えまの葉
現実に追い立てられて 逃げるようにここへきた まだ頭の中は、 ぐわんぐわんとひっきりなし 目を閉じて 感じてみる 鳥の声 風の音 遠くでサッカーをする人たちの声 土とボールの音 小学校にいたときは 保健室から グラウンドの音が聞こえるのが 好きだったのを思い出した どこかで雲が動いている 木の葉が落ちた 餌を探す 小鳥の足音 目を開ける いつのまにか頭は静かになっていて 足元を見ると 五つ葉のクローバー これがわたしの、 ぜいたく
ぬくぬくとして あたたかくて ここにいたら何もかもから 守られている気分になる わたしだけの、わたしだけの空間 毛布をはおって うつぶせになる ふわふわで あったかくて ほっぺに愛がぬくもった 夢の中まで、 のこり3秒 ------ (すてきな絵すぎて…ひとめぼれで添えさせていただきました)
あれは高校生のころ。 中学までは英語なんてずっと、机の上で学んで何になるんだとか、 日本語すらままならないのになんでaとかbとか書かなきゃいけないんだ、数学にまで顔を出しやがって…ぐらいには思っていた。 たしかに話せたらかっこいいけれど、教科書で文法だけじっと学んでいてもどうにもならないじゃん、とかなり拗ねた態度でいたものだった。 高校生になって、ひげもじゃでベンツに乗ったお金持ちな先生が3年間英語の担当になり、 ドラゴンボールの登場人物は全員、野菜が名前の由来になって
いつもタイヤの遊具の根本のところに 隠れていて ひっそりと子どもたちを見ている 今日はあの子 友達といるぞ 自分から声をかけたぞ すごいぞ 昨日は猫に追いかけ回された 首根っこを噛みつかれそうになったけど ようやく逃げおおせた 今日はブランコに大人が座っている ブラックコーヒー片手に なんだか生気がない パリっとした黒い服を着ている 何度も息を吐き出して 小さくて黒い画面を見つめている その人のまわりには 見えない鎖があるみたいだ 小人は見つめつづける あの子ど
祖母が近くに入院しているとのことで、 急遽お見舞いに行くことになった。 目が悪く、何度も入院をしたことがある祖母だったが、今回は心臓が悪いらしい。 前の用事が押してしまって、予定よりかなり遅い時間に、走って病院へむかった。 楽しみにしてくれているのに待たせてしまった。 こういうときに待つのはどれだけ心細いだろうか。私には想像できる。 待って待って、面会時間がたった5分だなんて、 ひとり待っている寂しそうな背中を思い浮かべて、いたたまれない気持ちになって。 必死に走っていた。
父と母は何年か前に別れていて、 でも同じ県に住んでいて、 それぞれを久しぶりに訪ねた。 父は新しい車を買っていて、 家族全員で乗っていた愛車がとうとう なくなってしまうのかと思うと 少し寂しかったが、 昔の私ほど失くなるものに対して刹那的な思いや執着は出てこなかった。 新車にいざ乗ってみると、 すごく乗り心地がよくて、シートがあったかくて、とにかくしんとした明るい感じがして、 新しいほうが好きだと思った。そしてそれを伝えた。 そんな私に自分で驚いた。 母は私たち娘を連れ
小雨、コートが虹を飛ばす ちいさな羽は 耐えられるだろうか ラジオ、途切れて 部屋を充す 孤独と和は いつも共に居る 今 涙の間を縫って 遠回りした君は 見知らぬ花と出逢い 色と言葉を豊かにした I always hope you could be free I always hope you could be free 傷つかなくていい ただ 飛んでいてほしい I always hope you could be free I always hope y
胸を張って歩こう 昨日仕事でミスをした 胸を張って歩こう いつも自信を持っていい 胸を張って歩こう 体と心はつながっているから 胸を張って歩こう 今からいい日 胸を張って歩こう この人生はあなたが主役 胸を張って歩こう いつも自信を持っていい 胸を張って歩こう 心をなぐさめるために 胸を張って歩こう 雨の上には青空がある
秋分のよる、 目を閉じて 耳をすませる。 鈴虫の声。 カサカサとゆったりうごめく 森のところまで連れて行ってくれた。 それは赤に変わる前の深緑。 これから色が移り変わっていくなんて まったく信じられないほど深い。 だけど、変わってゆくものなのだ。 木も。人も。 緑から赤に、 赤から黄色に。 どうしても深くて暗い色だって、 明るくなる日が来るということ。 そんな言葉が浮かんだ矢先、 空想の森の中。 コウモリの目がパチクリと光って 消えた。
昨日の夜、変な夢を見た。 学校の、おそらく中学校で授業を受けていて、 私は中学生の頃の姿。 国語の授業なのになぜか 「ひとり1曲、歌を作ってきましょう。教科書のこの物語をテーマに、1曲作ってみて。」 と言われる。 夢では、その宿題を既にやってきていて、 いよいよ1人ずつ発表というタイミング。 楽器の持ち込みとかもなく、 その場でアカペラで歌いなさいと言われる。 ふっつーの公立の中学の、 しかも国語の授業で、 どんだけぶっ飛んだ内容だよ。 と起きてから思ったけど、 この謎な
なんにも全てが当たり前じゃない目の前の世界で いつ終わらされるかもわからない中で 夕方の空が本当は 秋に近づいていることに気づいたり 池を見ながらぼんやりしたり 人がしゃべっているのを ぼーっと聞いたりできるのって 実はものすごいことなんじゃないかと なんにも確かじゃないのに だからやっぱりやっぱり 作ってうたって踊って、 カラフルに今にぶつかってこ とおもった今日のひとコマ
どうか 消えないで 擦り減って いかないで 仕草、表情、口ぐせ、全部 覚えていたいのに 少し繋がれる気がして 同じ曲を聴く シャッターのようにはいかない 時間よ止まれよ 流れる夜景に乗っかって あてのない気持ちをこぼしていく シャッターのようにはいかない 忘れたくない たとえ先がまっくらでも あなただけを 今だけを見ていたい あなたの言葉ひとつずつ全部 覚えていたいのに 読み返すことはできなくて またふと目で追う パッと花が咲くみたいに レールを飛び越えて 先のこと
ここに来ることは5分前に決まった。 せっかく夏が来そうだっていうのに 君がレジ袋から取り出したのは 温かい方の缶コーヒー。しかも微糖。 そういうとこだ、そういうところが 前からズレている。 「私微糖は苦手って言ったじゃん。 覚えてないの?」 「…そうだっけ?ごめん微糖しか買ってない。」 「いいよ、飲む。」 全く微ではないこの甘ったるさと熱さと、 髪の先まで纏わりつくようなぬるい風。 今から始まる話題を予感させるような 気怠い感触だった。 しばらく口を開いたのは私だった
あの頃はあんなに向き合った友達とも もう手も振らなくなって 何かあったわけじゃない ただ、なんとなく あの頃はおはようおやすみ 言い合ってた親にも もう何も言わなくなって 何かあったわけじゃない ただ、なんとなく 気付けばいろんなものがこぼれ落ちていて でもいまもいまなりに 抱きしめているものがあって ふとしたときに忘れものを思い出して ぎゅっと寂しくなるから なんとなく なんとなく 笑いかけてみよう おかえりを聞かなくなって もうどれくらいだろう あの頃の匂いも音も
ほっけ。 ほっけが食べたい。 家に帰ってきてストレートで眠ってしまって 気づいたら時刻は夜の23時。 こんな時間だけど ほっけが食べたい!!!!! この前スーパーで買った冷凍のほっけが 冷蔵庫に。 焼いてしまおう。 ほっけへの熱意をエネルギーに換え、 溜まった洗い物を片付けたあと、 フライパンに火をつける。 チチチチチ オリーブオイルをたらす。 ほっけを並べて焦げ目がついてきたら 料理酒を入れて蓋をする。 …いい匂いすぎる。罪。 二切れ焼いたホッケを、 ひと
朝5時 トイレに起きる 雨の音 しとしと 鳥の声がする 街灯が鏡のような道を照らして 青い、グレーの空が 雨の降る街を守っている そんな薄暗い灯りを尻目に まだぬくもっている布団に潜るのだ 目を閉じれば森の中 湿度の高い木々がわたしを歓迎している 電車の走り始める音 それに連れられるまま 夢の世界へ