毎日400字小説「救い」
そのメッセージが入ったのは、日曜日、夕方五時ごろのことだった。昼過ぎに起き、こたつに入って何にもしないうちに一日が終わっていた。目をつぶれば田辺の小言が、目を開けても田辺の鼻の横のホクロがちらついていた。「え、うっそ。一部でよかったんだけど?」ファイルの共有でいいのではと言った私に、「紙のほうがいいのよ」と、三十部資料をつくらせたのは田辺だった。「無駄なことするな」課長が言った途端、私のせいにしやがった。休日出勤していた昨日は、はらわたが煮えくり返って仕方なかった。死ね。死ね。胸の中で罵る。けど今日起きたらすこんと反動で、針が逆に振れていた。出社したくない。私なんか生きている価値がない。もう死にたい。八か月、否定され続けた鬱屈が積もっていた。そこへ届いたあの子のメッセージだった。
「昨日、ユミカの夢を見たんだ。どうしてるかなと思って」
口をへの字に曲げ、私は携帯を握りしめた。