マガジンのカバー画像

れいゆ大學

30
文章による芸、文藝。コラムです。 (小学校のかのうせいあり!) ちこく、ちこく〜! ※無料ですので、投げ銭をしてください。
運営しているクリエイター

#名探偵コナン

れいゆ大學④⓪ 毛利小五郎コメディアン論

熱心な日本共産党支持者である納谷悟朗が「ルパン三世」で銭形警部という国家権力のはぐれ者を演じていた。そうしたメタフィクション的な面白さも、いまとなっては情緒的に感じられるのである。 かつて吹き替えの黎明時代、それは舞台役者にとって時間を拘束されずにギャラを受け取れるアルバイトであるのと同時に、本来の仕事ではないという複雑な心情もあった。役者なのに姿を見せていないという揶揄も孕んだ言い方である「アテ師」は、やがて「声優」というコケティッシュな名称に変異していった。 老舗コメ

れいゆ大學 ❸❺ 安室透・考 (それはアニメじゃない)

「名探偵コナン」の安室透が、映画「ゼロの執行人」のクライマックスで「僕の恋人はこの国さ!」と言う場面がある。 これは明治から戦後にかけての思想家、徳富蘇峰の「俺の恋人誰かと思ふ、神の造りし日本国」から来ているだろう。 徳富蘇峰は様々な思想の変遷を持つ巨人だが、のちの時代、戦後高度成長を経て物質的社会になると、「俺の恋人は日本」というのは右翼らしい考えとなった。三島由紀夫とともに自決した森田必勝が好んだ和歌としても知られる。徳富蘇峰は右翼ではないし、戦前の右翼にあたる亜細亜