10/7の遊馬的心は【講談の万両婿】と【落語の小間物屋政談】
浅草演芸ホールの楽屋ではハエの話でもちきりです。
寄席のスタッフが殺虫剤を用意してくれたそうで、
伯山のお弟子さんがハエを五匹も退治したそうだ。
伯山も昨日のハエの事をマクラに使ってウケていた。
そんな私はもうハエのせいには出来ない。マクラは余計な事を言わずに前の出番のねずっちさんのかみさんの話を受けて、ご夫婦の噺という事で【鮑のし】に入り、思い付きで入れた部分が微妙で、その後のフォローも出来ないまま、甚兵衛さんが50銭を借りるはずが1円を借りてしてまったのだ。
50銭で慣れているのでそれだけに気を取られてしまって、切れ場にしている盛り返せる部分でも微妙な感じで持ち時間を終える。
今日の伯山は【万両婿】を演るという。
落語では【小間物屋政談】になるけど元々は講談から来ているし、私も演るので楽屋に残って聴かせてもらった。
色々悔しくて、私はそうは演らないけどなと思いつつ
私のそれよりも面白く、大爆笑であった。
落語では導入部分、仕込みにもなる部分を淡々と省略する様に進めるので、そう来るのかと不思議に思った。
主人公の小間物屋の小四郎の描き方も違ったし、
小四郎の住む長屋の大家さんの押し出しを強調するのは私と同じかと思ったが
そこは伯山、
そこまでやるのか〜と思うくらい演ってより大家が浮き出てウケていた。
その中でも気なった部分を伯山に聞くとそこは自分が膨らました部分で、自然にそうなったと言う。
それによってより面白くなっていたと思うし、
当人も高座で『コレではもはや講談ではないな』と言うくらいに噺の中で伯山が楽しそうに遊んでる様にも見えた。
最近は好きでよく演るそうなので機会があったらぜひ聴いてもらいたい。
それに引きかえ
姑息な思い付きで演る自分とは違うなと感心しながら、
本日私は一つ歳をとりましたとさ。