カラフルなスケジュールが恋しい
最近の自分を振り返って、思う。
あまりにも、暗い。
それもそのはず。このところ法事が続いたり夫の仕事が忙しかったりワクチンを打ったり帰省したりと、イレギュラーなことが多かった。「レヴュースタァライト」にどハマリし、何度も映画館に足を運んだ先月の今頃が、ずいぶん遠くのことに思える。
高校生の頃からずっと紙の手帳を使っていた私だけど、社会人になってスマホに変えたのをきっかけに、予定は全てGoogleカレンダーで管理するようになった。
どのカレンダーアプリもそうかもしれないけれど、Googleカレンダーでは予定ごとに色を設定できる。上京してきて舞い上がっていた私のカレンダーは、実にカラフルだった。
ライブやイベントは赤、友達と会う日はオレンジ、誰かの誕生日は黄色、ゲームやCDの発売日は水色、映画を観に行く日は紫、デートはピンク、といった具合に。
紙の手帳を使っていた頃も、予定によってボールペンの色を使い分けていたので、色分けする作業は全く苦ではなかった。むしろ、そうしてこれからの日々がカラフルに彩られていくことが嬉しかった。
ところが、世界が壊れ、退職し、人間関係を整理していくうちにカレンダーはどんどんまっさらになっていった。
今のところ予定が入っているのは、月に一度の整体と、2ヶ月に一度の美容院と、3ヶ月に一度の歯科検診のみ。通院関係はデフォルトの薄青を使っているので、カレンダーにはぽつぽつと控えめな印がついていくのみ。これはなんというかあまりにも、……味気ない。
私はもともと、ひきこもり体質だ。
快適な家の中にいたいし、外は怖い人たちがたくさんいる。
でもその一方で、ライブの熱狂や、友達とのおしゃべり、新刊の発売日を指折り数えて過ごす日も好きだった。手帳でもカレンダーアプリでも、色をつけたりシールを貼ったりスタンプを押したりして、「来たるその日」を今か今かと楽しみにしていた。そんな日があるから、仕事がどんなにしょうもなくても耐えられた。
「第17次緊急事態宣言」が出るまで、ずっとこんな状態なんだろうと思う。むしろ、それで済めばいい。考えうる限り悪い方へ悪い方へ進んでいて、もはや期待することも諦めた。
日々ゲームの開発は進み、イベント業界も工夫を凝らしてなんとか以前の状態に戻そうとしてくれている。でもそれ以上に、「どうせ駄目になる」という人々の間に広がった諦めの気持ちの方が厄介だ。
日々の買い物や通院といった、必要緊急な用事以外の予定を入れられるのは、一体いつになるんだろう。赤でもオレンジでも緑でも、何色でもいい。デフォルトカラー以外の予定を入れられるその日が、待ち遠しい。