「やらずにする後悔より、やってする後悔のほうがいい」
2021年12月に東京に引っ越してきてから、1年と少しが経ちました。名古屋で生まれ育ち、(恥ずかしながら)ほとんど親のもとを離れて暮らした経験がなかった私にとって、仕事や旅行で訪れたことはあるものの、見知っているとはとても言えない土地への移住は、不安も大きかったことを覚えています。
引っ越しの理由は、「仕事」でした。と言うと、多くの方には転勤を想起させるかもしれません。私はフリーランスでライターをしているので、必ずしもはたらく場所が限定されているわけではありません。
それでも、不安を抱えながら、「仕事」のために上京を選んだのはなぜなのか。それは、まだ見ぬ新しい仕事に出会いたかったからです。
出版・メディア業界には、取材の必要がなく、世界中のどこにいても完結できる仕事が多くあります。けれども、取材をともなう仕事は、ほとんどが日本であれば東京中心。地方にいるライターには、交通費や宿泊費を負担しなくてはならない関係もあり、打席がめぐってこない現状があります。
また、逆に地方で取材という場合にも、企業やメディア、編集者は東京の懇意のライターに頼むケースが多く、取材先の地方に住んでいる場合であっても、地方のライターには打席がめぐりにくい構造になっています。少なくともこの業界には、東京と地方のあいだに大きすぎる分断があります。(すべてがこのかぎりではないかもしれません。予算の大きい仕事などはその一例です。)
「どこにいてもできる仕事ではなく、東京にいなくてはならない仕事、人や場に出会い、そこから受け取ったものを言葉に変えていく仕事がしたい」
それが、私が東京への移住を選んだ理由でした。おかげさまで名古屋で活動していた4年分以上のワクワクする仕事を、この1年間で経験できました。いろいろな人や場に現在進行形で出会えている状況にはとても満足しています。これから先もこの1年と同じような日々が送れるとおもうと、あのとき不安に負けず、上京してよかったと思います。
「やらずにする後悔より、やってする後悔のほうがいい」
これは引っ越しを決意したとき、私が周囲に伝えていた言葉です。この言葉を胸に、まだ見ぬワクワクを探していきます。
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