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万年筆+飛行機問題を考える

万年筆と旅を愛する方は、一度は調べたことがあるのではないでしょうか。
「万年筆って飛行機に持ち込んで大丈夫?」という問題。
私も情報収集と試行錯誤を繰り返しながら、万年筆を飛行機に持ち込んだ回数がそれなりに多くなってきたので、気をつけているポイントを書いてみようと思います。

※これで絶対に安心!という保証はないので、一例として参考にしてみてください。


メーカーの見解

最初に結論というか、信頼度の高い情報を紹介。
パイロットのFAQページには以下の記載があります。

インキを一旦貯めておく「ペン芯」の改良と機内の気密性の向上でインキが漏れることはほとんどなくなりましたが、インキ漏れ防止のためにペン先を上向きに保管しインキを抜くか満タンにし(空気の膨張による漏れを最小限にするため)、できるだけご使用されないようお願いいたします。

上記リンクより抜粋

情報としてはこれがすべてなのではないかな、と思っています。
「漏れることは少ないけどペン先の向きやインクの量に気をつけて、機内ではできるだけ使わないで」とのこと。
今回は情報シェアというよりは事例集を増やしたいな、という意図で書いている記事なので、ここから先は私の実例メインで続けさせていただきます。

私の万年筆+飛行機対策

やらないこと

◆預入手荷物には入れない
預入手荷物は他の荷物とぶつかったり、荷物の向きが変わったり、飛行中に大きく揺れたり、と色々な心配があるので、基本的に万年筆は預けずに機内に持ち込みます。

◆金ペンは持っていかない
気にせず持って行くよ、という方はそれでいいと思うのですが、万が一のインク漏れやペン自体の紛失が怖いので、長距離移動のお供は鉄ペンです。
これは本当に私がそうしているだけで、人によって基準は違うと思います。(どの価格帯まで外に持ち出すか、非純正インクを使うか、とかと似た話)

事前にやること

◆持って行く万年筆を決める
先ほども書いた通り、私は基本的に鉄ペンの中から選んでいます。
過去に飛行機に持ち込んで問題なかったものから1〜2本、時々実験も兼ねて+1本くらいをチョイス。
個人的にはより気密性が高いもののほうが安心感があり、よく持っていくのはプレピーやライティブ、TWSBI ECOあたりです。

◆ジッパー付き袋を用意
100均のもので十分です。
機内に持ち込む万年筆はジッパー付きの袋に入れ、万が一インクが漏れても他の荷物が汚れないよう備えます。
しっかり備えたいときや特に大切な万年筆を持っていくときなら1本ずつ別の袋に入れたほうがいいと思いますが、私はまとめて1つの袋に入れていることが多いです。
ちなみに機内で万年筆を使いたい場合、インクが漏れた場合に備えてウェットティッシュも手荷物に入れるようにしています。 
(ノンアルコールのウェットティッシュを選ぶと、首軸やペン先まわりも安心して拭けます。アルコール入りのウェットティッシュで万年筆を拭くと変色やひび割れの恐れがあるので要注意です)

◆インク残量を調整
最初に紹介したパイロットのページでは「インキは抜くか満タンに」とのことでしたが、抜くとなると飛行機を降りてからインクの補充が必要になるわけで、あまり現実的ではありません。
行きは空の万年筆とカートリッジを持っていくという手がありますが、帰るまでにインクを使い切るのは難しいし、飛行機を降りてすぐにカートリッジを差してもインクが出るまで書けない……旅の時間には限りがあるのに……!
ということで、私は基本的にインク満タンに近い状態で万年筆を持っていきます。
正確に言うとインクの量は少なくてもよく、できるだけインクタンク内の空気を減らすことが重要。
私はコンバーターを使っていることが多いので、ペン先を上にして少しずつコンバーターのつまみを上下させ、中の空気を外に押し出します。
カートリッジなら前日くらいに差しておくか、シリンジで多めに補充するのがよさそうです。

飛行機に乗ったらやること

◆万年筆を荷物から出し、前座席のポケットへ
上の棚に入れると揺れや向きが心配なので、搭乗前に手元の鞄などに万年筆を移しておきます。
座席に座ったらジッパー袋ごと万年筆を荷物から出し、ペン先を上向きにして、前の座席についているポケットに入れます。
鞄の中で万年筆を上向きに保てそうならこれはやらなくていいと思うのですが、私は旅行の時には手持ち鞄が小さく、長めの万年筆は横向きでないと入らないこともあるので、念のため外に出して上に向けます。

ちなみに一度これを忘れて搭乗したとき、足元の鞄の中に横向きで入っていたTWSBIがインクまみれになりました……。
ジッパー袋のおかげで他の荷物は無事でしたが、飛行機でなくても、横向きで揺れもある状態で長時間持ち歩くのはやめたほうがいいですね。

◆機体が安定するまで書くのは我慢
できるだけ機内では万年筆を使わないほうがよい、というのは最初に紹介した通りです。
でも、ここまでして万年筆を持ち運ぼうとしている方の中には、機内でも万年筆で何か書きたい方もいますよね。(私がそうです)
とはいえ離着陸の前後は飛行機が大きく揺れることもあり、何かの拍子に周りをインクで汚してしまうかも。
また、機体が大きく上下する=気圧も上下するわけなので、多少インク漏れのリスクが高まりそうなのも心配です。
シートベルト着用サインが点灯している間は、書くのは我慢します。

飛行機を降りたらやること

◆最初の筆記は注意深く
これまでの方法をすべてやった上で万年筆を飛行機に持ち込んだときは、今のところ首軸やキャップ外部が汚れるほどインクが漏れた、という経験はないのですが、キャップを外したらニブが少しインクで汚れていた、ということはあります。
気圧などに関係なく持ち運びの揺れによるものかもしれませんが、キャップ内にインクが付着している可能性もありますし、飛行機を降りてから最初の筆記時はペン先を上に向けてゆっくりキャップを開けると、より安心だと思います。

おわりに

そこまでして万年筆を持っていかなくてもいいや、と思われた方は、それも良い選択だと思います。
それでも旅先で万年筆を使いたい、せっかく飛行機で時間があるのならゆっくり手帳でも書きたいな、などと考えている私のような方へ、一つの参考になれば幸いです。
そして試してみたよ、という方は、成功談も失敗談も、ぜひSNSでシェアしていただければと思います。

読んでいただきありがとうございました!
万年筆との良き旅を!


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