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生きていくことは物語を創ること

インドネシアに住んでいたことがある。
当時2万人の日本人が住んでいた首都ジャカルタで、ふいに知人が「インドに行きたいって思う?」と訊いてきた。
「いいえ」と答えると、「インドネシアの100倍汚いってよ」という。
続けて「インドは分かれるんだよ、行きたい人とそうでない人が」といった。
20年前の話である。
なぜそんなことを思い出したかというと、夫がインドへ行きたいといいだして今日旅だったからだ。5泊6日のインド。

高丘親王の天竺への旅の物語

ちょっと面白い偶然があった。
インドに行きたいと告げられたとき、私はちょうど澁澤龍彦の高丘親王航海記を読み直していたのだ。
「二週間前くらいから高丘親王航海記を読み直していたのよ!」
夫がインドに行くことより、偶然にも高丘親王が天竺を目指す物語を読んでいたことに感嘆した。しかも、澁澤龍彦なんてずっと本棚の隅に追いやられていてここ十年は手にしてなかったのだ。
なぜか手に取り、久しぶりの澁澤の文章に酔いしれていた。
最初の章のタイトルからして「儒艮」である。
この漢字と響き。もうここで、ああこの物語は好きに決まっているとわかる。
「纜解けぇ。面舵いっぱい・・・」という台詞とともに私も天竺に向かって出航する。文章にはないが、揺れる甲板と青空、まっ白な雲まで目に浮かんだ。
儒艮の章で思わず涙が出るのが儒艮が死ぬ場面だ。作家自身も死の床にあった。

死ぬ前に秋丸に向かって、はっきり人間のことばでこういった。
「とても楽しかった。でも、ようやくそれがいえたのは死ぬときだった。おれはことばといっしょに死ぬよ。たとえいのちが尽きるとも、儒艮の魂気がこのまま絶えるということはない。いずれ近き将来、南の海で再びお目にかかろう。」

澁澤龍彦著「高丘親王航海記」
魂の地図

インドの偶然はこれだけでは終わらなかった。
その後、私は数秘術家として半年ぶりにセッションを募集した。
個人セッションはZOOMでやる人が多くなったが、私は今でも対面が好きなので両方の募集をかける。
Aさんはいつも対面希望でセッションを申し込んでくれる人で、その日も錦糸町で久しぶりの再会を喜んだ。

前日、彼女の魂の地図を眺めていて、ふいに「改名後の地図が必要だ」と感じ、急遽作成してセッションに臨んだ。
彼女とも長いつきあいになってきて、数秘への理解も深まり、あうんの呼吸で対話できる関係になっていた。
彼女は誕生時と改名後の2枚の地図を眺めると、「誕生時の方は終わりましたね」という。私も「終わったよね」といった。
少しの沈黙が流れ、安堵の空気に包まれた。
魂の地図に並んだ数秘たちが、その開花を当然と受け止め、落ち着いてそこにあった。

それに対し、改名後の地図からは「習慣数13/4と頂点数13/4」が訴えかけてきていた。今後の方向性は13/4の発動である。まずは数秘4のバイブレーションを自分のものにすること。数秘4の語りかけに耳を傾けることだ。カルマナンバー13は上質な作品を生み出す職人を創る数字である。とことん極めていただきたい。
そうしてセッションを進めていくうちに「インドに行きたいんです」と彼女はいいだした。そこでアーユルヴェーダのセッションを受けたり学びたいのだという。
「それこそ13/4のバイブレーションなのでは?」
数秘4には現実性・改善などの意味とともに大地・地球という意味もある。
お互いが視線を合わせた瞬間、単なる願望が俄然真実味を帯びてきた。13/4の要請に気づいた途端、彼女の口から流れるような物語が次々と生まれてきたのだ。
「またインド!最近インドばっかり(笑)」
夫のことを打ち明けると彼女の目は輝いていた。
その目は、インドに呼ばれている人の目だった。

ギリシャで買った本、今と昔の両方を堪能できる
上の写真は今の姿、左のページをかぶせると過去の姿が表われる!

夫は、過去生があるなら、自分はシルクロードを歩いた僧だったかもしれないといっていた。
若い頃から中国に4回も行っている。そして今度はインド。ネパールにも行きたいらしい。
過去生かわからないが、私は子どもの頃からギリシャの白昼夢をよく見る。
この話をすると「神殿治療で数秘をやってたかも!」といわれるのだが、白昼夢の私は薬草で治療をする人なのだ。今生では薬草には縁がなく残念だと思っていたのだが、ここ1~2ヶ月で様相が変ってきた。
私の実現数22/4と薬草が関わっている感じがするのである。
この話は長くなるのでまた別の機会に。

生きていくことは物語を創ること。
その物語はどこからやってくるかわからない。
内なる囁きや森羅万象の語りかけに聞き入るしかない。

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