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命を殺すか、食べるかは文化なのか

2024年7月、同時通訳者 田中慶子 さんのオフ会の幹事をしました。
全部で3日間の日程。
1日目は香川県の直島、2日目は岡山県倉敷市、3日目は、岡山県在住の移住猟師マサキさんのところへ行きました。
細かな話は別で書きますが、今日は最終日の話しをしたいと思います。


移住猟師マサキさんこと「移住してはじめる狩猟ライフ」の著者、辺土正樹さん。
13人という大所帯で訪れた目的は、獣をとること、食べていくこと、命のことなどお話を聴くこと。

ことの始まりは、田中慶子さんとマサキさんのvoicyでの対談でした。
ここで私は初めて多くの“害獣”として撃たれた鹿やクマ、猪たちが殺されるだけで、捨てられていると言う事実を知りました。

田中慶子さんは、動的なイメージだった狩猟が心の深いところに繋がるための極めて静寂な行いに思えてくる、と感想を残されています。
当時の私は、Xに

と書きました。
その後、慶子さんが次の岡山のオフ会では、直島や倉敷、マサキさんのところにも行きたい、という発言をされて「私も話を聞きに行きたい!」と思うように。

2024年春に打診して、ご快諾いただきました‼️

お話が聞きたい、と言うことがメインだったのですが、マサキさん宅に伺うと、目に入ってくるグリル。

田中慶子さんとリスナー仲間(タリキーズ)の目は、自然の豊かさと里の雰囲気に釘付け。

シンボルツリーのように立つ榎木(えのき)が陰を作ってくれていて、強い日差しで恐ろしい暑さの中の癒しの場に。

voicyの生配信もこちらで


おもてなしの最初は、正樹さんが捕り、血抜きし丁寧に作られた猪肉のハム。
驚くほどクセのない、甘みのしっかりした味で、タリキーズ全員が目を見開く事態に。

驚くほど飲みやすいシャルドネは、岡山のワイナリーが育んだもの。

猪のベーコンにも合う。
最初にリンクをつけた、オフ会での対談語られている冬の間の猪が蓄える普段の脂肪の下の溶けやすい脂肪の説明を受けると、これだけ分厚い脂にも挑戦する気持ちが湧いてきます。

こぼれ話になりますが、娘さんに好物を聞いたところ、一番好きなのは「お父さんが作ったオムライス」だそう。隣にいた奥様が、補足で教えてくださったのが、猪のラードをたっぷり使うから、卵がふわふわなんだとか。
不思議と胃もたれしないラードたっぷりふわふわの卵。
確かに想像だけで美味しそう‼️

鹿肉のロースト
初めて食べました。食べた瞬間に感じる鉄分とギュッと詰まったきめの細かい筋肉。その割にしっとりとしていて、塩のみで雄弁なお肉でした。

さらに、すじ肉のトマト煮込みをふるまってくださいました。前脚の細い肉で、元々は筋張っていて、捨てられることが多いそうですが、柔らかくてその事実にびっくり。


猟師は獣を仕留めるだけで食べないことが多いそうですが、食料自給率を上げるという意味でも良いタンパク源になる獣達を、「害獣」としてただ殺すだけなのはもったいない。
マサキさんは、獲った獣をちゃんと食べる文化がない、と言います。食べるものなんだと言う文化を作りたい、と。

「命」である獣の肉の扱いが“文化”の違いと言われることに、違和感を感じるのは、その文化の中に身を置いたことがないからなのでしょう。
獣の命を奪った後、食べるためには、血が回らないように配慮する必要があります。
時期を考え、血抜きをし、とにかくスピード勝負。それは確かに“食文化”。

voicyで話を聴いて、本を読んで、感じていたけれど、食してさらに想いが深まりました。
ご飯は美味しい島根のお米を肉と物々交換したもの。
さらに奥様の出してくれた色鮮やかなお野菜のおかず。


目にも心にも美味しいものを口にしていると、もっと丁寧に生きようと言う気持ちになります。

質問もいくつかさせていただいたんですが、リスナー仲間がした質問で最も興味深いなと思ったのが、皮や骨、内臓の行き先。
皮はそうしたものを使って財布などを作る方がいるらしい。
骨は砕いて土に返すと作物がよく育つそうです。
「それはリンの関係ですか?」と重ねて訊ねると「だと思います。骨だけじゃなく内臓を土に返していた時にさらに作物がよくできました」と。

帰る前には集合写真を撮ってワイワイガヤガヤ。マサキさんとご家族の皆さまのお時間をいただき、おもてなし全てに感謝。
さらしを凍らしたおしぼりに感激しました。ありがとうございます。

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