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荒れた学級を担任して②〜花束を抱えた男の子。私が子どもに無限の可能性を感じた初の想い出。

今日も、私で担任3人目!荒れた学級の再生ストーリーの続きを書いていきます!

後半のお話の男の子との想い出が、私の勇気づけ人生の原点となっています。

この子たちから沢山のことを教えられ、私はいつもその想いを胸に、お母さんたちへ情熱を持って仕事してます。

だって、それが、お母さんたちを勇気づけることが、しあせな子どもたちを育てることへと繋がるから…☺️


20代だったある日、わたしで担任3人目、という荒れた学級を受け持ち
わたしがまず実践したのは、言葉のプレゼント、というワーク。

アドラー心理学では、子ども自身が(大人も)

・自分にOKをだせて(自己受容)➕も➖も
・周りの人を信頼し(他者信頼)
・人の役にたてる存在(貢献感)

を感じられることを「しあわせの条件」としています。

わたしは教員の経験も浅いし技術も未熟!
自信があるのは(当時は若さ!)子どもの近くで子どもを理解しようと、朝は、昇降口や教室で子どもたちを出迎え、休み時間は、子どもたちと外に出て遊びました。


朝、昇降口で子どもたちを迎えると、挨拶のしかたでいろいろわかります。

「おっ!いいカンジ~」「元気いっぱい!」
とか
「あ、これは朝なにかあったな?怒られたかな?」
とか
「寝不足かな?体調よくないのかな?」
とか・・・。


そして こんなこともしてみました。
朝の挨拶競争。
ルールは先生より早く「おはよう」を言う。
これが とっても盛り上がるんです!

私に先に「おはよう」言われちゃうとアウト。
だから子どもたち 言いたくて言いたくて仕方がなくなっちゃう。

こっそり私の後ろに来て、私にみつからないようにして、いきなり「おはよ!」って言ったり、可愛すぎる!!(笑)

ギュっ!なんて抱きついて来る子もいたりして
かわいいんです。


教室に行ったら元気よく皆で着替えて、下駄箱から校庭へみんなでダッシュ!

「たのしいな」
「ここに居ていいんだな」
「愛されてるな」

そんなふうに感じられるように

教室が子どもの安心基地になるように。

子どもたちとたくさん笑って(笑うと、リラックスできてユルめます!)絵本の読み聞かせなどもなるべく多く実践しました。

セラピー効果か、朝読み聞かせをした日は1日子どもたち落ち着いていたような気がします。

子どもの様子が落ち着かなかったり、ケンカが頻繁に起きたり・・

そんなときはだいたい私の心が曇っていたり体調が悪かったりイライラ焦っていたり・・・。

子どもは自分の心を映し出す鏡のよう

です。

子どもはいろんな形で私に学び与えてくれます。


一緒に泥まみれになって遊んでいるうちに、どんどん子どもの心が開いていくのがわかりました。


力いっぱい遊ぶことで、力いっぱい勉強に集中できる。


たのしく遊ぶことで、心が安定し勉強への意欲も高まる。

メリハリがつき、子どもの目の輝きが変わってきました。


試行錯誤を繰り返しながら、私は、子どもたちへの関わりを考えていました。

新米の頃は、わたしもガミガミ叱責したり怖~~く怒ったりしていました。声を枯らしたことも。
恐怖で動機づけても、教師も子どもたちも、やる気が出ません。
出るとしても、怒られるから、怖いから…やる…
これでは、本当の教育とは言えません。


感情的に怒らなくても上から目線で指示命令しなくても子ども達と尊敬・信頼でつながれたら・・・

子どものよさを伝えることで、自分に自信を持ち
自信とやる気が育っていったら・・・

そのためにはどうしたらよいのか

毎日の私の言動をノートに書き留めていくと
いろいろなことがわかってきました。
(わたしの新米教師時代の個人的なノートでのまとめ)

■丁寧な言葉で丁寧に伝えると子どもは心を開き伸びる
■上からガミガミ言うと、子どもは心の窓を閉じ伝わらない
(反発したくなる、恐怖を与えてやらせるのは×)

■ダメなところを直そうと、何度も言っても直らない むしろ余計にできなくなる
■できなかったことよりできたことを見て、認め、伝えると子どもは伸びる
■どんなに小さな進歩も認める
■今はできなくても、だんだんできると信じる
 その姿勢が子どもに伝わる
■自分の事を信頼されているということが伝わると、子どもはやる気になる

■叱るポイントはたった2つ
■これだけは絶対に譲れないという線を決める
 毅然とした態度をとる
■ユーモアをもって、楽しい雰囲気作りをする

etc・・・・

今、こう見ると、あたりまえのようなことですが
当時は、わからなかった。

大学の教育学部でも、初任研でも教わらなかった。授業のやり方しか習わなかったのです。

あの時、心のこと、コミュニケーションのこと、勇気づけを知っていたら、どんなに役だっただろうと未だに思います・・・・


大学の授業で、初心者研修で、校内研修で
アドラー心理学を学んだら、先生も子どももしあわせに日々過ごしていけると思うんです!

(なので、教員研修の依頼をいただくと張り切っちゃいます!)



そしてもう1つわかったことは
子どもはゴムボールだな、ということ。

上から圧力をかけてガンガン押し込めると、反発を起こし、跳ねる。
最初のうちは圧力をガマンして耐えているのですがどうにも支えきれなくなると一気に跳ねる。
これが学級の荒れにつながっていく。

病休や退職に追い込まれた前の担任の先生は、軍隊のような指導をしていたと、保護者の方たちから聞きました。

最初は先生が怖くて言うことを聞いていた子どもたちも、だんだんと、教師が理想どおりの枠にはめようとしているのか、愛を持って関わってくれているのかを見抜き、教師への尊敬と信頼が失われ、反発していく…学級が崩れていく…

試行錯誤しながらでしたがわかったことや気づきを実践していくうちに
ある日、感動的なできごとが起こったのです。

問題児として申し送りの時に、名前が挙がっていた、私と出会った初日にも教室内でキレて大暴れしたAくんのエピソードです。


ある朝、出勤時、学校の駐車場に自分の車を停めているとバックミラーに男の子の姿が見えました。

早朝からいったい誰が立っているのだろうと
車を降り、近づくと、なんと私のクラスのAくんでした。

たった一人ランドセルを背負って立っている。

彼は私を見つけて駆け寄ってきて
「先生!おはよう!」
そう言って
「はい、コレ!」
と私に花束を差し出しました。

「先生、花が好きでしょ?
お母さんとボクで庭の花を摘んで作ったんだ。
少しでも早く渡したくて・・・」

そう言って照れくさそうに笑っている。

ありがとう!!!

嬉しくて嬉しくて
なんだか泣きそうな気分でした。

だって彼は、初めて会った日から反抗的で、いつも斜に構えた態度をしていたからです。


・・・・・・・・・・・


彼は私と出会った初日、教室内でキレて大暴れし
乱暴な行為をしました。

気に入らないことがあるとすごい目つきをして暴れ、すぐに手を出す凶暴な行動に出る子だと
他の先生方から噂は聞いていました。

そんなことがたびたびあり・・・

彼が乱暴な行為をしたとき私は叱りましたが(危険なことをした時は)あとで彼を呼び話をしたのです。

それにはなにかワケがある、そう思ったから。

アドラー心理学を当時は知らなかったけど、アドラー的に言うと、困った行動には目的がある、ということですね。


話の中で、彼はこう言いました。

「先生だってどうせ僕のこと
ダメなやつだと思っているんでしょ?

僕はいつだって怒られている。
勉強だってできないしだらしないし。
けんかばっかりするし、乱暴だし。
お母さんにも先生にもいつも怒られるんだ。」


聞くと、幼稚園の時から怒られることが多かったらしい。前担任もこの子に一番手を焼いていた、と聞いた。

「先生はそんなこと思っていないよ。
Aくんは素晴らしい子どもだよ。
毎日元気に学校に通って
休み時間だってまっさきに校庭に行く。
運動も上手で、友だちだっていっぱいいる。
いっぱい力を持っているんだから!

でも、危ないことをするのは絶対にだめだよ。
もしAくんが誰かに叩かれたら、先生は悲しくなる。
大切な子の体と心に傷がつくのは悲しいよ。」


それから私は
彼の手を握りながら
よいところをいっぱい認め、伝えました。

すると、彼が言ったのです。

「ほんとに、ほんとにそう思うの・・・・?」

・・・・・・・・・

それから私は
彼のよいところをいっぱい認め、伝えました。

そうしても、人に対して手が出てしまったり・・・
いくら話してもまたやる・・・・の繰り返し。

なんで?
こんなに話したのになんで?

よさだっていっぱい伝えているのに。
そう思ったりもした。

腹が立ってしようがないときもあった。

どうしてわかってくれないの!!?

でも、よく考えるとコレってなんか違くない?

こんなにしてるのに、なんでできないの?と思うのは、条件付きの愛。

子どもを尊敬していないよね・・・?

今はできていなくても信頼すること。
「小さな成長」

「できていないことより、できていること」に目を向けると子どもが伸びると気づいたのです。

前より成長していることがほんの少しでもある。

昔観た学園ドラマで、熱血先生が言っていた。
「信じ、待ち、許す・・・・」
それが教育だ!と。

なかなか素直にそう思えない時もあって
でも、信じる気持ちを大切にした。

すると彼の困った行動は
だんだんと減っていったのです。

・・・・・・・・・・・・

花束をくれた時、彼は私にこう言いました。

「先生、ボクのいいところいっぱい見つけてくれてありがとう。

先生との約束何度も破ったけどらもうこういうの、やめたいって思ったんだ。

先生が一緒に成長していこうよって言ってくれたから・・・」

心を開いて素直に話してくれたことが嬉しかった。

あの時、早朝の駐車場で話したことは
忘れられない想い出になっています。

それから彼は学級の中でリーダー的な行動を取ったり、そのエネルギーをプラスの方向に発揮し始めたのです。

Aくんに出逢えてよかった。
本当によかった。

私に大切なことを教えてくれた子。

A君との出逢いで、私は沢山のことを学びました。学ばせてもらいました。

私が教師を辞めるキッカケのひとつになった出来事でもあります。詳しくはまた追って記事に書きます。

同僚の先生方も、彼の変容ぶりに驚いていました。

子どもって可能性をいっぱい秘めている素晴らしい存在。

そう、「希望の種」が花開くのを、
今か今かと待っているんです。

誰もが輝く一番星、
彼が教えてくれました。


懐かしい写真✨
Aくんとのエピソードも、言葉かけ練習帳に載ってます。

人には無限の可能性がある。

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