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oryotao
毎日400字小説「友達」
「私らのことかわいそうって思ってたでしょ」と、昔の同級生に言われてドキリとした。東京から戻って来て、偶然イオンの中のパン屋で働く彼女に声を掛けられ、誘われてたまに飲みに行く仲になったものの、確かに中学時代の彼女と私に接点はほとんどなく、彼女の言う私らが何を指すのかも、明確にわかった。田舎で一生を終えることに何の疑問も抱かない学力の低い子、だ。かわいそうというのは語弊がある。が、東京の大学へ行くことしか頭になかった私には、現状を受け入れる彼女らが、不思議だった。が、そういう私も、就職も恋もうまくいかず、結局田舎に戻って、親の知り合いの、従業員四人の会社で事務をする身だ。子どもを産んでる彼女よりも、価値のないクズ。そう自虐する私に、彼女は言ったのだった。「だったら、今もちゃんとしててよ。今になって、間違ってたって思うのはなしだよ。自分は違うって、顔し続けなよ。それがあのころ私たちを見下してた、罰だよ」