見出し画像

ライザのアトリエ3 ~終わりの錬金術士と秘密の鍵~ クリア感想

 PS5版で本編クリアしました。難易度はノーマル。

 私のアトリエシリーズのプレイ歴は、黄昏シリーズと秘密シリーズ。

 3作連続でライザが主人公になった秘密シリーズ3部作の完結編。それに物怖じせずブラッシュアップされた戦闘、「鍵」により拡張されたシステム、そして広大なオープンフィールドの導入とゲーム開発陣の挑戦も如何なく行われており、最後まで楽しむことができました。

 とはいえ、ストーリーにおいては連作物の弊害として1作目からでないとキャラクターの情緒が伝わりにくく、挑戦的な部分でも良し悪しがはっきりしているために好みが分かれやすいかなと思った。

 ちなみに私のプレイ動機は、1作目からの推しキャラであるボオスがプレイアブル化したから。この1点のみですが、やって良かったと思ってます(ニッコリ)。私の中のボオス株が上がり、黄昏シリーズのロジーさんに次いで好きな男性キャラとなりました。

なんと序盤から使えるんだぜ!

 ということで辛口、とまではいかなくとも中辛くらいの気持ちで感想を書こうかなと思います。なお、各ナンバリングを呼称する際、ライザ1、ライザ2、ライザ3と省略させてもらいます。あと、調合はめちゃくちゃ楽しく面白いだけで語るに及ばないと思ったので割愛します。

調合最高ッス!

ストーリー

 ここでは、キャラクターにスポットをあてた物語と本編の物語を切り分けようかなと思います。

キャラクター

 ライザたち地元の幼馴染組を中心に、これまでの子供から大人への成長の物語から、自立した大人になる1歩手前の物語という印象を持ったのがライザ
3。1作目でライザは17歳、3作目で21歳だから私たちの世界でいうと就職活動みたいなものかな。タオやボオスは卒業控えた学生だしね。

 序盤から「ここで〇〇したね」といった過去作を懐かしむシーンや、ライザの両親との会話イベントも多く、将来これからどうしたいかという会話イベントも盛り込まれている。過去があっての未来の話があるからこそ、ライザ1からプレイしないと感情移入しにくいかなと思う。実際私は、あんな悪ガキがこんなしっかりした子になるんやなぁ、なんて感慨深くなったし。

思い出巡り

 ライザら子供組だけでなく、ライザ1から本編の因縁に関わっているアンペル&リラのお話もしっかり決着がつくので、1作目から追いかけている人ほど満足いくものになっている。ちなみに、ボオス推しの私はとても満足しました。

ライザ1から打って変わって頼りがいある当主の御曹司と商家の1人娘

 ライザ3からの新キャラも概ね良く、個人的にはパーティキャラのディアンとカラさんが気に入っている。ディアンは子供の成長というドラマを持っているし、カラさんは単純に外見・内面ともに好みに刺さった感じ。オーレン族最高。

ライザとは3つ歳下の18歳ながら工匠組合長代理を務めるフェデリーカ
ディアンは悪ガキに見えて意外と聡いし好青年
長命のじゃロリなカラさん、一族の長ながらノリは良いと私好みの属性モリモリ

 ただ、ライザ2からはパトリツィアが再びパーティキャラとして続投となったのだが、ここで沸いた疑問がなぜ同じくライザ2のパーティキャラだったクリフォードさんとセラは名前のみの登場としたのか。せっかく集大成っぽくなったのに、そういったところは中途半端だなと感じた。

ライザ2から1人だけ続投は寂しすぎる

 また、キャラ専用の会話イベントのほとんどは日常会話レベルの小話が多く、それこそ日常アニメ並みの無味無臭さなので、キャラのやり取りが好きな人はこれがいいんだと思うけど、私は流し読みすることが多かったかな。

本編

 ライザの地元・クーケン島の近くに突如出現したカーク群島の調査中、ライザのみに聞こえる謎の声とそれに導かれるように調合した鍵。それらの真相を追うというのがあらすじだけど、個人的にはあまり面白くなかった。

 題材とその結末は悪くないんだけど、せっかくのオープンフィールドという舞台装置を生かせずこじんまりとしており、ドラマのメリハリもなく事実を羅列するように淡々と進む。せめて、重要キャラとの再会イベントはもうちょっと伏線張ったりとかして凝って欲しかったかな。あと、錬金術士なのに理屈なしの何でもありな魔法使いの領域に踏み込んでるような気がしてならない。

終盤はアトリエ内で話が進むことも増えた

 何より、ライザ1や2は冒険の名に恥じぬ物語だったのに、ライザ3は仕事で遠方へ出張するついでに観光巡りができる、という感じで冒険してるように思えなかった。世界の広さに対してストーリーは狭かった印象だった。

オープンフィールド

 似たものとしてはゼノブレイドシリーズのように、1地方まるごと地続きにデザインされたフィールド。ライザ3ではライザ1のフィールドが再び採用されているのだけど、ライザ1でエリア制に分割されていたものが本作で全て繋がったことには素直に感動した。正直、アトリエシリーズはここまでの規模を開発できる環境になったんだなと感じた。

見えるところはほぼ行ける

 よくできでると感じたのは例えば同じ「森」でも、地方ごとに異なる森の体系をしているところをしっかり表現できているのが良いと感じた。

 ただ、本編でも述べたように広大なフィールドをゲームとして生かせているとはあまり思えなかった。ライザの世界を表現するという部分はよくできていると思うものの、ストーリーはもちろん、クエストや調合素材採取、RPG的な宝箱からのご褒美や強い敵との遭遇といった、プレイヤーのモチベーションを上げるものが足りなかった印象。

 私は2つ目の地方までは隅々まで探索していましたが、3つ目からは本編ストーリーと関係なさそうなところは行かなくなりました。キャラ専用イベントやクエストはあるのですが、前者は日常会話を聞くだけのものが多く、後者は特定の魔物を狩れといった作業性の強いものが多かったので、単純にやる気がなくなりました。

やり残しは結構あるかもだが、本編クリアだけなら支障なし

 これに加え、広大なフィールド故に調合素材がカゴいっぱいにいくらでも取れるようになったためにコンテナが早々にパンパンになってしまい、コンテナの整理やジェム還元が面倒になり、本編に関わるフィールドでも十分に強い戦闘アイテムを作れたのもあって飽きちゃいましたね。つまるところ、ライザ1から基本が変わってない調合とライザ3で大きく変わったフィールドが釣り合ってないのかもしれない。

新システム「鍵」

 ストーリーに限らず、調合・戦闘・装備・探索と全てのシステムに顔をのぞかせてくる鍵。チュートリアルだけだと複雑だなと思い込みやすく、実際クリアまで使わなくても問題ないものだが、習うより慣れろという感じでやるとシステムが拡張されもっと強くできると実感できる優れもの。やり込み勢には必須かな。

 特に調合においては条件が揃えば素材投入回数を増やしたり、作成個数を増やしたり、各種数値を増加させたりと大活躍する。

 ただ、非常に面倒なのはランダム性があるのと消費アイテムであるところ。

 ランダム性は例えば、キャラのステータスアップの装備品として鍵を作りたい場合、スマホゲームのガチャみたいに目当てのものが出るまでお祈りしながら作り続ける必要がある。まぁ、これはあまりに現実的でないので、私は出ればラッキー程度に思うようにした。

鍵は敵からかファストトラベル地点から作れる

 消費アイテムは文字通りのもので、そもそも鍵は調合品だからという。序盤は無制限に作れるが、ストーリーを進めると調合レシピとして現れ、レア度の高い=能力値の高いものが出やすくなる鍵を作れるようになるので、鍵システムを使いたい場合は必須となる。

 とにかく数をこなさないといけないのに、なんとアイテム複製不可なので使い切れば作り直すことに。うーん、面倒かった! まぁ、1つの鍵につき使用回数が設けられてて、調合次第で6回とか8回とか使用できるよう増やせるものの、調合用が欲しいのに戦闘用のものが出てガッカリなんてザラだったな。

とにかく習うより慣れ

 楽しくなるシステムのはずなのに、楽しくなるための労力と時間がいるのは残念だった。

戦闘

 前作から洗練され、アクション性とダイナミックさが増えたFFシリーズのATBシステムのような戦闘。前作と違い、攻撃スキル発動に必要なAPが簡単に貯まるようになったので積極的にスキルを出せるようになり、見てるだけでもより爽快感が味わえるようになった。

体型に見合った見事な蹴り技

 反面、スピーディになったために連打ゲーとしても顕著に。これは攻撃スキルの入力受付時間が短いのが要因かな。こういったアクション性が増したのに、アクションゲームなら当たり前にある攻撃をキャンセルするということができないために、ジャストガードがあまり上手く機能していないように思えた。

 無論、最終的には恒例のアイテムゲーとして機能させるのが通例なので、いかに前衛3人を順に回して効率よくアイテムを使うかが肝ではあるけどね。

 ちなみに偉そうに講釈並べましたが、私は戦闘準備をおざなりにした結果、ラスボス戦で主人公ライザが沈んでしまい、アイテム無双ができませんでした。ボオス、ディアン、カラのお気に入り且つ防御力のあるメンバーで耐え抜きました。締まらんかったなぁ。

総評

ラスダン突入前のレベル

 ライザ1からプレイした身としてはライザたち個人個人の物語としては満足いくものだったし、完結編としての区切りもキレイにできているので良かった。何ならボオス推しの私はここだけで大満足です。そう思うと、本編があまり面白くなく、感動的な再会が唐突でドラマ性がなかったのは残念だった。正直、ここもボオスのおかげでモチベーションが持ち直したようなものだった。

 挑戦的なシステムも面白くないわけではないものの、鍵やオープンフィールドはやり込みたい人向けのような作りになっているのが残念。ただ、やるかやらないかはプレイヤーの好きにしてね、という感じの割り切りにも思えたので、そういう自由度があるのはいいかな。とはいえ、もうちょっと本編とリンクした構成にして欲しかった。

 終わってみれば戦闘は○だが×だった、鍵は○だが×だったという感じで、1つの要素で二律背反するものがあり、手放しに褒めることができないのがもどかしい。なまじ、調合やキャラが面白く良かっただけにね。序盤はアトリエシリーズ最高傑作か!? なんて思ってたんだけどね。

フォトモードも堪能してた
ガストの悪ノリ


いいなと思ったら応援しよう!