統計検定 勉強34日目(2)
統計数理・2017年度 問題5
(問1)カイ二乗分布の確率関数の導出
問題は、確率変数Zが標準正規分布に従う場合に、$${V=Z^2}$$が自由度1のカイ二乗分布に従うことを示すというもの。
カイ二乗分布の確率関数の導出は積率母関数を用いるのが簡単だ。
$${Z^2}$$の積率母関数を求めると以下のようになる。
$$
M_{Z^2}(t) = E[e^{tZ^2}] \\
= \int_{-\infin}^{\infin} e^{tz^2} \cdot \frac{1}{\sqrt{2\pi}} e^{-z^2/2} dz \\
= \frac{1}{\sqrt{2\pi}} \int_{-\infin}^{\infin} e^{-\frac{1-2t}{2}x^2} dz \\
= \frac{1}{\sqrt{2\pi}} \sqrt{\frac{2\pi}{1-2t}} \\
= (1-2t)^{-1/2}
$$
上記は、ガンマ分布の積率母関数$${(1-\beta t)^{-\alpha}}$$で、$${\alpha=1/2, \beta=2}$$の場合と一致するため、確率関数は以下のようになる。
$$
f(z) |_{\alpha=1/2, \beta=2} = \frac{1}{\beta^\alpha \Gamma(\alpha)} z^{\alpha-1} e^{-z/\beta} \\
= \frac{1}{\sqrt{2} \Gamma(1/2)} z^{-1/2} e^{-z/2} \\
= \frac{1}{\sqrt{2\pi}} \frac{1}{\sqrt{z}} e^{-z/2} \\
$$
となり、問題文で挙げられているものと一致することが分かる。
(問2)X/Yの確率関数の導出
X/Yの場合は変数変換によって確率関数を求める。
まず、$${W=X/Y, T=Y}$$として変換する。
まずはヤコビ行列の行列式を求めておく。
$$
x= wt \\
y= t \\
\frac{\delta}{\delta w} x \frac{\delta}{\delta t} y - \frac{\delta}{\delta t} x \frac{\delta}{\delta w} y = t\cdot1 - w\cdot0 = t \\
$$
では次に、変数変換した確率関数を周辺化してWの周辺確率関数を求めていく。
$${x+y=(1+w)t, xy=wt^2}$$であることを利用して、
$$
f(w) = \int_{0}^{\infin} \frac{1}{2\pi}\frac{1}{\sqrt{wt^2}} e^{-(1+w)t/2} t dt \\
= \frac{1}{2\pi\sqrt{w}} \int_{0}^{\infin} e^{-\frac{(1+w)}{2}t} dt \\
= \frac{1}{2\pi\sqrt{w}} \left[ -\frac{2}{1+w} e^{-\frac{(1+w)}{2}t} \right]_0^\infin \\
= \frac{1}{2\pi\sqrt{w}} \frac{2}{1+w} \\
= \frac{1}{\pi\sqrt{w}} \frac{1}{1+w}
$$
となり、問題文の定義を満たすことが分かる。
(問3)確率変数Tの確率関数の導出
確率変数Tは問題文で以下の定義がされている。
$$
T = \frac{X-Y}{2\sqrt{XY}}
$$
色々考えたが分からなかったので解答を見た。
そしたら絶対思いつかない方法で笑っちゃった。
まず、$${s=\frac{x}{y}=\tan^2\theta}$$として、$${ds = 2 \tan \theta \cdot \frac{1}{\cos^2 \theta} d\theta}$$とヤコビアンを求める。そして、それを利用して問2の確率関数を以下のように変換する。
$$
g(s(\theta)) \left| \frac{ds}{d\theta} \right| = \frac{1}{\pi} \frac{1}{\tan^2 \theta} \frac{1}{\tan^2 \theta +1} \cdot 2 \tan \theta \cdot \frac{1}{\cos^2 \theta} \\
= \frac{2}{\pi}
$$
では、元の確率変数Tを以下のように変換する。
$$
T = \frac{X-Y}{2\sqrt{XY}} = \frac{1}{2} \left(\sqrt{\frac{x}{y}} - \sqrt{\frac{y}{x}} \right) \\
= \frac{1}{2} \left(\sqrt{s} - \frac{1}{\sqrt{s}} \right)
$$
$${\sqrt{s} = \tan \theta}$$とすると、
$$
T = \frac{1}{2} \left(\tan\theta - \frac{1}{\tan\theta} \right) \\
= \frac{1}{2}\frac{\sin^2\theta - \cos^2\theta}{\cos\theta\sin\theta} \\
= -\frac{\cos2\theta}{\sin2\theta}
$$
であり、
$$
dt = \frac{2}{\sin^2 2\theta} d\theta
$$
となる。よって、
$$
1+t^2 = 1 + \frac{cos^2 2\theta}{sin^2 2\theta} = \frac{1}{\sin^2 2\theta}
$$
より、Tの確率関数は以下のようになる。
$$
h(t) = \frac{2}{\pi} \left| \frac{d\theta}{dt} \right| = \frac{2}{\pi} \cdot \frac{\sin^2 2\theta}{2} = \frac{1}{\pi(1+t^2)}
$$
問1, 2は確率関数の導出で、そこまで難しくなかった。
問1は積率母関数とガンマ分布で導出をしたが、解答を見ると変数変換でかなり綺麗に導出をしていた。自由度1の場合に限るとかなり綺麗な形といえる。問2に関しては一般的な2変数変換といった感じの問題だった。ヤコビアンなどの公式を覚えていれば問題ない。
問3、お前は何者だ…?
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?