宴会が苦手なひとへ
現代っこ、若者は飲み会の誘いを断る、と一時期よく巷でいわれていた。
実際気持ちは分かる。私なども飲み会は仲のよい友人といくぶんには好きだが、しらぬひとも含めた大勢でいくのは昔から苦手だった。
若い頃には、はじめから最後までほとんど口を聞かずに帰ったことさえあった。
そんなとき私は心のなかでうちひしがれていた。なぜこうも社交的でないのだろう、と。
しかし今になって思えば、それもよいだろうと思うのだ。
老子曰く、
「宴会で皆が騒ぐなか、一人静かに席を立って帰るのが君子である」と。
それにイギリス人なども、しらぬひとのなかでは、絶対自分から喋らないともいう。
老子といい、英国人といい、そういう生き方もあるのだ。いくらでも、宴会ぎらいや無口なるは肯定される。