会話の「比率」について

会話術、トーク術について書かれた本を読んでいると、よくこんなフレーズを目にする。

「聞き上手な人は、相手に8割話させ、自分の話をするのは2割くらいである」

要は、会話において大切なことは「相手に気持ちよく話させること」であるから、自分の話ばかりしてはいけないということだろう。

もちろん、私もこの考えには賛成であり、やはり会話において人が一番楽しいと感じる瞬間は、「自分の話をしている時」なのだから、相手に楽しんでもらおうと思ったら、自分が聞き手に回ることは必要不可欠だろう。

しかし、私が思う会話の「理想的な比率」とは、
「最初は自分が7、相手が3で始めた会話を、自分が4、相手が6の状態にひっくり返し、ゴールは自分が2、相手が8になる状態」である。

まず、会話の最初は、自分が7、相手が3になるように話す。なぜ自分の方が話す比率が大きいのかというと、「人は、自己開示してくれた人に心を開く」という性質を利用しているからである。

なのでまず、「自分はこういう人ですよ」といった具合に、自分から自分の情報を提示して、「相手が話しやすい土台」を作ることが重要なのである。

しかし、基本的に人というのは、「長時間相手の話を聞くことを負担に感じてしまう生き物」である。それを踏まえると、ずっと会話が7対3で進んでいくことが好ましくないことがわかる。

そこで私がまず、7対3の会話をしている時に「小さなゴール」に設定している会話の比率は、自分が4、相手が6になるように、会話の比率をひっくり返すことである。

自分よりも相手の方が話す量が多くなる瞬間。この時何が起きているかというと、相手が自分に対して、「私のことを知って欲しい」、「もっと話を聞いて欲しい」と思っている状態が起きている。

では、その状態にするために必要なこと。それは相手に対して「質問をすること」である。しかも、何でも質問すればいいわけではない。相手が自分に対して、「知って欲しい」という状態を引き起こすためには、「相手の好きなこと」や「相手の得意なこと」を話してもらう必要がある。そのため、こちら側から仕掛ける質問は、「相手の好きなこと」、「相手の得意なこと」を「引き出せるような質問」をする必要がある。

その質問で有効なのが、「相手の特徴」に対して、「なぜ?」を問いかけることだ。特に相手の「持ち物」や「過去の部活動」、「容姿に関する装飾(ファッションやメイク)」などには、相手の「こだわり」や「美学」が表れていることが多い。
そこに対して「なぜあなたはそれを選んだのですか?」と聞いてあげることで、相手は自分のこだわりや美学を進んで楽しく話してくれるだろう。その教えてくれたことに対して、自分が思った素直な感想を相手に伝えてあげるまでがセットだ。これが相手の「理解者」になるということであり、これが会話を4対6にひっくり返す一つの方法となる。

一度会話の比率を4対6にひっくり返すことに成功したら、その比率を、3対7、そして冒頭で説明した2対8にしていくことが次の目標である。
その際も、やはり相手の「好きなこと」、「相手のこだわり」に対して質問し、その答えを「深掘り」していくことで、相手が話す比率を高めていくことが大切である。

この、「会話の比率のコントロール」を自由自在にできるようになると、誰に対しても、「相手に気持ちよく話をさせることができる人」になれるだろう。

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