メタルギアソリッド4 GUNS OF THE PATRIOTS クリア感想
PS3版にてクリアしました。難易度はLIQUID EASY。
シリーズの集大成、そしてソリッド・スネークの物語の完結編であると同時に、シリーズの当たり前を見直した挑戦的なゲームにもなっていると感じました。
私事としては、何年も前にレガシーコレクションというものを購入していたのですが、メタルギアソリッド3に満足してしまった結果なんと2年以上も間を空けてしまい、今回ようやく腰を上げてプレイしたという経緯があったりします。
いやぁ、実はメタルギアシリーズ独特のステルスアクションはどうしても苦手意識があり気合を入れないと投げ出しそうだったもんで、それが今回やる気スイッチが入ったんですね。このPS3ソフトのおかげで私は元祖であるメタルギアからプレイしているのですが、その頃からストーリーが好きだったので意地でもゲーム体験を通してストーリーを味わいたかったんですよね。その割には期間空きすぎですけど。
なお、ここからメタルギアソリッドシリーズはMGS、メタルギアシリーズはMGと省略します。
前置きはこのくらいにして感想へ。
ストーリー
前述したように、今作はシリーズの集大成であり、ディレクター・小島秀夫さんが宣言した通りソリッド・スネークの物語の完結編となっている。なので最低でもMGS1・2・3はプレイ必須ではあるかなと思う。あ、ほぼ全部だ。
というのも、MGS1・2・3は単独でも楽しめるようになっていると思うのですが、MG1・2も含むそれぞれの作品で起こった事件やあらゆる発端の全ての点が今作へと線で繋がっており、それらを回収・清算するのも過去に登場したキャラクターで固められているので、過去シリーズをプレイしないと作品知識やキャラの生い立ち等が理解できないために間違いなく感動が半減すると思いました。
ストーリーにおける挑戦としては、本作はリキッド抹殺のために世界を駆け巡ることになっており、過去シリーズにおいてお約束であり定番であった敵地への潜入・ステルスミッションから、紛争地帯及び銃弾飛び交う絶賛交戦中の真っ只中へ第三者として紛れ込み目的地である敵地へと向かうものに変わっています。
何より今作は戦争経済という分野が主テーマになっているためか、初代から一貫していた核兵器の脅威という反戦反核のテーマ、そしてシリーズの象徴である核搭載二足歩行型戦車・メタルギアが本筋から外されるという試みもなされています。
まぁ、関係ないわけではないし、戦争と核兵器は切っても切り離せない共通性のあるものなので外されるは過言かもしれないが、MGから始まった陰謀の解答編の印象が強いので、私自身はそう解釈しています。実際、序盤のモノローグでスネークは「戦争は変わった」と発言してますし、それが今作のテーマの根幹部分だと思いました。
過去作からのけじめを本作でほとんどのキャラがつけることとなるため、語ろうと思うと何かしらネタバレになりそうなので、本編を回想しながら語ることは思い踏みとどまっていたのですが、公式ホームページであらすじという名のネタバレしてんだよなぁ。まぁ、いきなり4からプレイする人は少ないだろうから、スネークの物語を追っている人は必然的にやる形になるとは思う。
ただ、どれだけストーリーが良かろうが悪かろうが、その判断は間違いなくムービーに左右されると思われる。
ムービーパート
ストーリーにリソース全振りしているためか、2008年のPS3ソフトでここまで作り込められるのかと驚くくらいムービーの力の入れ具合がトップレベルの出来栄え。フレームレートを除いたらPS5にも負けない、何だったらCG映画にも引けを取らないくらいのクオリティとなっている。
また、ゲームパートよりもムービーパートの方が長いなんていわれるためにムービーゲーなんて揶揄されているが、ネット曰くムービーだけで総時間は9時間超えらしく、実質的に1時間ドラマ1クール分もあるという計算になるため、あながち間違いではないという。なお、エンディングは1時間以上あるので、しっかり時間を確保しよう(私は睡眠時間が減りました)。
映画的な間の取り方、カメラワーク、キャラクターの感情の機微の表現、戦闘シーン等とシリーズで1番演出に力が入ってて感動ものだった。リアリティある演技は中の人である声優の力だけでなく、もう一人の中の人であるモーションアクターの力も大きいかもしれない。雷電カッコええんよ。とはいえ、その戦闘シーンや他にも軍隊全員集合シーン等々豪勢ながらクドい演出が多々あったので、もう少しコンパクトに収められなかったのかなとも思った。戦闘長引かせる雷電が悪いよ(おい)。
それでも、映画が好きな人なら今作の演出は心地よく最高傑作であると断言できる。逆にコントローラー置いてまでストーリーに没頭できない人は、苦しい時間になる可能性があるかも。
ちなみに私は本作のムービーは大好きで、ストーリーにも大変満足しています。序盤のステージなんかは映画「ブラックホークダウン」を彷彿とさせる空気感と、あちらこちらから聞こえる銃弾の音響に感動しちゃった。
あえて物言うとしたら、シリーズ定番だったコメディ部分や得意のメタ的なセリフに無線ネタが過去一少ないのが不満なくらい。無線で話しかけられる相手なんてたった二人しかいないし。まぁ、歳をからかわれたり煙草を吸えなかったりして、その度に気力ゲージを減らすスネークは何回見ても面白かったけど。
かといって、ムービーゲーだからゲームパートで手を抜いているかといったら決してそうではないから、個人的にはそこが意外だった。
ゲームパート
ここからゲームパートの感想を述べるが、前述したとおり私自身はMGSのステルスアクションに苦手意識を持っているので、難易度イージー、しかも攻略まで見ながら楽をしてても難しいと思っていることを前提にして読んでいただけるとありがたいです。
今回はストーリーに沿った形で、それに合わせるために多くの挑戦的な試みをしていると思いました。
まず、ストーリーでも言ったように、過去作では先に敵地に乗り込んで敵に見つからないように奥へ進むのがお決まりだったが、本作の中盤までは紛争地帯に紛れ込んで敵地へ向かうのがメインとなっている。
そして、本作のキャッチコピーでもある「NO PLACE TO HIDE(隠れるところはない)」の通り、隠れる場所がゲームでもほぼないのが特徴なので、ステルスする意味あるのかっていうくらいのゲームデザインとなっている。隠れる方が無駄な戦闘を避けられて有利なのは変わらないものの、麻酔銃より殺傷能力のある武器が豊富に用意されているし、終盤は潜入というより突入してるし。
といってもホントに隠れる場所がないかと言われればそうではなく、建物の隅や草むらの中、段ボールで隠れるといった従来のものは継承されているのでできないわけではないものの、潜伏箇所が少なく、敵が別の部隊と交戦中だと相手も同じく潜伏していたり、あちこちで銃撃戦を行っているためにうろついている兵士が多くて見つかりやすくなるため、限りなく困難に近い状況故に、ステルスを意識すると難易度が跳ね上がると思われる。シリーズ共通だが、初見でノーキルやノーアラートできる人は凄いと思う。
ちなみに、私はACT.2までは頑張って麻酔銃でノーキルしていたのだが、とある戦闘にてマシンガンで月光を狙ったはずが、一般兵に流れ弾であたってカウントに含まれてしまったために諦めました。
また、本作はある程度の自由度もある。MGS3に近いエリアマップデザインになっているのだが、より広いエリアマップも用意されており複数のルート選択が可能となり、一本道で用意されているルートをなぞらなくても好きな攻略方法で突破できる楽しみが増えているのは良いと思った。状況によっては、戦闘している片方の部隊に肩入れして一緒に戦うなんて攻略もあって面白かった。
ただ、賛否ありそうなのがドレピンショップというシステム。シリーズ通して武器弾薬・道具の全ては現地調達というモットーだったゲームが、本作からはメニュー画面にあるショップを開き、特定の条件で手に入るポイントを払えば、戦闘中であろうといつでも武器弾薬を入手できるようになった。無論、使うのがイヤなら縛ればいい話で、従来通り武器弾薬はそこら中に落ちてるし敵からも奪えることに変わりはない。私は麻酔銃やRPG系の弾薬を積極的に購入しちゃった。
中盤以降になると全く別ジャンルのゲーム体験が用意されていたりする。ここまでくるとホントにステルスゲーム?って疑うくらいバリエーションが豊富。尾行したり、過去作のオマージュがあったり、サプライズな戦闘が用意されていたり、潜入ゲームにあるまじき正面から突入をかましたり。まぁ、ある意味楽しかった。
とはいえ、スネークの操作性はダッシュができない以外は快適そのもので、MGSシリーズを通しでやっていれば操作に困ることはないと思う。追加要素としては、便利な眼帯やラジコンが追加、カムフラージュ装備は服を着替えなくとも自動的に擬態するようになったりしている。また、ボス戦も引き続き人外なやつらのエキセントリックな能力に翻弄されることとなるので、スネーク単体の話ならいつも通りといえる。
総評
スネークの物語を追っている人には是非ともおすすめで、映画・ドラマ・アニメ・配信といった座って視聴するという行為が苦でないなら最高の映像体験ができると思われるが、倍速視聴する人やゲームだけをしたい人には厳しいかもしれない。
ゲームパートにしても、いつものステルスアクションと思ってやると面食らうと思うので、スネークを使った別ゲーと思った方がいいと思う。MGSのファンは、このゲームパートはステルスアクションと思っているのか気になるところではあるかな。
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