コンビニでゆで卵を買うようになったワケ

私は主婦である。
コンビニは、何でもかんでも高い。
だから頻繁に行くことはなかった。
ましてやさっと作れるものなんて、原価を考えて、全く買う気になれない。
そんな私が最近、コンビニで「ゆで卵」を買った。

コンビニの味付たまご

2こ入り味付け卵。
スーパーの茶色い殻の卵10個分ぐらいの価格である。
以前の自分で有れば、考えられない。
なぜ、買うことにしたのか。
タンパク質を摂りたかったから。
ただそれだけだ。

コンビニに行かない生活から行く生活へ

主婦となり、ほとんどコンビニに行かなかった私が、コンビニに行くようになったのは、働き始めてからである。
ランチやちょっとしたおやつなど、ちょうど職場に行く通りにあったので、楽だった。
とはいえ、原価を考える頭は変わらない。
これは高すぎる、と感じることも多くて、買うのはパンや飲み物が多かった。
スーパーとスーパーの価格差にこだわることがないのに、自分の中のスーパー価格とコンビニ価格の差はいつまでも埋まらない。

物の値段への考え方が変わった

自分の頭の中で考えが変わっていることにも気づかないまま、先日、タンパク質が必要だ！と感じてコンビニを回る。
正直に告白するがついこの間まで「タンパク質」を摂るために「〇〇チキン」を購入していた。
タンパク質は意識して摂取しているが、「脂質」を制限していないからだ。
ただ、あの日は揚げ物は食べたくなかった。
揚げ物以外の視点で探すと、サラダチキンやおつまみのイカのおかずなど、仕事場で食べるのにはハードルが高いものが多い。
前者はお皿が必要な状態で、後者は香ばしい匂いが今にもしそうな写真。
さらに探してようやく見つけたのが、「味付たまご」ゆで卵だ。

味付で塩が散らばるストレスもなく美味しいなと思いつつ、ふと「前の私だったら買わなかったなぁ」と思った。
「あれ？なんで今の私これ買ったんだろう？」という問いが湧く。
「タンパク質が欲しい」という自分の欲望と「コンビニのゆで卵が高い」という考えが天秤にかかり、欲望が勝ったことになる。実際に購入するときにはそんなこと考えていなかったけれど。

考えた可能性は2つ。

・自分の考えや想いを大事にするようになった。
・サロンを開き、経営をする中で「物の値段」への考え方が変わった。

何か欲求があっても、まず自分が我慢すればいい、と子どものころから思っていた。何か嫌なことが起こるぐらいなら。例えば、「お金が減る」「けんかになる」
でも、身体のためになることを我慢する必要はないと最近は考えている。だから、一つ目の自分の考えや想いを大事にするようになったというのは、多少、影響があるかもしれない。
ただ、二つ目の、経営をする中で「モノの値段」への考え方が変わった、と言うことの方がしっくりくる。
物の値段には「経費」が含まれていることは理解した上で、その上乗せ分に価値を感じれば購入するし、そうでなければ買わない、というシンプルな話だ。

ゆで卵=原価+ゆでる手間+輸送料

という捉え方だったのが、

ゆで卵=原価+ゆでる手間+輸送料+私が今ゆで卵を用意する手間

に変わった気がするのだ。前者はあくまで売る側のリソースだけの話。そして後者は私のリソースが入ったことで、私の仕事時間やプライベートな時間が増えることが分かる。

事業の現場でも考え方が変わったと感じることがある。
サロンが使用する「モデル写真」に関して「サロンのものだ」と思うようになった。以前雇われていた時には、写真にやめたスタッフが載っていた場合、早く消さなきゃと考えていた。肖像権などを考えていたからだ。
しかし、経営し始めると、心情的には消す方が良いだろうと思うものの、早く消さなきゃ、とまでは思えない。なぜなら、モデル写真を撮影するにあたり、施術時間の給料や資材の提供をしている。さらに、モデルがスタッフである場合も、その時間給料を支払って拘束している。さらに撮影後の写真はネット上にあげる了承を得ている。
つまり、お店に所有権がある、それだけの価値を提供した、と考えているのだ。雇われていて店長をしていた時には、そう考えられなかった。「経費」というものへの考え方が今よりずっと軽かったのだと思う。
ただその場でかかるもの、というような感覚だ。実際にはかかった経費が今日の、今週の、今月の、今年の、さらにその次の年の売り上げを作るための物であるのに。

自分のリソースを使う必要があるかどうかの視点

こぢんまりサロンや小さな経営をしていると、苦手なことも含めて自分でやらなければいけないことが山のようにある。最初は自分でやってみる、できる方法を考えるのが大切だと思う。
ただ、どうしても時間がかかること、やっても精度が低くミスが多いこと、あまりにその事柄を考えるあまり、その他がおろそかになること、この3つに関しては、自分がやる必要があるかどうかと考える必要があると思う。自分のリソースを使う必要があるかどうかの視点が自分の時間や頭を効率的に使うきっかけになるからだ。

味付たまごはきっと明日買っても同じ味をしている。