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ゆるりとレースゲーム | 20世紀生まれの青春百景 #48

 今日はおやすみだったので、一日中レースゲームに没頭していた。『Dirt Rally 2.0』と『WRC Generations』である。他にもDirtシリーズはひと通り持っているので、久々に引っ張り出してみた。

 かれこれ、レースゲームを始めてから20年以上の歳月が経つ。

 『マリオカート』や『グランツーリスモ』のような有名作品も遊んだし、『Toca Race Driver 3』や『リチャード・バーンズ・ラリー』のように日本ではほとんど知名度のない作品も遊んだ。『BeamNG.drive』や『Euro Truck Simulator 2』といった変わり種も好きだ。二輪にはまったく興味を示さなかったが、四輪のクルマを扱ったゲームは大抵興味を持ってきた。

 ただ、やはりラリーに対しての思い入れは格別で、F1やGT3よりもラリーやラリークロスを扱った作品をプレイしてきた。特に、DirtシリーズとWRCシリーズという本格志向の作品が両立していた2010年代は素晴らしい時代だった。WRCシリーズは開発元が変わったり、作品の規模が小さかったりと不満がなかったわけではないが、シリーズを重ねるごとに作品の質が上がっていくのを楽しみにしていた。

 2023年からはエレクトロニック・アーツの傘下となったコードマスターズがEA SPORTS名義でWRCシリーズの開発を受け継いでいるが、これまでDirtシリーズを開発していたものの、なんだかぎこちない感じがする。Unreal Engineの最新版が導入されたら、グラフィック面では随分変わってくるだろうし、コードマスターズのことなので3作目くらいには洗練されていくと信じているが……

 ラリーゲームの何がおもしろいかというと、気軽にラリードライバーになれること。そして、どれだけ派手に攻めても、クラッシュした時に怪我をする心配や予算不足でクルマが用意できない不安を抱かずに攻められるのが良い。最初は繰り返しぶつけながら、自分に合ったペースを見つけていく。何度もミスを重ねていくうちに、ヤリ=マティ・ラトバラやクリス・ミークの才能に当時のチーム代表たちが懸けた気持ちがわかるんだ。

 知らない人には、無謀な若者がただアクセルを踏み込んでいるだけに見えるかもしれないけれども、「速く走る」という才能が天性のものであることを痛感する。どんなに頑張ったって、とびきり速く走るための度胸だけは鍛えられないのかもしれない。

 わたしはパッドでプレイしているので、ゆるいプレイヤーに過ぎない。周りのプレイヤーの状況に救われ、時にオンライン対戦で上位に顔を出すこともあるが、あくまでも偶然。好きだからこそ続いているし、基本的にオンライン対戦はやらない。程よい難易度で、一歩ずつ上達していく。これまでは無理をしないと一番にはなれなかったけれども、普段はある程度ペースを抑えて、ここぞという時にギアを上げられるようになった。無理をしていた頃よりも、今の方が数秒速い。限界を超えた先の数秒って、かなり大きくて。

 トッププレイヤーたちにとっては亀のような速度かもしれないが、わたしにとっては大きな一歩。この先、ラリーゲームはもっともっと進化していくはずだ。レースゲームもそう。いずれ、街を自動生成したり、古今東西のあらゆるドライバーたちの傾向をシミュレートできるようになるかも……今も種まきは続いている。

 わたしはクルマが大好きだ。他の人と比べたことはないが、誰よりも好きだ。偏愛に満ちている。ラリーはその大きな部分を占めているし、この先も変わらない。一生、ラリーと付き合っていくだろう。

 2024.5.22
 坂岡 優

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