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眠れない夜

キャンプに行く前日
リョウコは泣いていた
「行きたくない」
「しんどい」
「何もできない」

そんなリョウコに私は
「今頃何言ってるん
あんたはリーダーやねんから
今頃になって
いい加減なことばっかいってるんじゃない
さっさと準備しーや」
と突き放した

鬼の様に
突き放した

私の中に
リョウコの悪い所を
どうしても
どうしても許せない
何か湧いてくる
憎しみのような
ものがあったんだ

なんでできない
やるといったことをなぜできない
すぐになんであきらめる
そんなんだから私はあんたが嫌いなんだ

けりはしないけれど
言葉で何度も
リョウコを刺していた
そう、言葉でリョウコを
とことん傷つけていた

30分くらいしたら
「お母さん、ごめん
私明日行くから
大丈夫やから」

とおとなしくなっていた

そうなんだ、いつうもそうなんだ
最初は嫌だのなんだのってごねるけど
結局いつも
行くって言うんやから
ってまた嫌味を言う

寝坊したら大変だと思ったのか
スキーウエアをすでに着たまま
リョウコは寝ていた
朝なのに起きない

相当疲れている様子だ
昨晩寝れなかったのか

そういえばリョウコは
「あまり眠れない」って言ってたな

そんなことは嘘だろう
あのリョウコに限ってそんなことはあるはずはない
私は眠れないことがない
眠れないなんてありえない

私は全く取り合っていなかった
そして
今からスキーに行くって言うのに
ぼ~っとしているリョウコを
またしゃんとしなさい、しゃんと
と毒づきながら
集合場所に送っていった。

そして、何事もなかったように
楽しそうに
皆の中に入っていった

皆と一緒なら
楽しいリョウコ
私のそばにいるより
ずっといいよ

私はあんたのそばにいない方がいい


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