【閃き】War For Talent 芸術とスタートアップの相似形
個人投資家と、若手芸術家を支援するビジネスのプロジェクトをどう回していくかを相談していた時に、彼が「結局はTalentを探し出せるかどうかだ」と言った。
イケてる起業家と出会い、その夢に共鳴して、投資する。
それが投資家の醍醐味だし、なかなか出会えないことが課題である、と。
直前まで芸術家とパトロンの関係を話していたので、そこで色々なものがつながった。
起業家と投資家、芸術家とパトロン、バンドとレーベル、小説家と出版社。
どれも、タレントとタレントを発掘して大成させたい人の関係なのだ。
8年ほど前、音楽プロデューサーと初音ミクの話になった時に、
「僕らの若いころと違って、いまは音楽以外にもゲームや動画や起業まで、Creativityを発揮できるものがたくさんある。ミクが出てきて若い才能が音楽業界にまた目を向けてくれるようになったのはすごくいい」と言ってた。
スケートの高木美帆選手が小学生時代にサッカーでU-15強化選手になるほど活躍していて、スケートとサッカーどちらに進むかでスケートを選んでくれたことにスケート業界がほっとした、という話を聞いた。
小説家は売れそうになると出版社が編集者を送り込み、生活を支える。創作に没頭できるようなんでもする、家事とか市役所との手続きとかさえする。音楽バンドのプロデューサーも似ていて、「ファンの子に手を出しちゃったんですけどどうしたらいいでしょう」という電話がかかってきて、それすら何とかする、と言っていた。
”War for Talent”という本がHarvard Business Pressから出ている。
Wikipediaにもその言葉の説明がある。まさに奪い合いなのだ。
奪い合えるということは、互換性があるということだ。
スケートとサッカーは互換性が高い。スケートとスタートアップは低そう。
音楽とゲームは互換性は多少ありそう。音楽とスタートアップはやや低い?
互換性を考えることは、アナロジー類推を考えることに繋がる。
私が所属しているのはスタートアップのエコシステムだが、この仕組みはよく出来ていると思う。
きっと、莫大な富を生む株式という仕組みが下地にあるので、プレーヤーの量が多く多様性も高く、ステージに応じた支援が充実しているのだ。
起業家(ハッカー・ハスラー・デザイナー)、アクセラレータ、投資家。
プレシード、シード、シリーズABC、M&A、IPO。
色々な切り口があり、それぞれに充実した仕組みがある。
私が好きなのはプレシードのステージだし、今後関わろうとしている芸術のカテゴリで、プレシードの芸術家たちを支援する仕組みを考え始めたのも、こういう関連性から来ているのだと思う。
スタートアップにあって、芸術家にない支援の仕組みはもちろん導入されてしかるべきだが、今後スタートアップに起こりそうなことも、芸術家という新領域でもチャレンジしていきたい。
最後にちょっと脇道に逸れるが。
ピラミッドやヴェルサイユ宮殿など、歴史に残る大規模芸術作品は、史上最強クラスのパトロンと一部の芸術家と膨大な犠牲者・奴隷によって世に出たという。その類推をスタートアップに適用すると、どうなるんだろうか…。
対項: 【問い】Bar for Talent 人材獲得戦争のより良い在り方とは?
#WarForTalent #エコシステム #スタートアップ #芸術 #Harvard
※扉絵、TalentをTarentと描いている… 面倒くさいので直さない…