マネ撮02 #11
「乃木坂、卒業する」
〇: ………理由、聞いても良い?
美:うん。
私、小さい頃からアイドルになるのが夢だった。お兄ちゃんにもたくさん話してたよね
〇:そうだね
美:それでいろんなオーディション受けてみたけど全部ダメで…これが最後って思って受けた乃木坂の3期生オーディションで合格。本当に嬉しかった
〇:俺もあの日のことは昨日のように覚えてるよ
美:それで乃木坂に加入していろんな経験をさせて貰った。表題曲のセンターもやらせて貰った
〇:うん…
美:1期生、2期生の先輩達がいなくなって私達がグループを引っ張る立場になって、全ツもみんなで力を合わせて完走した
〇:3期生のみんなカッコよかったよ
美:4期生、5期生はもう心配いらないくらい成長したしもうグループを任せても大丈夫、そう思った
〇: ………
美:今までがむしゃらに走ってきたけどようやく思えたんだ。やり切ったって
それが卒業を決めた理由だよ
〇:うん…そっか………良かった
美:え…?
〇:アイドル、やり切れたんだな…美月
美:お兄ちゃん…やだ…泣かないって決めてたのに…
助手席に乗る美月の目からポロポロと涙が零れ落ちる
〇:美月、おいで
美:うぅ…お兄ちゃん…!!
胸に飛び込んできた美月の頭を優しく撫でる
〇:最後まで頑張ろうな…後悔しないように
美:ゔんっ…頑張る…
美月に釣られて〇〇の目にも涙が浮かぶ
〇:全力でサポートするからね…
美:お願い…お兄ちゃん大好き…
〇:うん、俺も美月のこと大好きだよ
美:うぅ…嬉しいぃ…
〇:ふふっ、泣きすぎだから
家で飛鳥待ってるしそろそろ帰るよ
美:うんっ…飛鳥さんにも報告しないと…
〇:そうだね…
(美月が卒業したら俺もマネージャーの引き際だな…)
美:お兄ちゃん?どうかした?
〇:ん?いや、何でもないよ
美:ふ〜ん…てかお腹空いたっ!早くお家帰ってお兄ちゃんのご飯食べたいっ!!
〇:はいはい…急ぎますよ〜笑
美:急げ〜!ご飯が逃げちゃう〜!!
涙を分かち合った2人の顔にはいつもと変わらない笑顔の花が咲いていた
___________
今:今日は乃木坂46、35thシングルの選抜を発表する
事務所の一室に集まったメンバーは皆引き締まった表情を崩さない
今:その前に山下から話したいことがあるそうだ
美:はいっ…
今野さんの言葉を聞きメンバーと向き合う
美:私、山下美月はこの35thシングルで乃木坂46を卒業することに決めました
引き締まったメンバーの表情が歪む
〇: ………
(美月の卒業を聞いて特にメンタルが心配なメンバーが2人いるけど…)
美:最後までよろしくお願いします
一礼した美月はそのまま席へ戻る
今:では選抜を発表する………
その後、今野さんから選抜メンバーが発表されその場は解散となる
今:〇〇君、あの2人のケア頼むよ
〇:はい、分かってます
今:〇〇君にしか出来ない仕事だ。押し付けるようになって本当に申し訳ない…
〇:謝らないで下さい。自分に出来ることはあの子達の支えになることしかないので
そう言ってメンバーの元へ向かう〇〇
今:それが1番大切で1番難しい仕事なんだよ
〇〇君、任せたぞ…
〇:遥香、ちょっと来て
遥: ………はい
遥香を連れて別の部屋に入る
〇:遥香、我慢しなくて良いよ
遥:うぅ…〇〇さん…
目元を真っ赤にした遥香を抱きしめる
遥:美月さんが卒業するって…
〇:うん…
遥:私、何が何だか分からなくて…どうしたら良いのか…
〇:うん…
遥:私…無理かもしれません…
〇:遥香。受け入れられない気持ちも、悲しい気持ちも分かる
でも美月は言ってたよ、4期生にグループを任せられるって、だから心配なく卒業できるって
遥:え…
〇:それなのに遥香が弱気だったら美月は心配なく卒業できる?
遥:できないです…
〇:悲しみは当然あって良い。でも弱気になっちゃダメだ
遥香の周りには頼れる仲間がいる
みんなで乃木坂を作っていくんだ
遥:はい…もう弱気にはなりません!
〇:最後まで美月と良い思い出作ろうな
遥:はいっ!!
〇:よしっ、遥香は笑顔が良く似合うっ!!
遥:えへへ…//
元気の戻った遥香と元いた部屋に戻る
〇:(次は…)
〇:美空
一:〇〇さん…
〇:ちょっとお話しよっか
一:はい…
先程遥香といた部屋へ
〇:やっぱ美月の卒業聞いてショックだったよな
一:はい…〇〇さんは初めて聞いた時ショックでした…?
〇:勿論寂しいなとは思ったよ
でも、美月は夢だったアイドルになって、それをやり切ったって言ってた
そんなこと言われたら最高の舞台で卒業して貰いたいって思いに変わったよ
一:私も美月さんに最高に可愛くて綺麗な最後を飾って欲しいです
〇:だろ?それに卒業までいっぱい甘えないとな
一:でも…迷惑じゃないですかね…?
「迷惑な訳ないじゃん!」
一:美月さんっ…
美:私は卒業までに後悔は残したくないし、美空にも後悔は残して欲しくない
だから今まで以上に甘えて良いんだよ?
一:分かりました…!美月さんがそう言うならいっぱい甘えます!!
美:ふふっ、可愛いなぁ美空は
〇:(美空のメンタルも何とかなったか…良かった)
美空を美月に任せ先に部屋を出て元の部屋に戻る〇〇
さ:ねえ、〇〇さん…
〇:ん?さく、どうした?
さ:〇〇さん、マネージャー辞めようとか思ってないですよね?
〇: …どうして?
さ:〇〇さんがマネージャーになったきっかけって美月さんの紹介だし、美月さんの卒業のタイミングと一緒に辞めようと思ってるんじゃないかって気がしてて…
〇: …凄いね、さくは。何でもお見通しか
さ:絶対ダメ…同時に〇〇さんと美月さんいなくなっちゃうなんてヤだよ…
〇:俺がマネージャーになった理由の1つには妹のアイドルっていう夢を近くで支えたいって思いがあったんだ
だから美月の卒業と同じくマネージャーを辞めようって思ってた
さ:辞めちゃダメ!私達には〇〇さんの力が必要です!!
さくらの大きな声に周りのメンバーが反応する
遥:え…〇〇さんも辞めちゃうの…?
和:嘘…
そこに美月と美空が戻ってくる
美:え?どうしたの?
史:〇〇さんもマネージャー辞めるって…
美:えっ…聞いてない…
一:〇〇さんもいなくなっちゃうの…?
梅:〇〇さん、考え直して下さい!
日々のレッスンやライブ、いつも優しく声をかけてくれる〇〇さんにみんな救われてるんです
今日もかっきーや美空は〇〇さんの言葉に救われたと思います
未熟な私達には〇〇さんが必要なんです!!
〇:美波…
今:私からも頼む
〇〇君以上に彼女達のマネージャーに相応しい人はいないよ
〇:今野さんまで…
美:お兄ちゃん。私が大好きな乃木坂をこれからも支えていって欲しい
お願いします!!
「お願いします!!」
〇: ………分かった
勝手に辞めるとか言って申し訳ないです
こんな自分で良ければこれからも乃木坂のために働かせて下さい!!
梅:勿論ですっ!これからもよろしくお願いします!!
さ:これからも頼りにしてますから!
遥:うぅ…良かったぁ…
一:うぅ…お兄ちゃんまでいなくなるかと思ったぁ…
史:あ〜!〇〇さんが泣かせたぁ〜!!
〇:あ〜!ごめんっ!2人とも泣かないで〜!!
一:ギューしてくれなきゃ許しません…
遥:チューしてくれなきゃ許しません…//
美:ちょっと待てぇぇぇ!!
ギューはまだしもチューって何よかっきー!!
遥:〇〇さんダメですか…?
〇:流石にチューは飛鳥いるからダメかな…笑
遥:じゃあ私もギュー!!
一:ギュー!!
〇:うおっ…勢いが…笑
美:あ〜!ズルい!私もっ!!
〇:ちょっと!苦しいよ!!
史:じゃあ私も〜!!
和:えいっ!
梅:みんな〇〇さんに抱きつけ〜!!
「お〜!!」
〇:う、動けない…
今:ははっ、山下〇〇マネージャー辞任白紙記念だな…笑
カシャッ
今野さんが撮った写真には笑顔の〇〇とメンバーが写っていた
to be continued.
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