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Ib(イヴ)リメイク版 クリア感想

 PS4版でクリアしました。

 もともと2012年にフリーゲームで発表されたものを、下地はそのままにグラフィックを向上、一部の謎解きの調整などが施され、有料でプレイできるようにされたリメイク作品。

 2D探索型ホラーアドベンチャーというジャンルで、私はホラー物がとても嫌いなためにおっかなびっくりとプレイしてましたが、ホラーの定石は押さえているものの、見下ろし型のデフォルメされたゲームデザインなためか怖さはマイルドになっているので、まぁ、大丈夫でした。

 何よりも、例えばインディーゲームで一世風靡したアンダーテイルやコーヒートークといった、個性的な雰囲気やキャラクター性に通ずるものがIbにもあり、クリアした今となっては主人公のイヴはもちろん、ギャリー、メアリーと3人のキャラに思い入れができるくらい好きなゲームになりました。

るーららー

 では、感想を。


ストーリー

 両親とゲルテナ展を見に美術館へ訪れた主人公・イヴが、異変により美術館に閉じ込められ多くの怪異に見舞われながら脱出を図る、というあらすじ。

 ゲーム性に合わせたようなとてもシンプルなものだけど、このゲームの魅力的なところはキャラクターと異変の起こった美術館の雰囲気が良いところかと思う。多分、このゲームに思い入れを持つ人はこの2点が主な理由じゃないかな。少なくとも私がそうなんで。

キャラクター

 登場するキャラはたったの3人(イヴの両親を除く)。主人公のイヴと、道中で出会うことになるギャリーとメアリーのみ。なんだけど、短いストーリーの中で言葉を交わす会話の内容から汲み取れる心情がとても良かったんだよね。

 基本的に3人が美術館を訪れる以前のことは語られないけれど、イヴと会話しているときに出る裏表のない内面が見えるところがいいなと思った。ギャリーなら相手への気遣いや時節出てくる心の弱い部分、メアリーなら無邪気さや純粋さ、といったところかな。

おねぇ言葉で性格イケメンなギャリー
メアリー、素直なんだよね

 イヴに関しては喋らない主人公ではあるけれど、会話の選択肢から想像できる性格であったり、時にはプレイヤーの操作から離れて独自に動き出すときなんかはダイレクトに気持ちが理解できて魅力が増したなと思ったりした。

容姿とセリフから想像できるイヴの性格

 何よりも、考察や想像の余地があるので、より愛着が湧きやすい。自分の中でキャラクターの妄想が掻き立てられるし、誰かと語り合いたい魅力があるんですよね。

美術館の雰囲気

 異変中とはいえ内装はあくまで美術館で、展示品もあくまで美術品であることを崩してないところがまた良い。

 ホラーであるので薄暗い場所が多く、謎解きのための美術品がほとんどではあるものの、全てにタイトルが付けられていて且つユニークなものもあって、単純に展示品の鑑賞としても面白いものだった。

色々と怖いけどじっくり見てみたい展示品

 クリア特典でゆっくり展示品を鑑賞できるようになるけど、パッケージ版にはアートブックが付いてるので、私はこっちでのんびり鑑賞してます。パッケージ版買って良かったぜ。

通常版にも必ず付属するアートブック

ホラーの塩梅

 ネット上ではホラー苦手な人も大丈夫と出ていたけど、ホラー嫌いの私から言わせれば「いや普通に怖かったよ?」という感想が出る。ただまぁ、ホラー好きには物足りないだろうなぁ、とも感じた。

 見下ろし型の2Dデザインなためにエリア全体を俯瞰的に見られるので、大手3Dゲームみたいな視界の制限がないために見えない恐怖は半減しているし、展示品を見ていたら「あ、こいつ動くんじゃね?」と予想できたり、何かしら怪異が発生しますよと宣言してるかのような予兆が出たりするので、基本的に怖くなる前に教えてくれるんですよね。

 ただ、油断したところで窓バン! だったり、急に照明オフ! されたりといったびっくりポイントはあるし、不安を煽るBGMと一緒に後ろから女の人に迫られる怖さはあるので、ホラーの定石は押さえてはいるかな。ちなみに、私はSEのボリュームを30%くらいに下げてたので大丈夫でした。

絶妙に速い、追いかけてくる何か

 多分だけど、洋画のようなびっくり系より邦画のようなジワリとくる怖さがこのゲームの場合は近いかなと思う。

 それにまぁ、イヴ1人で行動しているときが1番ビクビクしてたかな。同行者が増える後半からは、怖さよりも不安や奇妙さにあてられることが多かった印象だった。

ゲームシステム

謎解き

 エリア内で一つ目の仕掛けを解いたら次の仕掛けへと、とゼルダの伝説みたいな感じで進める。仕掛けはエリアごとに完結してて難易度的には易しい。分からなくなってもエリア内に何かしらヒントがあったり、同行するギャリーかメアリーに聞けばアドバイスしてくれたりするので迷うことも少ないかなと思う。

 まぁ難易度はともかく、私は謎を解くと反応したり変化する展示品を見る方が楽しかったかな。・・・ホラー的な恐怖心を煽るものもあったけど。

 ただ、難しさでいったら謎解きよりも分岐するエンディングの回収の方が上かなと思う。

マルチエンディング

 このゲームの1番の見所。迎えるエンディングによって3人の結末が変わる。全部で7つあるのだけど、是非とも全部見て欲しい。笑顔になる結末はもちろん、悲劇や狂気的な結末もあるので最後まで飽きにくい作りになっている。

1つの結末に複数のパターンがあったりする

 各エンディングを迎えるにあたってフラグ管理が大事になるので、私は攻略サイトを見ながらやりました。フリーゲーム作者さんのサイトでもヒントや別サイトに繋げてくれたりしてくれたので、正直とても助かった。

 場合によっては周回でフラグ管理をやり直す必要がありますが、そもそもクリア時間は初見で2~3時間、謎解きの手順を覚えたら30分~1時間でクリアできると思うので、思ったよりはすぐ回収できるかな。

 あと一応、追加ダンジョンというものがあるがこっちは謎解きの追加の印象があるかな。

総評

周回しながら美術品のコンプもできたぁ

 初めこそホラーというだけで警戒していましたが、終わってみればとても思い入れのあるゲームの1つとなりました。フリーゲームで10年以上愛されてるだけあるかな。何か自然とIb関連のグッズとか検索しちゃってたし。

 ネットでいわれる通り、ホラーやゲームそのものが苦手な人にも勧めやすいし、キャラの個性も短いストーリーの中にギュッと凝縮されているのでキャラ物が好きな人にも良いかな。アンダーテイルやコーヒートークみたいなドット絵の雰囲気が好きな人にこそ刺さりやすいと思った。

 あぁ、3人揃って笑顔になって欲しかったなぁ。

どうしてそんなこと聞くの?(泣)


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