奈良屋の官能随筆 “それも池袋のラブホテルで” 作/奈良あひる
「はい、君ちょっと止まろうか」
町田の開かずの踏切付近で明らかに自分より若い警官に止められた。ただの自転車の防犯登録の確認である。警察は社会人とはまったく別の人種なのだと思う。拳銃を持っているし、信号を操ることもできるし、結婚はもちろんのこと、交際をするには相手の情報を上司に提出し審査を受けなければならない。らしい。
池袋のラブホテルに向かう途中そんなことを思い出した。手をつないでいる女は中学校の同級生で、ひどく憧れていた女だ。
2週間ぐらい前に、
夫はエリートコースの男で、その女としては不安なことなんてない。
それがよかった。
僕「こんな古いアパート住んだこともなければ、見たこともないでしょ。見たことないでしょ」
女「そうね、はじめて」
はじめてのことというのはそんなところにも転がっている。
そして、一度お互いの体を触りあっていた。
ホテルに着いたら、世間話をしながらコトはスムーズに始まった。
何も止めるものはない。あるとしたら、「夫はいま何をしてるだろう」「今日のことみつかりはしないだろうか」ということだけである。
それは、僕にはほとんど関係のないことで、
下着を脱がし両膝は自然に広がっていった。自分のモノと女のココがやさしくキスをする。
僕「やっとここまで来たかぁ」
そして自分のモノは吸いこまれていき、僕らは出逢って20年後にセックスをした。彼女の中はとても気持ち良く、夢中で腰を振り、お互いつないだ手を握る強さが増していき、イってしまった。彼女が自ら腰を振る姿には涙ぐむものがあった。
「気持ち良すぎてすぐ出ちゃった」というと彼女は笑っていた。
というのは妄想で、
実際は入れる前にイってしまった。つまりしてはいない。それだけ興奮して気持ち良くなったのは、やはり彼女の夫が警察官であるのもひとつの要因に思う。僕はゴムに出た液体を彼女の胸にこぼした。
女「いつもそんなことするの?」
僕「はじめてだよ」
彼女は笑っていた。
本当は胸に出したかったのだ。その胸に旦那がキスをしているかと思うとなんとも言えない感情が溢れる。
やはり最後までしたくてメールを送った。
その返事は「水曜日なら大丈夫だよ」
そして水曜日の昼間2回した。
おしまい
田中屋の少年雑記にも寄稿してます。
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