亜矢-戦場の華

こんにちは。ついに、このアルバムをレビューできる時がきました。

さて、本日ご紹介したいのは亜矢の「戦場の華」というファーストアルバムになります。
実は数年来、このCDを求めて色々と探していたのですが、先日ふと訪れた中古CD屋でやっと見つけることができました。

亜矢の紹介を手前勝手な書き方でさせていただくと、「グランジ直系の日本人女性ボーカル」という一文になります。決してよくある「グランジフォロワー」ではなく、「グランジ直系」と表現するのがしっくりくると思います。

当アルバムでは、その豪華なバンド参加メンバーも特筆ものです。
Soundgardenのギタリストであるキムセイル、並びにマットキャメロン。
そしてNirvanaのベーシストであるクリスノヴォセリック。
グランジ界隈からしたらとんでもないメンツです。豪華なんてもんじゃない、もはやスーパーバンドです。

これだけのメンツが参加したファーストアルバム、ボーカルの印象は果たして?スーパーバンドの中央に据えられたマスコットになるのでは?…
そんな心配はご無用です。負けてません。

しっかり「亜矢のアルバム」です。

まず声音や歌唱の特色から書いてみます。
グランジ界隈で女性ボーカルというとHoleのコートニーが著名ですし、影響力も絶大です。無論、亜矢もその影響は受けているかと思います。ですが、ただの模倣にはなっていません。
ドロドロとした「グランジから影響を受けた女性ボーカル」らしさもしっかりありますが、カントリーミュージック的な哀愁や、邦楽の広い世代の女性歌手(あえて歌手としています)たちからの影響も垣間見えそうな、日本的な情念の籠った洋楽ではみられない独特な雰囲気も兼ね備えています。

曲調に関してもそうです。バンドメンバーや事前情報などだけで判断するとはてグランジ一辺倒かと思いきや、カントリー風味が入ったり、歌謡曲のバックグラウンドを感じさせる曲調があったり…アコギ主体のもの悲しい弾語りがあったりと、多彩です。アルバムを通して聴いても全く飽きが来ません。これはただの「フォロワー」ではできない手腕だと思います。

さて、数曲紹介していきます。

2曲目「Hands」。
これはもう、ドストレートにドロドロへヴィなグランジです。むちゃくちゃかっこいい。がなりたてるわけでもなく、静かに這い回るようなボーカルスタイルがまた、凄まじい情念を孕んでいるように響いてきます。生半可な模倣ではない、本物の音楽だからこそ纏う、「本気」の雰囲気。ピリピリとした空気感と這い回る情念からは、もはや恐怖すら覚えそうなほどクラクラときます。名曲です。

3曲目「選択の朝~original english version~」。
こちらもグランジイイな曲ですが、サビにはキャッチーさもあります。と言いましても、歌詞をみても楽曲を見ても、軽くなんてありません。激重です。…なんですが、この曲で魅せる亜矢の歌唱が非常に美しい。どこか儚く、そして時に激しく…。ただドロドロだけではなく、哀愁を纏った美しさも持っていることをしっかり見せつけてくれます。


あえて曲ごとの紹介は2曲にとどめておこうと思います。
是非、アルバムの音源を手に入れていただきたい。苦労するかもしれませんが、その価値は間違いなくあります。
特に、グランジやその界隈が好きな日本人にとって、当アルバムはマストアイテムなのでは。日本国内での知名度は少ないのかもしれませんが、それが残念でなりません。これほど質の高いグランジ、オルタナティブと日本の音楽性の融合を成し遂げた方は、そういらっしゃらないのではないでしょうか。

中古CD屋で「亜矢」の2文字を見つけたら即買いです。Nirvanaが好き、Soundgardenが好き、なんなら椎名林檎さんあたりが好きな方にも、ドツボだと思います。というか日本でグランジ好きを語るなら避けては通れないアルバムだと思っております。是非、是非。

…残念ながら公式チャンネルでのMVが見つからず、貼ることはできませんが、Youtubeでアーティスト名と今回紹介した曲名を検索していただければ、何かしら聴けるかとは思います。


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