などに瞬時に飛べるだけでなく、記録の保持もしてくれるんですよね。
例えば、1本道の先に左右に分岐するルートがあって、どちらかに進んだ先でまた1本に合流するルートがあるとする。で、もし左ルートがクリア済みであれば、ストーリーに沿って分岐点で左ルートに入ったらすぐにフローチャートを開き、分岐点と合流点の間のストーリーを無視して合流点に飛んでも、プレイヤーは左ルートに入って合流点にたどりついたとしてと記録してくれるんですね。メリットは、無視した道中にクリアした脱出ゲームがあれば省略できるんです。脱出ゲームをもう一回とか、さすがに時間がもったいないですからね。
総評
ストーリーは常に先が気になる展開でしたし、オカルト要素を混ぜたサスペンスは驚きを与えてくれたりと、時間を忘れるくらいに夢中になってました。正直、キャラはあまりパッとしない感じでしたが、声を聴き、ストーリーを追うごとに魅力が増していきましたね。それに脱出ゲームでパズルを解いて褒めてくれたら良いやつだって思うじゃないか。
脱出ゲームでも思ったより頭を使うし、数字に関するパズルが出たら結構脳をフル回転してました。数字は嫌いではないので楽しかった。まぁ、ヒントという名の答えが出たときは悔しかったですけど。
なかなか楽しく、取り残された謎も気になるので、このまま2作目の「善人シボウデス」、やるでぇ~。