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【書籍紹介】春木豊『動きが心をつくる 身体心理学への招待 』:心理学なのに体の動きの話?

水曜日はいま読んでいる本とかについて書いてきます
近いうちに有料noteに移行します。

春木豊『動きが心をつくる 身体心理学への招待 』(講談社現代新書, 2011)

ソマティック心理学や、身体心理学と呼ばれる心理学のジャンルがあります。先日書店を訪れたら、特設コーナーがありました。面白そうなので、ともかく読んでみようとおもい新書である本書を手にとりました。


脳一元主義が中心となっている現代において、身体の動き、感覚といったものが、私たちの気分や感情に影響を与えていることを再発見してもらえればと思っている。

身体心理学は、心が生まれるのは身体の反応からというところを出発点にしています。本書では、スキナーによる2つの反応をベースに、両者の反応が混じった3つの身体反応があるとしています。

レスポンデント反応:生理的反射
オペラント反応:意図的反応
レスペラント反応:反射と意図的反射の両方を含む

特に多くのページが割かれているのは、レスペラント反応が心に与える影響についてです。

たとえば内臓の反射が心に影響を与えることはあまり考えられないが、呼吸についていうと、焦りを感じているときに意志的にゆっくり呼吸してみることによって、気分が落ち着くと言うことはよく経験することである。

 早くなっている呼吸(レスポンデント反応)を意図的にゆっくりにすること(オペラント反応)をレスペラント反応とし、呼吸がゆっくりになることで、心に影響をあたえることができている、と考えています。逆に考えると、焦りを感じているときに、落ち着こうと考えるだけで落ち着くことはできないということは経験的にわかります。なので体の動きとして、呼吸をゆっくりにする必要があるとしています。

 ところが心と動きどっちが先なのかということについて鶏と卵の議論に思います。しかし身体心理学では進化論的な立場を取り、動きが先という立場をとっています。アドラーなどの各種の心理学で考察している心についてはすべて先行した体の動きがあると考えることができます。確かに、アドラー心理学の育児プログラムである”パセージ”では実際にロールプレイなど体をつかった動きを行い、実際の子どもや当時の自分の感情を味わうといった行為を行います。一見ロールプレイなんて馬鹿らしいとおもいます。しかし、実は体の動きをすることでそのときの感情が発生していることで、感情を味わえてるのかも知れません。

ソマティック心理学関連の本は何冊か出ており、今後読み進めていくべきジャンルなのかなとおもっています。

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