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毎日400字小説「僕がそいつらに会いに行く理由」

「えー、そうなんですねー」グーにした手を口に当て、うふふふふとしっかり発音して笑う他校の制服を着た女子を眺めながら、どいつもこいつもと大翔は思う。頭ん中、シュークリームかよ。栗色の前髪、色白のほっぺ、揃いも揃っておんなじ顔をした女たち。大翔の前には日替わりでそいつらが、会いたいと言って伝手を辿って現れる。そして大翔の顔を見て一瞬がっかりしたような表情を浮かべたのち、兄貴の話を始める。大翔の兄貴はスーパーアイドルグループの一員である。「トランクス派。風呂から出てきて、すうすうするのが気持ちいいって言うから見たら頭に被ってんの。下、丸出しだよ」少々盛ってする大翔のそんな話に女たちは食いつく。弟に会ったところで、兄貴にお近づきになれるわけなどないのに。「おつかれ」彼女らが帰ったあと、連れて来た中学の同級生滝は、大翔に言う。「あたしも鼻が高いわ」フンと大翔は鼻を鳴らす。大翔はたんに滝に会いたいだけだった。

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