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演劇集団キャラメルボックスの話

19歳から3年間、大学に通いながら声優の養成所に通っていました。そこの講師陣は舞台畑の方が多く、また通っている生徒達も舞台好きな人が多かったので、あっという間に劇団を知る機会が増えました。

劇団新感線、野田地図、第三舞台、G2プロデュース、惑星ピスタチオ、劇団MOTHER、維新派などなど。・・・思いっきり関西色が出ていますね。わかりやすいです。

沢山の有名劇団が数多くある中で、一番好きになったのが演劇集団キャラメルボックスでした。初めて観たのは友達からビデオテープで借りた「サンタクロースが歌ってくれた('97)」。
テレビでは真面目で静かな役が多いなと思っていた上川隆也さんの弾けた姿に魅了され、近江谷太朗さんとの掛け合いに笑い、西川浩幸さんの、隙あれば笑いを入れながらも、締めるところはしっかり締める演技に圧倒されました。

初めて生で観劇したのは「カレッジ・オブ・ザ・ウィンド('00)」。映像では味わえない、生ならではの迫力に一気に舞台の魅力に取り憑かれました。その後、「また逢おうと竜馬は言った('00)」、「クローズ・ユア・アイズ('00)」、「エトランゼ('01)」、「風を継ぐ者('01)」、「ミスタームーンライト('01)」、「ブリザード・ミュージック('01)」と立て続けに観劇。
特に「ミスタームーンライト」は、初めて生で観た上川さんの存在感と、上川さんを囲む劇団員の皆さんがとても楽しそうにお芝居をしているのがとても印象的で益々舞台に惹かれていきました。
毎回、観劇する度に過去の上演作品を購入することも楽しみの一つで、家で何度も観返した事を覚えています。

この時期は有名無名問わず、色々なお芝居を観に行っていましたが、軸にあるのはキャラメルボックスです。生ならではの迫力、聞き取りやすい発声と滑舌、音楽との相乗効果、舞台制作の楽しさと厳しさ、観てくれる人たちを笑顔にするためならどんな努力も厭わない姿勢。物作りに必要なこと全てをキャラメルボックス作品を通して教えてもらえたと思っています。

しかし、大学卒業と同時に生活環境が大きく変わり、どうしても今まで通りの観劇は難しくなりました。それでもキャラメルボックスは好きで、公式ホームページを通して情報は追い続け、紀伊国屋書店などでDVDを見つけたら買うなどして気持ちは離れないようにしていました。ただ時間を作ることは難しく、確実に観劇の頻度は下がりました。

「いつでもまた会いにきてください。僕たちはいつでもここにいます」

西川浩幸さんの言葉です。この言葉通り、どんな時でもキャラメルボックスは常に劇場に居続け、年に4公演以上の作品を発表することが「当たり前」でした。凄いなと思いつつ、少しずつそれは「当たり前」に感じられ、「今回いけなくてもまた次があるから」と無理して時間を作ってまでは観に行かないようになりました。

2019年5月31日、演劇集団キャラメルボックス活動休止が発表され、6月にはネビュラプロジェクトが自己破産手続きに入ったと知りました。劇団ホームページもなくなり、今まで「当たり前」にあったものが突然姿を消しました。
勿論、事あるごとに劇団員達が自身のツールを使って「観に来てください」と何度も何度も伝えていることも分かっていましたし、観客動員数が下がっている状況も伝わっていましたので、そうなることが「突然」でも何でもないことはよくわかります。
しかし、その時までは大変なんだろうなぁとは思っていても公演活動が止まるということは思いもしませんでした。

恥ずかしながら、ここでようやく自分が大事にしている人やグループ、団体に対しては気持ちだけではなく、ちゃんと自分の時間とお金を使って応援をしていかないといけないことを痛感しました。
応援する側は、使った時間とお金以上の価値のある上質なエンターテイメントを頂いています。ただずっと手元に残る形ある物を買っているわけではないので、それに価値があるかどうかを見極めるには自分の感性を高めるしかありません。
万人に分かりやすいものを買うのではないからこそ、自分の精度を高める努力は必要だと思います。

失敗したくない、もしくはリスクを最小限にしたいという思いから、無料動画など無料コンテンツに行きがちな気持ちもよく分かります。しかし、本当に大切にしたいエンターテイナーに出会えたら、そこはちゃんとした対価を払って応援しないといけないと強く思いました。

2020年6月29日に演劇集団キャラメルボックスのホームページが再開されました。

https://caramelbox.com

まだ活動休止は続くようですが、必ず復活するという強い意志を感じました。
コロナもあり、エンターテイメント作品の発表の形を変えていかざるを得ない中、どのような形で活動していくのかはまだ分かりませんが、同じ後悔はしないよう気持ちと時間とお金を使って応援して行きたいと思います。

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