BACKPACKER-逆境EP
お久しぶりです。
ちょっとしたご縁から聴く機会のできたバンド、「BACKPACKER」をご紹介致します。
1枚目のEPということもあり、知名度は恐らく東京の一部の方々が知っているかどうか、というところでしょう。しかし、聴いてみるとこれは…レビューせずにはいられない、と久方ぶりに筆を取った次第です。
バンドの全体像としてはスリーピース体制で、女性のベースボーカル、男性二人のギター、ドラムから構成されています。このあたりを見ると、私もたびたび触れることのあったHakubi等と共通している部分もありますね。後に触れますが、ストレートな歌詞を音に乗せて叩き込んでくれるあたりも、どこか近い部分を個人的には感じたり。
こう書くとまた最近よくあるありきたりなバンドか、と思う方もいらっしゃるやもしれませんが、そうだとしたらわざわざ私はレビューなどいたしませんので、その点ご安心ください。
初EPといえどバンドの個性はしっかり映し出されています。
「逆境EP」は全3曲から成ります。
MVも制作されているキラーチューンであり、冒頭曲の逆境から始まり、短い曲の中にバンドの個性を圧縮したようなALONE、最後にアコースティックなイントロから哀愁を纏う「聴かせる系」の大阪で締める。…
まず、初EPを収録するにあたってかなりよく考えて選ばれた3曲なんじゃないかな、と。曲順もですが、フルアルバムへの期待を非常に膨らませてくれる一種のハイライトの様な曲たちです。3曲なのに、しっかり起承転結してるのがそもそもすごい。
一曲ずつレビューしていきます。
1.逆境
冒頭曲、そしてキラーチューン。
「飾った言葉は言わないから」と歌詞にもある通り、非常にストレートな熱さを持った楽曲です。さてさて、熱さを持つバンドなんていくらでもいるわけですが、それだけで終わっていないあたりがすごく良い。ボーカルの若干ボーイッシュさも感じさせる声質、楽器隊の音像の適度な重さやカッチリ感、それらが合わさってただ熱や疾走感で押し切るのではなく、硬質でどこかクールな印象を持たせています。そもそも単純に演奏技術の高さも要因にあるのかもしれません。専門家ではないので、詳しくは言えませんが…。
あくまで個人的なイメージですが、高温で燃える青い炎、という感じ。
サビのキャッチーさもこれまた素晴らしいので、一聴したら耳から離れません。だからといって全面がポップ&キャッチーなただのつまらない楽曲になっていないところ、最高。小難しいこと書きましたけど、つまりめっちゃかっこいいです。
2.ALONE
この曲、非常に面白い。曲としては1分半ほどの短いもので、聴き始めはこのまま疾走して押し切る曲かな、思ったのですが…聴き込んでみると演奏陣の小技がかなり良く効いてます。シンプルなようでシンプルじゃない。いい塩梅です。曲の後半はリズム隊は引っ込んで弾き語りへ変化し、しっとりと終わっていく…この変化がまたいい。次曲の大阪への繋がりも綺麗ですね。
1分半の中に、バンドの個性がこれでもかと圧縮されているように感じます。「よくあるバンド」ではないと私が感じた理由はこの曲にあったりします。
3.大阪
こういう曲もできるんか!マジか!となりました。初EPでよくぞ哀愁のある聴かせる歌を持ってきたなぁと。しかもただ弾き語りでしんみりとか、哀愁一辺倒でクサいとか、そういったやりすぎ感が全くないです。自然な流れの中で、しっかりバンドの個性を出しつつ、曲としてはちゃんと方向性が纏まってる。完成度高いですよ、これ。
なんか、言い方がアレですが、初EPなのにどこか小慣れてる感すらあります。一体どっから持ってきたん…この完成度…。
さて、一曲ずつレビューしてもあっという間に終わっちゃいましたが、さらに要約すると全部いいです。何より、個人的にはバンドのこれから先がすごく楽しみになる曲たちだなぁと、ワクワクしています。こういうワクワク、貴重です。
どうぞ音源を手にして頂きたい。そうじゃなくとも、とにかくMVを一度聴いて頂きたい。
これはいいバンドきたぞ!!!!と聴いていてビリビリくる感覚は、個人的に初期のポルカドットスティングやHakubi、Hump Back等に感じたものと近い何かがあります。大袈裟だよと言われるかもしれませんが、いやこれほんとなんですもん。仕方ないじゃない!!
というわけで、今も、これからも非常に楽しみなバンド、BACKPACKERをご紹介させて頂きました。自分自身がそうですが、邦楽洋楽、ジャンル等問わず色々聴いている方にもガッツリザックリ刺さる音楽性と完成度を持っているバンドです。
ぜひ、ご一聴あれ。
逆境
逆境EP-Trailer