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Bay City Rollers 「Dadication」 (1976)
70年代後半に一世を風靡したベイ・シティ・ローラーズ(以下BCR)ですが、モンキーズが大好きな私が嫌いな筈はなく、特に彼らのメガヒット「Saturday Night」は永らく私のフェイバリット・ソングでした。 彼らのオリジナルアルバムも熱心に聴いていた時期もあったのですが、ここ20年近くは放置状態。
そしてつい最近、Amazon Musicで久しぶりに彼らのアルバムを聴く機会があり、やっぱりいいなあと再認識。特に「青春に捧げるメロディー」を収録した本作は、BCRの最高傑作と思います。
ジャケットからして名盤!!って感じがしませんか(笑)。
BCRはアラン(B)とデレク(Ds)のロングミュアー兄弟を中心に結成されたバンド。そのスタートは1961年と相当古く、ブレイクまでに10年以上かかっている苦労人なんですね。
本作は1976年、BCRとしては4枚目のアルバムとして発表。ただし既に年長者のアランの名はなく、メンバーはイアン・ミッチェルに交代。一説にはアイドルとしては歳を取り過ぎたアランに対して、マネージメント側が長期休養を言い渡したとも云われています。この事例からも分かる通り、BCRはバンドの意見よりも、マネージメントの意向が強く働くバンドでした(それがアイドルバンドの宿命かもしれません)。
プロデューサーはジミー・イエナー。ジミーといえばラズベリーズ。ジミーがプロデュースした代表的なバンドで、エリック・カルメンが作る楽曲が素敵なパワーポップ・バンドでした。BCRの音楽もパワーポップな要素が強く、ラズベリーズとクロスオーバーするところが大いにあります。実際本作のスタートナンバーは、ラズベリーズのナンバーの①「Let's Pretend」なんです。BCRのバージョンは、エリックよりもレスリー・マッコーエンのヴォーカルは弱弱しく、よりソフトな感じに聞こえます。アップした映像、レスリーがなぜかヴォーカルとベース、ギターのエリック・フォークナーとサイド・ギターのスチュアート・ウッディ・ウッドがピアノ、イアンがギターという変則スタイル。
メンバーのエリックとウッディの共作の③「Rock'n Roller」は強力なロックンロールナンバー。なかなかキャッチーなナンバーで、レスリーに加えてエリックとウッディもリードヴォーカルを務めています。BCRは外部ライターが作った曲を歌うアイドルバンドでしたが、この曲なんかを聴くと、メンバーもいい曲書くなあと思ってしまいます。
ダスティ・スプリングフィールドの1964年のデビュー曲④「I Only Want to Be With You」のカバーを挟み、⑤「Yesterday's Hero」もまた強力なロックチューン。これ、てっきりBCRのオリジナルナンバーかと思ったら、前年にジョン・ポール・ヤングという人が発表した楽曲。BCRは基本、ジョン・ポールの楽曲と同様のアレンジを施していますが、もっと仰々しいアレンジで、歓声まで入れて、完璧に仕上げてます。この曲も私も大好きな1曲です
本作は素敵なカバーソングが数多く収録されてますが、⑦「Don't Worry Baby」も同様にビーチボーイズの名曲をカバー。オリジナルのビーチボーイズを超えるカバーなどないと思っているこの曲、やっぱりそうなのですが、BCRはマリンバを加えて、よりトロピカルなムードに仕上げますね。
⑧「Are You Cockoo?」、邦題「カッコー鳥」、こちらはBCRとしては意欲的なファンク・チューン。一部ファンからは熱い支持を受けているナンバー。ラス・バラードの作品。ちょっと撥ねるようなリズムですが、デレクのドラムはちょっとドタバタ感があり、あまりグルーヴか感じられません。ある意味、だから彼がホントに叩いている証拠かもしれませんが(笑)。
アルバムタイトルトラックの⑩「Dadication」はシングルバージョンは、リードヴォーカルはイアン。この曲はGuy Fletcherというソングライターの作品で、彼は前年にRougeというトリオのバンドを結成し、この曲を発表していますが、やはりこの曲もBCRバージョンは仰々しいアレンジなんですね。Guyは力強いヴォーカルですが、イアンは線の細いアイドルヴォーカル。このアイドルヴォーカルがこの曲を一層感傷的にさせてます。この曲は間違いなくBCRバージョンの方が素晴らしい。ちなみにこの時イアンはなんと17歳です。
BCRは、他人の曲を素晴らしいアレンジでBCR仕様に仕上げることが得意なパワーポップバンドで、メンバーの作る楽曲も秀逸なものが多いバンドでした。またメンバーのエリックのギターの腕前も、実はなかなかのものって話も聞いたことがあります。
その後、BCRはイアンが短期間に脱退、一説にはエリックのいじめにあったとも…(本当かな)。BCRの人気も下降線を辿ります。
本作のボートラには私の大好きな「Rock 'N Roll Love Letter」が収録されていたので、最後にそちらもアップしておきます。カッコいいナンバーです!