2023/08/01 火の花
儚く散りゆくから美しいのか
高く手の届かぬ場所にあるから美しいのか
はたまた「美しい」という思い込みなのか
漆黒に浮かぶ花
ただの炎色反応とも言えよう
ああまたそんな考えをしてしまって。
どこからともなく声が聞こえる
空に打ち上がった大きな大きな花は
炭酸水のようにしゅわしゅわと
あの人の涙のようにぽつりぽつりと
ゆっくりゆっくり形を崩して消えてゆく
この花の良さは視覚だけでない
その音は鼓動を支配するように
重く深く響く
不規則な音は心地よいものとなり
どこからともなく涼しい風が吹いてくる
しかしそれはただの幻想であって
風は吹いておらず涼しくもない
煙は渋滞し
花をかき消そうとする
決して手に入らぬ大きな花
儚く散りゆく大きな花
まもなくその大きな花の旬は終わりを迎え、新しい季節が始まる
p.s.多忙により記事を公開するのがおそくなってしまいましたが、7月末・隅田川花火大会を受けて書いたものです。
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