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万葉週話 no.1 【一首のみの蛍の歌】

#歌と古典のおはなし  改め
#万葉週話  と題してインスタライブを始めて51回目。

アーカイブ投稿の方に書き込んでいた「まとめ」記事を
noteで公開することにしました*

今週は

●万葉集中一首のみの「蛍」の語のある歌
●日蝕月蝕のインド神話(月と日を食べる龍の話)
●和泉式部の蛍の歌と貴船神社

の三つをお話しました。

📺アーカイブ↓
https://www.instagram.com/tv/CQAQ8pTFT1U/?utm_medium=copy_link

【万葉集で唯一、蛍の語が出てくる歌】

🎶万葉集 3344 作者不明

この月は 君来まさむと
大船の 思ひ頼みて

いつしかと 我が待ち居れば
黄葉の 過ぎてい行くと

玉桙の 使の言へば 
蛍なす ほのかに聞きて 

大地を ほのほと踏みて 
立ちて居て ゆくへも知らず 

朝霧の 思ひ迷ひて 
丈足らず 八尺の嘆き 

嘆けども 験をなみと 
いづくにか 君がまさむと 
 
天雲の 行きのまにまに 
射ゆ鹿の 行きも死なむと 
 
思へども 道の知らねば 
ひとり居て 君に恋ふるに 
音のみし泣かゆ  

《訳》
今月こそ愛しい君が来てくれると頼もしく思ってたのに
人伝てに「無くなった」って聞いて
地団駄踏んで立っても座っても、君が去った場所が分からず
迷って、長い溜息ついて、どこかに君がいないかと
探しに行きたいけど黄泉の国への道が分からなくて、
独りで君を恋しく声をあげて泣いています。


…という、亡くなった恋人を想う歌。
もう、どうにも出来ない切なさが溢れていますよね…!!

この長い歌は「長歌(ちょうか)」。

五七のリズムを繰り返し、最後は七七で終わります。
対句表現が多いので、「五七 五七」をワンセットで
読んでいくとイメージを掴みやすいです。

蛍は「ほのか」を引き出す枕詞として使われ、
直接的な事物や景色として詠まれていません。

万葉人たちは「歌を詠むように美しく鳴く」生き物に
関心が高かったようで(蛙も、鹿のように鳴くカジカガエルのみ)
そうでない蛍には、あまり興味が湧かなかったのかも。

平安時代の蛍の歌

これが平安時代になると
「蛍=魂」として捉えられ、グッと歌数が増します。

大好きなのがこのお歌。

🎶和泉式部集 125 和泉式部
ものおもへば 沢のほたるも わが身より
 あくがれいづる たまかとぞみる

失恋した和泉式部が、
京都は貴船の川上にまで行き詠んだという一首。

川沿いには「ここで詠みました」という岩が残っており
「蛍岩」として観光名所にもなっています。
https://www.marutake-ebisu.com/other/hotaru-iwa.html

蛍が音もなく明滅する姿は、刻一刻と揺れまくる
自身の「焦がれる魂」と重なって感じられたのでは?!
と、恋を知る前から強く惹きつけられた一首です。

彼女の歌には、何故かいつも
「与謝野晶子の歌に触れた時」と同じような
赤い色の印象を抱きます。
(一番有名な短歌は

🎶やは肌の あつき血汐に ふれも見で さびしからずや 道を説く君

そして。
先の歌には、なんと貴船の神様からの
返歌があるそう!

🎶和泉式部集 126 和泉式部
奥山に たぎりて落つる 滝つ瀬の
 たまちるばかり ものなおもひそ

「そんな風に思い詰めないで」
と優しく諭してくれる神様の御心に
キュンとします…!

そりゃあこんな夜更けに山奥まで来て(京都御所から徒歩三時間くらい)
川辺でぼーっとしてたら「身投げしないかな?!」と
心配にもなったのかなと。

で、和泉式部くらい歌が「日常」なくらい身に沁みてると
神様のご信託も歌として聴こえるんだなあ…と
ちょっぴりうらやましくなったエピソードです。

雨を司る神様

貴船神社さんの御祭神は
高龗(たかおかみ)神様と
闇龗(くらおかみ)神様。

貴船神社のサイトによると

「社記には「呼び名は違っても同じ神なり」と記されています。
降雨・止雨を司る龍神であり、雲を呼び、雨を降らせ、陽を招き、降った雨を地中に蓄えさせて、それを少しずつ適量に湧き出させる働きを司る神です。
一説には、高龗は「山上の龍神」、闇龗は「谷底暗闇の龍神」と言われています。 
水は万物の命の源。生きとし生けるものが命をつなぐために片時もおろそかにすることができない大切な水の供給を司る「水源の神」です。 

とあります。

縁結びだけでなく
「諸願成就」のご利益もあり
あの「丑の刻参り」はこちらの神社の奥宮でのことだそう。
(丑の刻に神様が顕現なさるから、だとか。)

和泉式部の頃にそんな謂れがあったかは分かりませんが
水の音や木の葉の揺れる音は不思議と気持ちを落ち着かせるので、
ただただ、別世界に浸ってみたくて訪れたのかもしれないなあ…とも、
あの川辺に立つと思うのです。

さらさらと清らかに、穏やかに流れてゆく貴船川は、
「速󠄁川(はやかは)の瀨に坐(ま)す瀨織津比賣(せおりつひめ)と云ふ神 大海原(おほうなばら)に持ち出でなむ」
の大祓の祝詞を思い出させ、いろんなこんがらかった想い全部を
流して、遠くに連れ去ってくれそう。


ちなみに、蛍岩までは叡山電鉄の貴船口駅から
徒歩で2分程。

貴船神社神社まではバスも出ていますが
そのまま徒歩で30分程、川辺を歩くのを
ぜひともオススメします!!

川音と木々の景色で、体の奥が浄化されていく感じ、
機会あればぜひとも味わってみてください。
(春の桜、秋の紅葉が有名ですが、私は青紅葉の季節がイチオシです!)

日蝕&月蝕のインド神話

先日の月蝕&日蝕に絡めて
インド神話の「日の神と月の神を食べる龍」
のお話もしました。

インド神話&民話のステキさは、荒唐無稽&奔放さ、
残虐なのに何故か笑えてくるカラッとした明るさがあって
妙にツボで…ちょくちょくお話しています(笑)
(インド映画の「バーフバリ」も名作ですよね!!)

龍をグルグル巻き付けて「神酒アムリタ作りの掻き混ぜる道具」
にしちゃう神様の酷さとか、どういう思考してるのか物凄く問い質したいっ!

長くなったのでそちらはアーカイブ(初めの方に話してます)にて*
インスタライブ📺アーカイブ↓
https://www.instagram.com/tv/CQAQ8pTFT1U/?utm_medium=copy_link


🌕今日の暦
二十四節気 芒種(ぼうしゅ)
七十二候 次候 腐草為蛍(ふそうほたるとなす)

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 ささやかですがプレゼント企画します!
 詳細は下記Twitterの投稿にて*(2021年6月20日23:59まで)

https://twitter.com/yu__li/status/1404277250741084160?s=21



#万葉集  #和泉式部 #蛍 #蛍岩 #貴船神社 

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