推しの万年筆を買った(前編)
タイトル通りの記事になる。
推しの概念万年筆に出会ったとか、ある万年筆自体を推しているとか、そういうパターンもあるけれど、今回はそれではなくて。
推しのグッズとして万年筆が出た。
買った。
というお話。
もちろん現物のレビューも書くつもりだけれど、前日譚を書いただけでそれなりに長くなってしまったので、記事を分けることにした。
まずは前編。
手元に届く前までの話を書いていく。
私の推し
私の推しは、ポルノグラフィティ。
ファン歴が特別長いわけではないし、すべてのライブに行っているわけでもないけれど、それでも人生の半分以上をポルノグラフィティの曲とともに過ごしている。
1999年に「アポロ」でメジャーデビューした彼らは今年、めでたくデビュー25周年を迎えた。
周年イヤーを記念して様々なイベントやライブが開催された2024年の夏は、彼らの曲の一節を借りるなら、例年よりも随分と騒々しい夏だった。
そんな夏のはじまりの頃、発表された新グッズ。
それがなんと、万年筆だった。
ポルノグラフィティのメンバーの出身地は、広島県尾道市因島。
今年は25周年の節目でもあることから、因島でのイベントや地元企業とのコラボ企画が多くあった。
その一環としての、同じく広島県にルーツがあるセーラー万年筆とのコラボグッズである。
ちなみにギタリストの新藤晴一さんは万年筆愛好家で、過去には文具雑誌の「趣味の文具箱」に登場し、万年筆で歌詞を書くというエピソードを語ったり、セーラー万年筆の工場を訪れたりしたこともある。その縁もあったのかもしれない。
趣味の文具箱はKindle Unlimitedでも読めるので、ポルノファン向けにリンクを貼っておく。
推しの万年筆が発表された日
コラボ万年筆の受注販売が発表された日、SNSのポルノファンは大盛りあがりだった。
これはなかなかいいお値段ですね、という素直な反応の人たち。
いやいや万年筆の相場としてはこのくらいなんですよ、万年筆にはこういう特徴があって、その中でもセーラー製は……などと語り始める万年筆好きたち。
とりあえず字幅と元モデルは?プロフィットライトかな??いやプロギア??プロギアなら元々ほしかったのですが???などと情報収集を始める私。
余談だが、ポルノグラフィティのグッズの中には「チャレンジグッズ」と称される、ニッチな高額グッズ(だいたい受注販売)が時折ある。
過去のチャレンジグッズを挙げると、ぬか漬け用の壺とか、ヘルメットとシャベルと誘導棒とか、臼と杵とか、人体模型とか。(何を言っているんだ??と思われた方もいると思う。どうか信じてほしいのでリンクは貼っておく)
今回のコラボ万年筆の発売時、「これはチャレンジグッズ枠か否か」でSNSが盛り上がっていたのがちょっと面白かった。
価格を考えたら十分チャレンジでしょう、という人もいれば、いやいや万年筆は臼と杵より普通に使えますよ、という人もいた。
結論は未だによくわからない(そして別にどっちでもいい)のだが、「チャレンジグッズ枠」という存在だけはナチュラルに受け入れているのがポルノファンあるあるなんだよなあと思った。
(2024/12/24 追記)
コメントでいただいた情報によれば、晴一さんがラジオで「チャレンジグッズではない」と明言されていたとのこと。ありがとうございます。
やはり万年筆は実用枠というか、一般的なグッズの選択肢として考えてもらえているのだな、というのは、万年筆好きとしてはなんだか嬉しい。
話を戻して、今回のコラボのラインナップは金ペンと鉄ペンの2モデル。
そしてどちらもインクセットで、インクの色名は「憂いを帯びたブルー」。
このフレーズは「アゲハ蝶」の一節である。
夜に舞うアゲハ蝶の羽を歌った幻想的で美しい歌詞のワンフレーズが、そのまま色として閉じ込められたインク。
このインクに心を撃ち抜かれて購入を決めたポルノファンもかなり多かったのではないだろうか。
そして私も、その一人だ。
推しの万年筆を買った日
鉄ペンで3万円、金ペンで6万円、という価格は私にとっては即決できる価格ではなかった。
受注生産の万年筆としては正当な価格だと思う(しかもこの受注期間が終わった少し後に国産万年筆メーカー各社の価格改定があり、相対的に見ても特別に高額な万年筆ではなくなった)けれど、万年筆沼歴が決して長くない私にとっては、手持ちのどの万年筆よりも立派な価格。
それでも、大好きなものと大好きなものがコラボする、という機会はそうあるものではないし、何かを推している人間にとってこの上なく幸運なことだとわかる。
この万年筆にこのインクで、大好きな歌詞を手帳に書き留めたり、大好きな曲やライブの感想を綴ったりできたらどんなに素敵だろう。
きっと、買わなかったら後悔する。
セーラーの金ペンもいつかはほしかったし。
抑えきれないときめきと、少しの言い訳と、推しの記念イヤーへのお祝いの気持ちをこめて、私は予約ボタンを押すことになった。
ちなみに、予約画面で細字か中字かの選択肢が出てきたことは嬉しい誤算。
また少し悩むことにはなったが、初めてのセーラーの金ペンで特別なモデルということもあり、普段使いよりは特別なタイミングでゆったりと使う万年筆にするつもりで、字幅は中字を選んだ。
推しの万年筆が届いた日
そして受注期間を終え、夏には推しの故郷でのイベントやライブに参戦する機会にも恵まれ、私にしては珍しく遠征に駆け回った。
そんな慌ただしい日々も少し落ち着いて、規格外だった暑さもようやく忘れつつある12月。
ついに、推しの万年筆が届く日がやってきた!
ということで、続きは後編で。
本当に文房具の話というより私の心模様だけの話でこんなに書いてしまった。
読んでいただきありがとうございました。
後編はこちら。