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英雄伝説 黎の軌跡Ⅱ CRIMSON SiN クリア感想

 PS5版にて、本編およびクリア後の追加ダンジョンを難易度ノーマルでクリアしました。

 本作は前作の黎の軌跡の続編ではあるものの、印象としては軌跡シリーズとしての大筋の話は一旦停止。更にストーリーは主人公よりも脇役に焦点を当てていたり、次回作への布石を打たれているようにも感じた。また、前作では期間限定でパーティー入りもしくは戦闘に不参加だったキャラが多数プレイアブル化されたのも特徴。私個人は空から好きなレン・ブライトを空の軌跡 the 3rdぶりに操作できたのは嬉しかった。

 個人的な印象としては「続編」というよりは「後日談」、「2」というより「1.5」、そして多くのミニゲームが用意され、更にストーリーに縛られず全員操作が可能になるMK社開発の謎の仮想空間・お伽の庭城<メルヒェンガルテン>の存在が過去作・空の軌跡 the 3rdを彷彿としたことから、私は「ファンディスク」に近いものと思うようにした。開発期間もたったの10ヶ月らしいしね。前作を気に入っているのもあってそれなりに楽しめたかな。

ファンが試されるのはみっしぃもまた同じという

 感想を述べるにあたり、ストーリーは最後に回します。


投稿者のシリーズプレイ歴

 とりあえず、投稿者である私自身が軌跡シリーズをどこまでやっているかを計る参考に。好き嫌い等も一言だけ書いておきますので、面倒な人は飛ばしてください。

・空の軌跡FC(PSP版)←好き(あんですって~!?)
・空の軌跡SC(PSP版)←好き(モチのロンよっ!)
・空の軌跡 the 3rd(PSP版)←普通(やで)
・零の軌跡(PSP版)←かなり好き(この弟ブルジョアジーがっ!)
・碧の軌跡(PSP版)←好き(俺が勝ったら君は俺がもらう)
・閃の軌跡1(PS3版)←普通、ドラマCDあり(いい風が吹いたようだ)
・閃の軌跡2(PS3版)←かなり嫌い、付属ドラマCDはマシ(さすがリィン)
・閃の軌跡3(PS3版)←嫌い(これも雛鳥の薫陶の賜物だな)
   ~空白期間~
・黎の軌跡1(PS4版およびPS5版)←かなり好き(だあぁもぅ!)

 となります。未プレイは閃の軌跡4、創の軌跡、Evolutionシリーズ。改は移植扱いで省きます。

戦闘

 まず、魔法攻撃であるアーツだが、前作で強かったアーツの弱体化に伴い台頭したのは新要素・デュアルアーツ。そして同じく新要素として、相手が怯むスタン状態になった際に特定の攻撃方法で追加攻撃を発動できるEXチェイン。この2つが高火力を叩き込める重要な攻撃方法となっており、今作も敵の体力が高いのでかなり重要。アーツのケートゥスファンタズマには大変お世話になった。

 で、物理スキル攻撃であるクラフトはどうかというと、新要素として強化ができるようになったのは嬉しい要素だった。これにより威力アップや消費CP低減、硬直時間短縮等と恩恵が得られるので、EXチェインの兼ね合いもあってより積極的にクラフトを狙える機会が増えたように思う。

 私はクラフトを補助的な使い方に主人公ヴァンをタンクにしつつ、メイン武装はデュアルアーツ主体の立ち回りにした。そして、オーブメントの組み合わせにより発動するシャードスキルやクラフトによっては半永久固定アーツ砲台を作り上げられ、それができた時の私はめっちゃニヤニヤしていたと思う。戦闘の最適解を探すのもコマンドバトルの醍醐味ではあるからね。難易度ナイトメアのガチ勢には及ばないだろうけど。

 そして、今作から必殺技であるSクラフトに更なる使用制限が課せられた。同じ戦闘中に一人が一度使った後に使用条件が整っていたとしても、そのキャラのSクラフトだけはしばらく発動できないというもの。私が過去作でやったことあるやり方で、主人公がSクラフトの発動を終えて仲間にアイテムでCP回復してもらい、すぐに主人公の二度目のSクラフト使うといった荒技ができない、という感じ。まぁ、調整という意味では良い案配かなぁとは思った

 今作でも搭載されたハイスピードモードの恩恵もあり、スキップ機能も併せてよりスピーディに戦闘を終えられるのは気持ち良い。フィールドバトルでさっさと敵をスタン状態にしてからコマンドバトルに切り替え、1ターンキルする流れ作業も比較的楽にできるため、戦闘に至ってはシリーズでも過去1番に快適且つ楽しいのは間違いない。また、ボス戦をする回数も前作と比べると結構増えているんじゃないかな。

今作初登場の新たな敵

お伽の庭城<メルヒェンガルテン>

 序盤から入れるメインコンテンツでありエンドコンテンツのダンジョン。

 MK社が作った仮想空間だが、軌跡シリーズでついに古代遺物を除く現代テクノロジーで人為的に異空間を作り出すことに成功してしまったようで。前作にも仮想戦闘シミュレーターという専用の端末を使って仮想空間を生み出していたのだけど、私はてっきりAR空間かと思い込んでいたんだよねぇ。実際はまさかのVRに近く、ノートパソコンだけで端末へとアクセス可能なだけでなく、宿屋みたいなネット環境の悪そうなところからでもアクセスできるというお手軽さに、体ごと仮想空間に移るわけではないのに痛覚まで反映されるという。この説明合ってるかな、もうわかんなくなってきた。

 ここでならストーリーに縛られず好きなキャラでパーティーを組めるという最大利点があるので、ファンサービスしてくれた空間に対して深く考えるのはやめよう。まぁ、ストーリーにもがっつり関わる重要なところなんだけどね。

 序盤からやるメリットとしては経験値稼ぎ、セピス稼ぎと金策、武器等素材集め、ここでしか手に入らないクラフト強化素材集めや衣装集めといった、本編ではできないやり込みができること。特に序盤はセピスが集まりにくいので重宝した。

ダンジョン攻略後にミスティックキューブで、
ご褒美をもらう

 1つのフロアに3~4つほどの天候以外は景色が変わらないステージを踏破し、最後のステージでボスを倒すまでがお決まり。RPGによくあるクリア後に入れるダンジョンみたいな構成だが、ステージごとに魔獣を〇体倒せとかオブジェクトを〇個破壊せよといった簡単なお題をこなして進む形式なため、ステージ上全ての魔獣を倒さずに進めばクリアするのに、レベルに余裕があれば20分もかからない。エリアの広さも一貫した大きさだしね。

 このダンジョンの良いところは、自分の裁量でどこまでやり込むか決められるところかな。ストーリー進行状況によって制限はあれど、やり込めばどこまでもやれるし、適当に切り上げることもできる。

 また、無料アップデートにてクリア後にフロアが追加され、裏ボスも登場する。私はアニエスのSクラフトに一度窮地を救ってもらったわ。

サブイベント

 まず、空から恒例のクエストは前作と比べ大幅に削減された。減るのはいいんだけど、軌跡シリーズのクエストはメインストーリーの伏線になりうる話や仲間やNPCのサブストーリーを兼ねたものもあったので、そこがちょっと物足りなくなったかな。まぁ、仲間の方はコネクトイベントでがっつり、てか前作以上に本編に入れてもいいくらいのかなり重要なイベントがあるけどね。

 その分増えたのがミニゲーム。ストーリーの合間に挟まれたり、自由行動時にできることもあれば、断章や終盤でストーリー進行に必須となるイベント消化に使われることも。難易度は易しく、失敗したときのデメリットがほぼないから気晴らしにはなったかな。

復活の釣り人
ちょっと気に入った1on1
FIOの操作も

 これもごく一部でまだたくさんある。

BGM

 変わらぬファルコム節。特に戦闘BGMは前作の倍くらいの曲が用意されており、個人的にどれも良かった。サントラが上下巻の4枚組てだけでもボリュームがすごいのに、随所で前作のBGMも使われる贅沢ぶり。

ストーリー

 さて本題。一応、本編前半と後半に分けてネタバレの分散と抑制を試みる。さすがにラストの結末までは言わないけど。さぁて、おじさん、頑張って話してみようかね。

 個人的には良し悪しとか面白いかどうかという前に、敵に関するドラマや伏線が少なすぎること、第8のゲネシスの機能が悪目立ちしすぎたことが気になった。特に特定の敵に関してはプレイヤー置いてけぼり。

 今作では最後に残った第8のゲネシスを巡る事件に巻き込まれるわけだが、今回も例に漏れずゲネシスのとんでも機能に振り回される。その中身は「侵蝕」「改変」「巻き戻し」。特に改変と巻き戻しの扱い方が少々ご都合主義なところがあったように思う。何より巻き戻しは軌跡シリーズ全体のストーリーにおいて重要な要素と思われるので、それでええんかという疑問を持たれても仕方ないように思う。

プロローグ~断章まで

 本編の前半にあたる部分。プロローグでショッキングな展開を見せてから始まる第一部は、公式ホームページでも売りにしていたチャプター選択方式が活きたところだったように思う。

 一方は遠方へ出張することとなった主人公・ヴァンのパート。もう一方は首都に残ったヒロインのアニエスと、パッケージ版&攻略本表紙入りを飾り且つアニエスと同時に新衣装をもらった実質の第2ヒロインである遊撃士のエレイン、そしてヴァン不在の間の代行を頼まれた創の軌跡の主役だったスウィンとナーディアたちのパートを進めることとなる。

 正直、この前半は良かった方だと思う。群像劇のような手法で必ずしも主人公・ヴァンが中心とはならず、物語のメリハリがあった。また、本編後半に繋がりそうな伏線だったり、次回作のための導線を引いたり、どんでん返しな展開を用意したりと見どころがあった。何より閃の軌跡からリアル頭身になって以来、ようやくアニメのような滑らかなムービーができたことが感慨深い。カシムvsシズナの戦闘ムービーは必見。

本編後半は滑らかに踊ります

 他にもレンなど複数のキャラのイベントも注目。あれ、軌跡シリーズってレンの成長物語だったっけ?推しキャラなんで嬉しいけどね、ありがとうございます。

 巻き戻しに関しても断章あたりから雲行きは怪しいとは思ったけど、この時はまだマシかなと思う程度だった。

断章ではみんなでバカンス

断章以降~終盤

 物語後半。ここからもう少し突っ込んだ話を。

 断章を終えてからは巻き戻し(ゲーム中の英語表記はTIME REAP)がふんだんに使われるのだが、意外性を狙ったのだろうけど何とも言えない感じ。次回作次第だろうが、仮にこのパートをごっそり抜いてもストーリーに影響出ないんじゃないかな。

 何がダメって、プロローグから巻き戻しが主人公たちに都合よく発動し、記憶保持したままリスクなしで丸く収まっているせいで単調なところ。バリエーションはある方だけど、主人公たちが死にました→巻き戻し→上手にやり直しましたと、これの繰り返し。ついには登場キャラも万が一に備えてゲネシスを装備、つまり巻き戻し前提で動いたりしているんですよね。タイムリープ物ならではの緊張感や葛藤がないけどいいのかな。プレイヤーがルート選択できるADVと違い、ストーリー主導のRPGと相性が悪いというのもあるかもしれない。まぁ、それなら映画やアニメはどうなのって話になるけど、畑違いということか。途中、戻されすぎて個人的に少し虚無ったし。

選択の余地なし

 このドラマ性のなさを補うかのように出てきたのが、ゲネシスの侵食による改変なのだが、正直巻き戻しよりも悪手、何なら禁じ手に近い手法なのではと思う。脇役たちのドラマ性の補完になるのかなと思いきや、一歩下がって元に戻るだけだし。

 で、これを採用するメリットとして考えられたのは、戦闘相手のリサイクル。このタイムリープのパートに出てくるボスキャラやボス魔獣のほとんどが前作に登場したものばかり。だから、制作側の都合も良かったのかなぁ、と。私はこういうところもあったのでファンディスク扱いにしてるんだけどね。

 そして、複数いる敵のうちの一人である暗殺集団<庭園>所属のガーデンマスター。残念ながらゲネシスを物語の前面に出したせいでガーデンマスターの情報がほとんど出ず、ポッと出のよく分からんやつになってしまったのは痛い。本編に気持ち程度の伏線はあったけど、せめてクエストとかでもっと背景を知る機会があれば良かったのに。小物扱いしたいのも分かるけど、ある程度の情報がないとただのNPCと同じだと思う。前作の悪役たちを見習って裏に引きこもらずもっと露出を増やすべきだったし、最後にバックボーンを解説すればいいってもんじゃない。

 どちらかといえば、ゲネシスの方がやばすぎと改めて思い知らされただけで、余計に存在が霞んでしまった。

 他にも、敵である紅黎き魔装鬼(あかぐろきグレンデル)・グレンデル=ゾルガもちょっとなぁと思うところがあるんけど、まぁ、これ以上はやめとこう。

こいつの話は結末に触れるので、
黙る!

無料アップデートの追加ストーリー

 語れることはほぼない。この時期なら、次回作である界の軌跡の初報の方が情報量は多い。唯一、博士の動向が気になる程度か。

おまけ

 この記事投稿日から約1年くらい前、本作発売から半年後くらいにですが、社長直々のインタビュー記事がありました。クリア後推奨の本編ネタバレ込み、開発裏話や今後のことが載ってましたので、未読で気になる方は読めるうちに。

総評

 ストーリー後半は結構ネチネチ文句言ってますが、ファンディスク扱いをしている自分にとってはゲーム全体的に楽しめた。何よりシステムがサクサクと快適、イベントシーンも戦闘もハイスピードモードで早送りできるのは良かった。通常戦闘もコマンドバトルながらささっとこなせるし、ボス戦もたくさん用意してくれているから、戦闘に飽きはこなかったかな。キャラもコネクトイベントでほっこりしたし。

 私みたいに前作の黎の軌跡1が気に入った人、あとは好きなキャラが登場しているようなら、ストーリーは置いといても気に入るんじゃないかなと思う。

以上!


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