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毎日400字小説「親友」

    たとえば新しく引っ越した部屋の乾燥が気になっているときに、「はい、誕生日プレゼント」と、たまたま渡された箱の中に入っていたのが加湿器だったら、なにあんた天才? わたしの心読めるの? って、運命なんか感じちゃったりするのだけれど、わたしと結子との関係はまさにそんな感じだった。中学高校時代は、別々に知った同じマンガを勧め合ったり、かわいい髪留めをおそろで買ってあげようとしたら、ちょうど一日前に結子も買ったとこだったり。それでいて好きになる子は違った。だけど好きになるタイミングは一緒だったので、うまくできてるよねーと言い合った。卒業してからも、久々会いたいなと思ったら向こうから連絡が入ったり、また逆だったり、そんな感じだった。だから子供が出来たのと結子から打ち明けられたときにも、ああやっぱりと思った。ここは違ってよかった、と、お母さんになった結子は言った。同じだったよ、とは、どうしても言えなかった。

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